南極生活に目輝かせ 上越市立上下浜小学校で観測隊経験者の出前授業
南極観測基地の建物を手掛ける住宅メーカー、ミサワホーム(本社・東京都)による教育支援プログラム「南極クラス」が2025年6月5日、新潟県上越市柿崎区の市立上下浜小学校で開かれた。南極地域観測隊に設営隊員として参加経験を持つ社員が講師を務め、南極の自然や隊員の活動内容を紹介した。
《画像:上下浜小学校で開かれた「南極クラス」》
同社は1968年から昨年までに、南極に居住棟や基本観測棟など36棟の建物を供給し、グループ社員含め20人を派遣してきた。南極クラスは、東日本大震災で被災した子どもたちに南極での活動を伝えることで夢や希望を与えようと、2011年に開始。その後全国に拡大し、開催数は2500回を超える。
《画像:南極の防寒着を着用する児童》
この日は大工として南極に3回渡ったことのある堀川秀昭さん(52)が講師となり、6年生11人に授業を行った。南極観測拠点の昭和基地は、雪を伴う風速30〜60mの暴風「ブリザード」が数日間続くなど過酷な環境である一方、吐く息が白くならないほど空気が奇麗で、珍しい7色のオーロラや天の川が見られること、生息するペンギンやアザラシの様子を映像や写真で紹介した。
《画像:南極での体験を話す堀川さん》
約30人の越冬観測隊は、気象観測や地質研究などを行う隊員のほか、南極生活を支える建築や医療など様々なプロで構成される。隊員たちはカーリングなどのスポーツや氷点下30度の中での露天風呂など、多彩なイベントを設けて過ごしたといい、堀川さんは「(少ない人数なので)助け合いやチームワークが必要。過酷な場所で皆で楽しむことが活力になる」と話した。児童は南極で使われる防寒着を着用したり、ブリザードと同じ風速の風を送風機から受けたりして南極の世界に思いを馳せた。
《画像:送風機でブリザードと同じ風速約60mの風を受ける児童》
堀川さんは37歳の時に誘われて観測隊に参加したと振り返り、「興味を持ち一歩踏み出すと、視野が広がり色んな人に出会え、自分の夢につながるかもしれない。色んなことにチャレンジして」と児童に呼び掛けた。
女子児童(11)は「(防寒着は)分厚くてもっと重いと思ったけれど軽くて暖かかった。南極は空気が奇麗でかわいい動物がいて良い所。行ってみたくなった」と目を輝かせていた。