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子どもに「お金って何?」と聞かれたら大人は何と答える? 専門家が〔子どもを守る「情報リテラシー」の高め方〕を解説

コクリコ

11月20日の「世界子どもの日World Children’s Day」にあたり、長年テレビ局で番組制作に携わってきたコンプライアンスアドバイザー・ 山本一宗氏が、お金の貸し借りやネット上の見えないお金についてなど、子どもをトラブルから守るための知識、親子で考えたい「情報リテラシー」を解説します。

「チャットで仲良くなった友達を会ってもいい?」 専門家の答え

テレビをはじめ、スマホなどの端末を通して、世の中にはあらゆる商品の情報や広告が溢れています。

端末に紐づくターゲティング広告、SNSのインフィード広告や、投稿との見分けがつきにくいインフルエンサー広告、ゲームアプリの中に出てくる広告など、多種多様の情報が存在します。

広告は「商品やサービスの魅力を正しく伝え、購買のための情報を提供する」という経済の上で必要不可欠なメッセージです。しかし、社会性も未熟で判断力が十分育まれていない子どもたちへの影響を無視することはできません。そういった子どもの特質を逆手にとったマーケティング手法や表現も少なくないからです。

親子で「お金の価値やルール」を知る・話すことは、子どもをトラブルから避ける手助けとなります。

本稿では、11月20日の「世界子どもの日World Children’s Day」を前に、長年テレビ局で番組制作に携わってきたコンプライアンスアドバイザー・山本一宗氏が、これからの時代を生きていく子どもたちに知っておいてほしい「お金にまつわる知識」をはじめ、「世の中の決まりごと」について解説します。

この記事は『子どもコンプライアンス』(ワニブックス刊)から一部抜粋・再編集したものです。小学校低学年から学びながら読めるように想定した文章を大人用に改訂しお届けします。

山本一宗
1964年兵庫県神戸市出身。
1988年に読売テレビ放送(株)入社。報道記者として神戸連続児童殺傷事件、和歌山毒物カレー事件や金融機関再編などの取材を経験し、その後「THE ワイド」「情報ライブ ミヤネ屋」プロデューサー、「ウェークアップ!ぷらす」チーフプロデューサー、報道局統括デスクなどを歴任。
2019年より放送基準に基づく番組・CMの表現考査、SNS利用指針作成などに従事。2021年よりコンプライアンス総括責任者(総括役)として社全体の危機管理・考査判断を担当。2023年3月まで読売テレビ放送(株)ESG推進局専任局次長。2023年春に読売テレビを退社し、現在は株式会社CompLabo代表取締役を務める。

第3回は、大きなトラブルにつながる可能性もある「子どもと考えるお金の価値・ルール」について、ご紹介します。

Q.お金っていったい何だろう?

お金ってどうしてみんな「大事」にするの? そもそもお金ってなに?

【A.お金は「価値」を数字で表す、交換できる、置いておけるもの】

もともとお札はただの「紙」だし、硬貨は「金属」ですよね。

では、どうしてみんなお金が大切でどこでも使えると考えるのでしょうか。

それは、国がそのお金の「価値」を決め、その「価値」がなくならないと責任を持ってくれているから。
だから「1000円札」は1000円のものやサービスと交換できるのです。

あなたがメモに「1000円」と書いてもだれも1000円のものと交換してくれないですよね。みんながお札という紙に「価値」があると考えるのは、日本という国に信用があるからなのです。

買い物をすることは「お金」をお店にわたして、同じ価値の商品・サービスと「交換」していることになります。1000円札に1000円の価値があると国が責任を持っているから、またそのお金を別のところで使えるのです。

お金とは、その「価値」を数字に表した紙や金属であり、持ち運んだり手もとに置いておきやすい「便利」なものなのです。そして、その「価値」が分かりやすく比べられるように、ものやサービスには値段がつけられています。

おもちゃやゲームなど「もの」がほしいときには「値段」をみて、そのぶんのお金が必要だと考えます。つまりお金は、ものの値打ちをはかる「ものさし」にもなるのです。

Q.お金って簡単に借りても良いもの?

欲しい本を見つけたんだけど、おこづかいが足りない。友だちにお金を借りようかな。

【A.子ども同士のお金の貸し借りは大きなトラブルにつながるかも】

おこづかいが足りないということは、お金を借りてもすぐに返せないということ。かりに「1週間後には返せる」と思っていても、約束を守れず、いろいろなトラブルになるかもしれません。

もしお金を借りたとして、きちんと返そうと思って「来週返すね」と言ったはずなのにとつぜん「明日返して」と言われたり、300円借りたのに「500円貸したはず」と言われたり……。

思ってもいないようなことを言われてケンカになり、別の友達や大人まで巻き込んだり、友だちをなくしたり、イヤな気持ちで心に傷がついてしまうかもしれません。

逆に、お金を貸してと言われたらどうでしょう。「すぐに返す」と言っていたのに返してくれなかったり「返してよ」と言いにくかったり「えっ? いくら借りてたっけ?」なんてことを言われたりするかもしれません。

ですから、もし「お金を貸して」と言われたら「家のルールでダメって言われてるんだ」などとやさしく断るようにしましょう。

人と人のお金の貸し借りは、口約束だけではお互い守ることがとても難しく、大人でもトラブルになったりしやすいので、子ども同士でするべきではありません。

子どもであるみなさんは、お金を貸し借りしない、持っているお金でいま買うか、お金をためて未来に買うかを考えることが大事なのです。

Q.いっぱいギフトをおくりたい!

すてきなライバーさんを見つけた。ライブ配信でいっぱい「ギフト」を贈りたいんだけど……。

【A.夢中になりすぎるのは気を付けて】

オンラインゲームのアイテムが欲しいとか、ライブ配信でギフトを贈りたいとか、アイドルやアニメの限定グッズが欲しいとか、ネットではいろいろな場面で「お金」を使いたくなることがあります。

ネット上でアプリのサービスを使いお金を払うためには、保護者の人にクレジットカードを使うこと、アプリを使うことの「許可」をもらうことが必要です。でも、使えるお金を制限していなかったりして、ゲームに夢中になりすぎた子どもがアイテムをどんどん買って10万円以上使ってしまった、などのトラブルが実際におきています。

ネットの世界では、本物のお金が見えていない、クリックするだけで買えてしまう、使ったお金の合計がすぐに分からないなど「お金」の感覚がおかしくなるということがあります。

ですから、みなさんは、実際の財布のお金と同じように、ネットでも「今日は●●円使った」「財布から●●円減ったことになる」「今日はこれぐらいにしておこう」などとお金についてしっかり考えること、計画的に使うことを意識してみてください。

使えるお金の額について家の人とルールを決めたり、自分の心の中で夢中になりすぎないよう気を付けたり、「見えない」お金を使いすぎないことに注意することが、これから大人になっていく中で大事になると思います。

第4回の記事では、「正しい情報を見分けること」について解説します。

イラスト/どんぐり。

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