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「登戸の渡し」復活に沸く 約70年ぶり 一日限定で

タウンニュース

狛江市に向かって川を渡る乗船者たち

かつて多摩川に多くあった渡し場の一つ「登戸の渡し」が10月26日、市制100周年を記念し、約70年ぶりに一日限定で復活した。河岸では地域住民の協力のもとイベントが行われるなど、盛り上がりを見せた。

多摩川に橋が架かる以前は、対岸への移動手段として各地で「渡し船」が行われていた。その一つで、川崎市と狛江市を結び、人々の生活や物流を支えていた「登戸の渡し」は、1925年に二子橋、27年に小田急線が開通すると利用者数は減少。53年の多摩水道橋の開通を前に廃止されたとされている。

今回は「節目の年に文化継承を」と、市制100周年を記念して約70年ぶりに復活。河岸にある二ヶ領せせらぎ館(多摩区宿河原)付近と狛江市側の2カ所に渡し場を設け、動力船でそれぞれの対岸へ渡る企画を行った。運営には多摩区観光協会(末吉一夫会長)やNPO法人多摩川エコミュージアム、田園調布学園大学(麻生区東百合丘)の学生らが携わり、川崎市側の河川敷ではステージイベントや飲食物販などが行われ、渡し船の復活を盛り上げた。

「歴史知る機会に」

当日は午前、午後各19便が出航。約150人が渡し船を体験した。午前のチケット販売時点で午後の分も売り切れるほど、盛況を見せた。

10時発の第1便には川崎側から4人が乗船。スマートフォンを構えながら笑顔で河岸に手を振り、対岸へと向かっていった。狛江市側から乗船したという紀野遥香さん(生田小3年)は「乗ったのは5分くらい。揺れて少し怖かったけれど船頭さんが多摩川にはウナギやアユがいることを優しく教えてくれた」と笑顔を見せた。

運航を担ったのは川崎河川漁業協働組合。同組合は普段、中原区で行われている「丸子の渡し」などにも協力している。同組合の渡邊善之さん(64)は「登戸は丸子に比べて水深もあり、波も落ち着いていてやりやすかった。これを機に年々きれいになっている多摩川を多くの人に知ってほしい」と期待を寄せた。

会場を訪れた藤倉茂起川崎市副市長は「地元の人や狛江市とも連携しながら、まちの歴史を知り、多摩川に親しみを持ってもらう機会になれば」と思いを語った。

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