不登校児童生徒の「居場所」に 区内幼稚園でフリースクール
文科省の昨年10月の調査によると、全国の小中学校における不登校児童生徒数は34万人を超え、過去最多となった。この様な状況の中、学校に行かないことを選択した児童生徒の学習をサポートする区内にあるフリースクールを取材した。
獅子ケ谷にある橘幼稚園の園庭開放日に開かれている「橘フリースクール」。同園の三上正芳園長と、自身の子どもを同園に通わせていた若鍋真秀さんの2人で立ち上げたスクールだ。
学習塾を営む若鍋さんにとって、子どもの不登校は身近な問題だった。「学校に行かないことを選んだことには様々な理由があるし、悪いことではないと思う」と若鍋さん。
三上園長も卒園生の中で学校に行けずに悩んでいる子どもの話を聞いて心配し、「学校以外の居場所として幼稚園で何かできないか」と模索していた時に若鍋さんから相談があり、意気投合。同園が月2回ほど園庭解放する土曜日に、学習や誰かと話せる居場所としてのフリースクールの実施を決めた。
「子どもが子どもらしくある場所」を目指し、時間内であれば来る時間、帰る時間は自由。「自宅から出ることにまずハードルがある」と考え、楽しく通える場づくりに注力。取材した日には、和やかな雰囲気の中で子どもたちが計算ドリルや漢字の勉強に取り組み、分からないところを若鍋さんがアドバイス。おもちゃで楽しく遊ぶ様子なども見られた。また、保護者が自分の時間を持てるようにと、別室も用意されていた。
参加した保護者の1人は「子どもが学校に行けなくなって困っていましたが、ここで友達もできて楽しそうで良かった」と話した。若鍋さんは「これからの時代、学びの選択肢としてフリースクールも肩を並べるのではないか」と話し、三上園長は「園としても『卒園したらバイバイ』ではなく、子どもたちが成長するための“母港”として継続的な支援をしていけたら」と語った。
同スクールの実施日など詳細は同園に確認を。