気を付けて!山火事防止へ呼びかけ 釜石市婦人消防連絡協、道の駅などで広報活動
釜石市婦人消防連絡協議会(久保久美子会長、3団体・87人)は4月30日~5月2日の3日間、市内で山火事防止広報活動を展開した。釜石消防署とタッグを組み、防災広報車両で地域を巡回。道の駅や産直施設周辺でチラシなどを配り、住民の防火意識啓発を図った。岩手県山火事防止運動月間(3月1日~5月31日)に合わせた活動。近隣の大船渡市で発生した大規模な林野火災の記憶が残る中、全国各地で山火事が相次いでいることを受け、「私たちも気を付けるし、皆さんも気を付けて」と思いを込める。
「入林中、たばこの投げ捨てはやめましょう。防火に協力をお願いします」。初日の30日は、久保会長(71)が所属する両石婦人消防クラブが活動。久保洋子さん(70)とともに、釜石署予防係の佐藤直樹係長が運転する車両に乗り込み、山火事への注意を呼びかける音声を流しながら両石町から市内中心市街地、西部地区を走って回った。
甲子町の道の駅「釜石仙人峠」では、山火事防止3原則(▽強風、乾燥時は野外で火を使わない▽森林の近くで野焼き、たき火をしない▽たばこの吸い殻は投げ捨てない)などを記したチラシを配った。「春先は非常に空気が乾燥し、風の吹く日が多く、火災が発生しやすい時期です。山でのたばこの投げ捨ては絶対にやめましょう。火の取り扱い、後始末には十分ご注意を。火の用心をお願いします」。ハンドマイクを手にした久保会長が、買い物客や施設利用者に呼びかけた。
婦人消防連絡協は「地域の防火は家庭から」を合言葉に、火災予防思想の向上、初期消火と避難誘導、避難者支援など地域に根差した活動に取り組む。1984年の結成時は5団体あったが、これまでに2団体が解散。現在はメンバーが高齢になったり、活動できる人数は限定されるというが、釜石署と連携して春季・秋季火災予防運動、山火事防止運動期間中に広報活動を続けている。
漁業をなりわいとする地区で組織された団体で、メンバーの多くは漁協女性部に加入していた。「男性が漁に出ている時、地域に残るのは私たち。何かあったら、いち早く対応しなければいけないから」と久保会長。10年以上前に両石地区で山林火災があった際には、炊き出しを行ったという。「火事は本当に怖い。火を起こしたら大変。隣近所に迷惑をかけることにもなるから、気を付けているし、気を付けてもらわないと」と切に願う。
今年に入り、全国で山火事が頻発している。大船渡市で2月26日に発生した山林火災では、焼失面積が平成以降で国内最大の約2900ヘクタールに及んだ。愛媛県今治市と岡山市でも3月23日、山林火災が起きた。久保会長は「大船渡の火事は、あまりにも長かった。消防隊員も団員も大変だったろうし、心配した。山に入る時は気を付けてほしい」と、同じ言葉を何度も繰り返した。
5月1日は尾崎白浜婦人消防協力隊(平田)が道の駅、2日は外山地区婦人消防クラブ(鵜住居町)が橋野どんぐり広場産地直売所(橋野町)で同様の活動を行った。
釜石署によると、市内で林野火災は2019年に1件あったが、以降は発生していない。ただ、大船渡市の林野火災を受け、県内全域に「山火事警戒宣言」が発令中。佐藤係長は「山火事は、たばこ、たき火の不始末など人の不注意によるものが多い。『自分は大丈夫』とは思わず、風の状況など敏感になってほしい。たき火、野焼き、火入れをする時は消防署に届けてほしい。屋外での火の取り扱いは細心の注意を」と念を押す。