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「全ては“運”と“タイミング”だった」【FC琉球 新シーズン開幕前 特別企画#5】平松 昇 選手(26)

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「全ては“運”と“タイミング”だった」【FC琉球 新シーズン開幕前 特別企画#5】平松 昇 選手(26)

2月15日に新シーズンの開幕を控えるサッカーJ3リーグのFC琉球。【新シーズン開幕前特別企画】と題し、J2返り咲きを目指す選手やスタッフの想いをシリーズでお伝えする。

第5弾は移籍3シーズン目のMF平松昇選手(26)。サッカー王国静岡で生まれ育ち、清水エスパルスのジュニアユース、ユースで腕を磨いた。J1湘南ベルマーレでJリーグデビューを飾りその後J2ツエーゲン金沢でプレー。2023年シーズンにFC琉球に移籍し今シーズンで3シーズン目を迎える。昨シーズンからは副キャプテンを務めチームを引っ張る存在の一人だが、Jリーガーになるまでの道のりは決して平坦ではなかった。

ユース時代に出場できた試合は片手ほど…

©FC琉球

サッカー王国・静岡県の島田市で生まれ育った平松。 三兄弟の三男で兄二人ももちろんサッカープレイヤー。サッカーボールに触れる事が日常だった。 「2,3歳でサッカーボールに触っていたよと言われますね。小学生ぐらいから、将来はプロになります!なんて言ってましたね。笑」 中学からは清水エスパルスのジュニアユース、高校時代は清水のユースで汗を流したが、ユースでは出場機会を得られず苦しい3年間を過ごした。 「ジュニアユース時代は苦しみながらも試合の出場登録20人に入って、試合にも出ていたんですが、ユースでは高校3年生になっても試合に出られませんでした。3年間で出た試合は片手で収まると思います。プレミアリーグではいつも記録係でした」 周囲を見返したいという向上心、サッカーを続けるべきかという葛藤の中で10代を過ごした。当時のユースのスタッフからは「プロにはなれないから就職するための大学に行った方が良い」と何度も言われたという。 「スタッフの皆さんは私の人生を考えて助言をくれたんですが、自分の中ではまだ高いレベルでサッカーをしたいという気持ちが残っていて、周囲の反対を押し切った形で立正大学に進みました」

運とタイミング

平松が進学した立正大学は、入学前年度に関東2部リーグ昇格を達成。 さらに立正大では琉球に縁のある人見拓哉(2020‐23FC琉球でプレー)が1学年上の先輩、琉球の絶対的なCB・鈴木順也が2学年上の先輩としてプレーしていた。 「人見拓哉、鈴木順也、あの先輩たちが自分が2年生の時に関東一部リーグに上げてくれたんですよ。関東一部でアピールする舞台を先輩たちが用意してくれたんです。一部はスカウトの数も全然違いますし、見られる数も全然違うので。運とタイミングですね」 関東一部リーグで活躍する機会を得た平松はプロからも声がかかり、2020年9月、J1の湘南ベルマーレのユニフォームを着てJリーグデビューを果たし少年時代からの夢を叶えた。 「特別指定選手として大学4年の時にヴィッセル神戸戦でデビューしました。緊張もあって全然当時の事は覚えていないですね 笑。ただ湘南では思いっきり壁にぶつかって様々な経験ができました。昔ながらのハードワークスタイルで鍛えられたと思います」

金鍾成 前監督との出会い

昨シーズンは琉球でリーグ戦32試合に出場し1得点。チーム同様、波のあるシーズンだったと振り返る。 「最初はチームも上位に居て、自分も試合に出て手応えを感じていた中で、夏にチームが失速して、自分のプレーも安定せずに試合で出られないことが多くなりました。ただ試合に出られない時期に外から見えてきた事を練習に落とし込んでいく中で様々なポジションもやる事になったし、ポジションごとに自分の特徴を出していけたことが試合に出るキッカケになったと思います」

©FC琉球

金鍾成さん(前監督)の指揮のもとでは当初ボランチ起用が多かったがシーズン途中からはサイドでの起用も増加。サイドで起点になるとともにサイドで相手の起点になる選手を潰す重要な責務を担った。 「鍾成さんの指導で得たものはとても沢山あります。一番は“フリーの概念”です。自分がマークにつかれていても、“そこには余裕を持ってプレーできるスペースがある”、とよくアドバイスを受けました。自分がピッチに居て感じている事とは別の角度からの言葉を貰って慌てなくなりましたね。マークにつかれている感覚が強いと、これまではプレーがあわただしくなったんですが、それでもフリーだという感覚を持てて心が楽になりました」

J1からJ2、J2からJ3へ「悔しさが原動力」

インタビューではサッカーを始めた幼少期からプロに至るまで20年以上のサッカー人生を平松選手自身に振り返って貰った。その中でどうしても一つ本人の口から聞いてみたい事があった。 ―Jリーガーになるという夢を叶えて、その夢の舞台ではJ1からJ2へ、J2からJ3へとキャリアと共にカテゴリが落ちているという現状もあります。平松選手自身はどのように感じていますか? 「悔しさが大きいですね。今FC琉球でプレーできていることはとても幸せな事ですが、これまで通用してこなかった経験、自分の力不足、必要されなかった悔しさ。そのような感情をいつも感じながら過ごしています。ただ今ではそれがモチベ―ジョンになっていますね」 平松は笑顔で答えた。思い悩む時期も琉球で出会ったベテランに救われる事が多かったという。 「ベテラン選手には恵まれてましたね。野田さん阿部さんキヨさん…、去年は困ったときはすぐ六さん(六反勇治)のところに言って飯行きましょって誘ってましたね。笑 プレーで悩んでいる時はどう見えていますか?と良く聞いて。経験をもとに色んなアドバイスをくれました」

平松の心を支えた多くのベテランたちがチームを去りチームは若返った。 次は自分がプレーでチームを支えたいと力を込める。 「ゴールやアシスト、数字の結果ももちろん欲しいですが、大事にしたいのはチームが苦しい時間帯に走って守備をする切り替えの部分。またゴールに繋がるアシストの一つ前の起点など、一つ一つの繋がりを大事にしていきたいと思っています」

🖊取材メモ

練習会場や試合会場でお会いするたびに爽やかな笑顔で挨拶をしてくれる平松選手。 自炊に力を入れているそうで料理の腕前はご覧の通り!

写真提供:平松選手

趣味はキャンプで、キャンプ中でもおいしそうなアヒージョを調理!

写真提供:平松選手

オフシーズンは料理の腕を振るい数々の逸品を生み出す平松選手。 新シーズンは強烈な左足で得点とアシストを生み出します! 取材・執筆:植草凜(沖縄テレビアナウンサー)

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