犬がしていたら『超危険なおしっこ』5選 健康状態を測るために確認すべきポイントとは?
犬のおしっこでわかる健康状態とは?
犬のおしっこは、その子の健康状態を映し出す大切なサインです。色やにおい、量や回数の変化を観察することで、腎臓や肝臓、膀胱の異常、さらにはホルモンバランスの乱れなど、体内の異常を早期に察知できる可能性があります。
健康な犬のおしっこは、淡い黄色からやや濃い黄色で、においも強すぎることはありません。排尿の回数は1日に数回程度で、食事や水分摂取量により多少の差はありますが、極端に変化することはありません。
日常的におしっこを観察する習慣をつけておくことで、病気の早期発見につながります。まずは「普段の状態」を把握しておくことが、異変に気づく第一歩です。
要注意!犬がしていたら「超危険なおしっこ」5選
犬のおしっこに異常が見られたとき、見過ごしてはいけないサインがあります。ここでは、特に注意すべき5つの「危険なおしっこ」のパターンと、考えられる原因を紹介します。
1.血が混じっている・真っ赤な尿
おしっこに赤みがある、もしくは血が混じっている場合は、膀胱炎や尿路結石、腎臓病、腫瘍などが疑われます。特に何度も血尿が続く場合は、早めに受診することが大切です。
【考えられる原因】
✔膀胱炎
✔尿路結石
✔腎盂腎炎
✔尿道や膀胱の腫瘍
2.オレンジ色〜茶色っぽい尿
通常の黄色よりも濃く、オレンジや茶色がかった尿は、肝臓や胆のうの異常が関係していることがあります。また、赤血球が破壊されて起こる「溶血」でもこのような色になります。
【考えられる原因】
✔肝機能障害(肝炎、肝不全など)
✔溶血性疾患
✔黄疸の兆候
3.濃い黄色で強いにおいがある尿
脱水状態になると尿の色が濃くなり、においも強くなります。夏場や水分をあまり取っていないときに見られがちですが、感染症や内臓の異常が原因となっている場合もあります。
【考えられる原因】
✔脱水症状
✔尿路感染症
✔発熱を伴う病気
4.白く濁っている尿
尿が白く濁っているのは、細菌や白血球、膿が混ざっている可能性があります。特に、濁りに加えて頻繁に排尿するような様子がある場合は、膀胱炎の可能性が高いです。
【考えられる原因】
✔膀胱炎
✔膿尿(尿に膿が混じる)
✔尿道炎
5.おしっこの量や回数が急に増えた・減った
急に大量におしっこをするようになったり、逆にほとんど出ていない場合は、腎臓やホルモンの異常、糖尿病などが隠れているかもしれません。
【考えられる原因(増えた場合)】
✔糖尿病
✔腎不全
✔クッシング症候群(水をよく飲む病気)
【考えられる原因(減った場合)】
✔急性腎不全
✔尿路閉塞(特に雄犬で注意)
毎日のチェックでできる!予防と早期発見のコツ
犬のおしっこの異常は、日頃から注意深く観察していれば早期に気づけることが多くあります。ここでは、飼い主が取り入れやすい予防とチェックの習慣をご紹介します。
トイレ掃除は「観察」のチャンス
毎日のトイレ掃除は、犬のおしっこの状態を確認する絶好のタイミングです。シートの色の変化や、濁り、においなどに変化がないか、よく見ておきましょう。できれば、使用済みのペットシートはすぐに捨てず、一度チェックしてから処理する習慣をつけると安心です。
おしっこの色・量・回数を記録する
日々の排尿パターンを把握しておくことで、異常が起きたときに「いつから」「どのように変化したのか」が明確になります。簡単なメモやスマートフォンのメモアプリなどで、以下の項目を記録するとよいでしょう。
✔おしっこの色やにおい
✔回数(1日あたり)
✔排尿の様子(スムーズか、痛がっていないか)
✔水分摂取量の変化
特に病気の疑いがあるとき、こうした記録は獣医師にとっても重要な情報になります。
水分摂取量を把握する
脱水や腎臓病、糖尿病などは水の飲み方に変化が表れやすいため、普段どれくらい水を飲んでいるのかを意識しておくと役立ちます。給水器の水量を測ったり、飲み残しの量を確認したりして、いつもと違う様子があれば注意しましょう。
定期的な尿検査を受ける
動物病院では、健康診断の一環として尿検査を受けることができます。見た目には異常がなくても、腎臓や膀胱に問題が潜んでいることもあるため、年1回程度の検査を習慣にするのがおすすめです。特にシニア期に入った犬は、より注意が必要です。
まとめ
犬のおしっこは、日々の健康状態を映す大切なサインです。色やにおい、量、回数などの変化には、体の不調が隠れていることがあります。特に血尿や濁り、極端な量の変化などは、重大な病気の初期症状である可能性もあります。
大切なのは、日常の中で犬の排尿の様子をよく観察し、「いつもと違う」と感じたら早めに対処することです。トイレ掃除をただの作業にせず、観察の時間として活用することで、病気の早期発見につながります。
毎日の小さな変化に気づくことが、犬の健康を守る第一歩です。今日からできるチェック習慣を、ぜひ取り入れてみてください。
(獣医師監修:寺脇寛子)