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ミュージカル『Play a Life』妃海風×上田一豪インタビュー到着「必ずどんな方にも響くポイントがある」

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妃海風、上田一豪

ミュージカル『この世界の片隅に』や『四月は君の嘘』の演出家としても知られる上田一豪の主宰する劇団TipTapの代表作ミュージカル『Play a Life』上演10周年の記念公演が2025年5月16日(金)から上演される。

2015年に50席ほどの小さな劇場で初演され、再演や地方公演を重ね、2017年にはテレビドラマ化、2023年にはフジテレビ初の本格ミュージカルドラマとして放送された本作。今回の公演では10年間を詰め込んで「初演キャスト特別公演」「10周年記念特別コンサート」「10周年記念キャスト公演」をお届けする。

今回、「10周年記念キャスト公演」に出演する妃海風と上田一豪のインタビューが到着。『Play a Life』の思い出や今回の公演の見どころなどを語った。

――「初演キャスト特別公演」「10周年記念特別コンサート」「10周年記念キャスト公演」という3つの公演からなる今回の特別公演。それぞれどのような思いから企画したものなのですか?

上田:まず、この『Play a Life』は2015年に初演を迎え、そこから10年が経ちました。これほど長く上演できる作品になるとは当時、思っていなかったので、記念になる年に「10年続きました、ありがとうございます」という報告を含めた公演ができたらという思いから企画させていただきました。

「初演キャスト特別公演」は、まさに初演キャストが出演する公演です。当時、50席ほどの本当に小さな劇場で、10日間くらいで作った作品でしたが、面白いものを作るんだという熱気と意気込みで必死に作品を作った思い出があります。マイクがなくても一呼吸まで聞こえるような空間での上演でしたので、心を繊細に動かした時間を忘れられないと言ってくださる方もたくさんいらっしゃいます。その思い出をまた味わえるといいなと思って、今回の企画となりました。

そして、これまで出演していただいたたくさんの素晴らしいキャストの皆さまと共に10年の軌跡を味わえたら素敵だなという思いから、「10周年記念特別コンサート」も開催することにいたしました。これまでも劇団のコンサートは開催してきましたが、今回は『Play a Life』を真ん中に据えて行うので、作品を存分に味わっていただく時間になるのではないかと思っております。

また、新しいキャストを迎えての「10周年記念キャスト公演」も予定しております。この作品は、演じる方の年齢、シチュエーションによっても作品の色や温度が変わると上演するたびに感じていました。昨年、久しぶりに(妃海)風ちゃんとご一緒させていただいたときに、素敵な女優さんになったなと改めて感じ、今、この作品を一緒にやりたい人は誰だろうと考えたときに風ちゃんが浮かびました。(夫を演じる)矢崎広さんともこれまでなかなかスケジュールが合わなかったのですが、今回、ぜひやりたいとおっしゃっていただいて、これはやるしかないと、奇跡がピタッとハマって上演にこぎつけられました。全く趣旨が違う3つの企画ですが、どれも違った楽しみ方ができるものにはなっているのではないかと思います。

――妃海さんは出演が決まり、どのようなお気持ちでしたか?

妃海:本当に嬉しかったです。(劇団TipTapの)『Bye Bye My Last Cut』に出演させていただいたときに、1から作品を作るという稽古場を初めて経験させていただきました。みんなで話し合って、毎日、何かが生まれていく瞬間があって、みんなが熱量を持ってそこに命や温度を吹き込んでいくという現場に携わらせていただき、すごくすごく愛しい時間だなと思ったんです。それを経験してから別の舞台に立たせていただいたときに、全く違う感覚でお芝居をしたり、歌を歌ったりでき、表現をすることがもっと好きになりました。今、私は朝に、この作品の台本を読んだり、譜面を読んだりしているのですが、涙が止まらない場面が毎日違うんです。それほど素敵な作品ですので、今、私ができる表現をさまざまな気持ちを使ってたくさん表現していきたいと思います。

――これまでの『Play a Life』をご覧になった感想を教えてください。

妃海:面白いくらいに演者によって届き方が違います。それはもしかしたら観る人の心のあり方によっても違うかもしれません。今日はこのセリフが刺さったという場所が毎日違う。それが面白いのだと思います。今回も初演キャストさん版とコンサートと私たちの公演と全く違うものになるんだろうと思います。私はこの作品のファンなので、全てのキャストさんの公演を観たいです(笑)。

――キャストさんによって全然違うものになるということでしたが、矢崎さんと妃海さんの夫婦にはどのような期待や思いがありましたか?

上田:いろんな役柄をまとってご本人とは違うキャラクターを演じる姿が印象的なお二人ですが、今回は自然体で何かをまとわないでいる瞬間とまとっている瞬間をこの作品でお見せすることで、新鮮に見える瞬間があるのではないかと思います。そして、どこか満たされないものを持ち続けているお二人なので、生々しさが残りつつも、洗練されたものになるのではないかと期待しています。

――妃海さんは矢崎さんにどんな印象がありますか?

妃海:以前に朗読劇で1日だけご一緒させていただいたことがありましたが、その時の私は今よりももっと「自分を装飾していないといけない」という思いが強かったので、相手を見る余裕すらなかったように思います。矢崎さんがどういう方だったのか、どういうお芝居だったのかなっていうことをよく感じられないまま終わってしまいました。今、一豪さんがおっしゃった通り、素で生きているよりも何かを纏っていた方が自分でも楽なんです。妃海風であるという方が生きやすいと感じていましたが、『Bye Bye My Last Cut』で何かを纏わず、自分の気持ちに忠実に挑んで演じられる場所はすごく居心地が良いと思うようになりました。纏わない自分は恥ずかしくもありますが、それを出しながらも歌で繋いでいく『Play a Life』はきっと居心地が良い。そうした状態で矢崎さんとまたご一緒し、心と心を通わせることができるのはすごく楽しみです。

――妃海さんが演じる妻という役柄についてはどのように考えていますか?

妃海:一緒にいるのにすれ違っているという感覚はすごく寂しくて切ないものです。とても共感できる部分が多いので、自分の中にある共感をたくさん引っ張り出して、演じたいと思います。

――上田さんは、この10年間で作品に対する思いに変化はありましたか?

上田:当時、こうであったらいいなと思うものを書きましたが、それは10年経ってもそれほどぶれていないように思います。こんな夫婦だったらいいな、素敵だなと作品を眺めるたびに思いますし、この物語が持っているテーマ性は変わらないまま生きています。ただ、固有名詞や扱っている出来事は10年前のことなので、そうしたところには時代性は感じます。例えば、今はビデオカセットを借りてきて映画を観ることはないですよね。そもそも僕たちが大好きだった洋画を今の世代の人たちがどれくらい知っているのか。カルチャーや映画に対する考え方の違いというものは感じます。コロナや地震などを経験したことで、社会としてもこの10年で大きく変わりましたので。

――「10周年記念特別コンサート」も開催されます。妃海さんは本作の楽曲にどのような印象がありますか?

妃海:一度聞くとフレーズが頭の中をぐるぐると回る印象的な楽曲が多いなと思います。それから、1つの楽曲の中で鳥肌が立つような流れが多くて、感情が揺さぶられていつも泣いてしまいます。ぜひともこの楽曲を皆さんに聞いていただきたいです。それぞれが意味のある音なので、きちんと音をとって、噛み砕いて、自分の口から発していきたいと思います。

――上田さんは特に思い入れの深い楽曲はありますか?

上田:当時、子どもが生まれてすぐだったので、(本作の作曲家の)小澤(時史)くんが家にきて、子どもを抱っこしながらプロデューサーと3人でああだこうだ言いながら作ったのをよく覚えています。どの楽曲もその曲を書いたときの絵が浮かぶので、特にどの楽曲がということはないのですが、後半のシークエンスはおしゃべりではあるけれども歌っていて、かつ歌でなくては表現できないものであるということをできるのかをこだわっています。それまで作ってきた作品も同じように作ってきましたが、この作品は無駄なく完成されたものになっているのではないかと思いますし、この作品がその後の楽曲の元になっています。

妃海:そのシーン、すごく好きです。あまりにも盛り上がりすぎるメロディだと日本人の感情として乗り切れないところがあると思いますが、あのメロディと歌詞はスッと入ってくるんです。

上田:ブロードウェイミュージカルを作るときは、後半の場面に大きな曲を持ってくるというのがスタンダードですが、僕たちはそこに話しているような楽曲を持ってくることで、日本人としてすごく自然な感覚になるのだと思います。そうしたシーンは、今回のコンサートではリーディングを交えながら表現するので、よりこの作品の世界観を味わっていただけるのではないかと思います。10年分のさまざまな思い出が蘇るようなコンサートになりそうで、すごく楽しみです。

――改めて公演への意気込みとメッセージをお願いいたします。

妃海:心が震えっぱなしの作品でございます。作品も楽曲もすばらしいこの作品に携わらせていただけることを嬉しく思いながら、愛情を込めて一生懸命、皆さまにお届けできたらと思っています。日常のヒントになるような言葉がたくさんあります。ぜひ観に来ていただいて、頑張って生きようと思っていただけたらと思います。

上田:これまでもたくさんの方に観ていただいた作品ですが、必ずどんな方にも響くポイントがある作品だと感じています。誰もがいろいろな悩みを抱えていると思いますが、生きていく時間は特別な瞬間です。その特別な瞬間を大切に噛み締めていきたいと思えるような作品になればと願っています。心に元気がない方の背中を「頑張れ!」とそっと押せる作品にしたいと思っております。

インタビュー・撮影:嶋田真己

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