お店を開業したい人を応援する「株式会社ツナグdirection」。
このThingsでもオープンしたばかりのお店をたくさん紹介してきましたが、今回はそうした新しいお店の開業を手伝ってきた「株式会社ツナグdirection(ディレクション)」をご紹介します。新潟市中央区にある事務所へお邪魔して、代表の村川さんから熱い思いを聞いてきました。
株式会社ツナグdirection
村川 浩一 Kouichi Murakawa
1969年新潟市中央区生まれ。飲食店勤務を経て1994年より店舗内装業者で店舗の設計施工等に関わり、2014年より独立して「株式会社ツナグdirection」を開業する。スポーツ観戦が趣味でプロレス好き。
クライアントと業者をつなぎ、ディレクションする。
——村川さんが店舗の設計施工に関わるようになったいきさつを教えてください。
村川さん:大学浪人時代に予備校の先輩から誘われて、飲食店で働きはじめたんです。当時はバブル景気の真っ只中でしたから、華やかなクラブを見ているうちに、店舗の内装に興味を持つようになりました。
——それから店舗の設計施工に関わるようになったんですね。
村川さん:はい、店舗専門の設計施工をする会社に就職して、そこの先輩が独立するときに誘われて1994年頃から先輩の開業した店舗内装業者で働くことになったんです。
——当時はバブル景気の頃だから、お仕事も忙しかったんでじゃないですか?
村川さん:ひっきりなしに仕事がありましたし利益も大きかったので、ちょっと失敗しても気にならないようないい時代でしたね(笑)。現場の職人さんから様々なことを学ばせてもらいました。
——当時のお仕事で印象に残っている出来事があったら教えてください。
村川さん:若い頃は失敗もたくさんありましたね。上越の会社が自社ビル内につくる居酒屋を担当していたとき、大雪による通行止めで打ち合わせ時間から大幅に遅刻してしまったことがあったんです。そこの支配人からメチャメチャに怒られて「二度と来るな」と言われてしまいました。
——あらら……。
村川さん:会社へ電話して社長にそのことを報告したら「許してもらえるまで帰ってくるな」と言われ、その晩はそのまま上越で車中泊をして、翌朝その会社の朝礼に乗り込んで全社員の前で社長に土下座したんです。さすがに許してもらうことができて、それ以降はずっと可愛がってもらいました。
——ずいぶん思い切ったことをしたんですね(笑)
村川さん:若かったからできたんでしょうね(笑)。若いときにいろいろな経験しておくことって本当に大切だと思います。私は若いときにやることを全部やってきたから、40代以降は仕事がとても楽になりました(笑)
——独立して「株式会社ツナグdirection」を立ち上げたのはどうしてなんですか?
村川さん:会社で工事を請け負うと関わる人間が多くなるため、どうしても経費が膨らんでしまうんです。ひとりだったらコストがかからずに済み、クライアントの負担を減らすことができると思ったのが独立のきっかけでした。
——社名には、どんな意味が込められているんでしょうか?
村川さん:クライアントにアドバイザーとして寄り添いながら、設計デザイナーや施工業者とお繋ぎして工事全体を「ディレクション」するという意味があるんです。
繁盛店を増やして、やがては新潟全体を盛り上げたい。
——村川さんが手掛けてきたなかには、新潟市東区にある「パンのあかり屋」、中央区の「麺屋十色」など「Things」で紹介したお店もいくつかありますよね。お店をつくるときに、こだわっていることってあるんですか?
村川さん:私はひとりでやっているので、仕事を選ぶようにしています。私の考え方を理解していただけない方からの依頼は、大変申し訳ないんですけどお断りしているんです。
——例えばどういう考え方なんでしょうか?
村川さん:住宅を建てる場合は住む人のことだけを考えればいいんだけど、店舗の場合は店のオーナーだけじゃなくお客様のことも考えなければなりません。自分の思いだけではなく、客単価のことも頭に入れながら建てる必要があるんです。
——なるほど。
村川さん:料理人はキッチンから考えていく方が多いので、最終的にホールスペースが小さくなって客席が少なくなるんです。単価が高ければいいんですけど、低いのなら客席を増やさないと収入につながらないんですよ。私はお店の経営を勉強するために、自分でも美容室やエステサロンを経営しているんです。
——勉強のためにお店まで経営しているとは……。
村川さん:私は新規独立を目指している若い人を応援したいんです。自分の店を出すために飲食店や美容室で修業を頑張っている人は多いんだけど、技術や知識を学べても独立資金が蓄えられないことが多いんですよ。自分で物件も探すこともできないし、お金を借りることもできない人が多いので、私のスキルを生かしてお手伝いできればと思っています。
——独立を考えている若い人にとっては、とっても心強い話ですよね。
村川さん:いつか古町にチャレンジショップをオープンして、若い人たちが活躍できるようなステージをつくってあげたいんです。今までもチャレンジショップはありましたけど、スペースだけ提供して放っておくのではなく、私も並走しながらサポートを続けていきたいと思っています。
——そこまでして若者を応援しようとするのは、どうしてなんでしょう?
村川さん:ひとつは若い人が新潟から県外へ出ていくのを何とかしたいんです。新潟に若い人の活躍できる場所がもっとあれば、出ていく人も減るんじゃないかと思うんですよ。
——確かにそうかもしれませんね。
村川さん:あとひとつは、新潟を活気のある街にしたいという思いからです。繁盛店ができれば地域が賑わいます。そういう地域が増えていくことで、新潟全体が賑わってくれたらいいなと思っているんですよ。
——最終的には、新潟全体を盛り上げたいという思いがあるんですね。自分の手掛けたお店が繁盛したら嬉しいんじゃないですか?
村川さん:もちろんです。お中元やお歳暮を持ってご挨拶がてら様子を見に行ったときに、お店で生き生きと働いている姿を見られると何より嬉しいですね。繁盛しても天狗にならず謙虚な人がやっている店は、長く続いている印象があります。周りの人達も進んでサポートしてくれるからなんでしょうね。
——最後に、読んでいる人へ伝えたいことがあったらお願いします。
村川さん:独立して自分の店を開業したい方がいたら、お金のことで諦める前にぜひ相談してみてください。
株式会社ツナグdirection
新潟市中央区長潟2-12-14
025-250-0129
9:00-20:00