負担軽減へ 航空業界で広がり始めるスニーカー着用解禁
ゴールデンウィークで飛行機を使った方も多いかもしれませんが、今日は航空業界の話題です。
スカイマーク 4月からスニーカー解禁
空港内での案内・搭乗手続きなどを行うグランドスタッフや、客室乗務員の負担を軽くしようと、航空各社では勤務中のスニーカーの着用を解禁する動きが広がり始めています。先月、解禁したスカイマーク株式会社 広報室 田中佐季さんのお話です。
スカイマーク株式会社 広報室 田中佐季さん
当社の役員が空港支店などを訪れて、社員に直接意見を聞いたりする場を持った際に、社員から長時間の立ち仕事や移動、場合によって走ることもあるので、身体への負担があるという声がありました。スニーカーだったら身体への負担が軽減されるのではないかという意見があり、4月14日から着用を解禁しました。対象は地上旅客職、いわゆるグランドスタッフと呼ばれている方と、客室乗務職になります。空港にもよるんですけど、例えば規模の大きい羽田空港であれば、1日2万歩歩くというスタッフもいるので、やっぱりそういったところで負担はあるのかなと思います。まだ着用開始からまもないので、実際に着用している社員の数はそれほど多くはないんですけれども「今履いているものを買い替えるときにスニーカーにしようかな」と検討している声は聞かれました。
スカイマークでは、これまで黒のパンプスやビジネスシューズといった革靴で、ヒールの高さが4センチ未満という規定がありました。それが、先月からは男女問わず、靴底の厚さ4センチ未満の黒色のスニーカーも履くことができるようになったということです。
今回スニーカー解禁の対象となったグランドスタッフ、客室乗務員は合わせて1000人ほどいて、さっそくスニーカーを履き始めた人からは「比較的、足が疲れにくい」という声があがっているそうです。
エア・ドゥ労働組合は春闘で要求
そんな中、北海道を拠点とする航空会社「エア・ドゥ」の労働組合は、今年の春闘で、スニーカー着用について会社側に要求しました。春闘で身だしなみについて要求するのは初めてだったそうですがどんな経緯があったのか、エア・ドゥの労働組合「ユニオン エア・ドゥ」の書記長 滝谷健太朗さんに伺いました。
ユニオン エア・ドゥ 書記長 滝谷健太朗さん
今年の春闘の中で、グランドスタッフのスニーカー着用について要求をさせていただきまして、回答としては「2025年7月を目標にトライアルで開始すること」と会社から受け取りました。昨年12月くらいから、各職場における課題を春闘に先立って収集させていただいていたときに、かなり声があがりました。今は自前で手配したパンプスだったり革靴を履いて勤務をしているのですが、ほぼ毎日、車椅子の方だったりとかご案内させていただくこともありますし、長距離、少し走るような対応も発生することがございますから、消耗が激しく、はやい人だと3、4ヶ月で靴を替えなきゃいけないことも発生しておりましたので、まずはグランドスタッフの負担軽減、会社としても健康経営を掲げて取り組んでいるところもありますので、要求させていただきました。
これまでエア・ドゥでは靴について「ヒールの高さが3センチ以内の黒の革靴」と決められていましたが、身体への負担のほか、靴を頻繁に買い替える必要があり、経済的な面からも多くの意見が集まり、2月に会社側に要求書を提出しました。
航空会社によっては職種ごとに組合が分かれているところもありますが、「ユニオン エア・ドゥ」は、パイロットやCA・客室乗務員も含めて全ての職種の方がこの、同じ一つの組合に参加する形になっていて、広く各職場からの声を拾い集めることができるそう。
7月をめどに試験導入へ「働きやすい環境に」
春闘での要求の結果、今年7月をめどに試験的な導入が決まったということですが、その受け止めについて再びエア・ドゥの労働組合「ユニオン エア・ドゥ」 滝谷健太朗さんのお話です。
ユニオン エア・ドゥ 書記長 滝谷健太朗さん
会社としても前向きな反応をしてくれたのかなと受け止めています。会社側からももちろんですし、組合員の方も「選択肢が広がることはすごくメリットがあるのではないか」という声は多く聞いています。航空業界全体に言えることかなと思うんですけれども、やはり、おもてなしや品位・品格を求められる業種、業態だと思っております。ただ、その中でもエア・ドゥのみならず、航空他社さん含めて、そういった多様化が進んでおりますので、一番はスタッフたちにとって、働きやすい環境にしていくことが必要かなと思っております。
ユニオン エア・ドゥは他にも、事務職のスタッフの私服勤務導入についても春闘で要求し、同じく今年7月を目標に、基準の見直しをしていくという回答をもらったそうです。
滝谷さんは「企業の選び方も多様になるなか、制度がネックになるのは、もったいない、少しでも働きやすい環境にしていくことが全てかなと思う」と話していました。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)