裏磐梯で、ダリ作品のような目玉焼きの流動体にうっとりする
第87回「タカ食堂」
第87回の「ふくしま定食部」は、国道459号線、裏磐梯は北塩原村を目指します。福島市から土湯峠を越えて猪苗代町を抜けて。
取材時は11月。駆け込み芸術の秋とばかりに北塩原村の「諸橋近代美術館」へお立ち寄り。
じっくりと芸術と異国情緒を堪能したら、そこから車で3分。今年(2024年)4月にオープンした「タカ食堂」さんへお邪魔します。
鮮やかな紺青色の暖簾にビシッと白抜きでタカ食堂。“食”と“堂”の間のスリットから入店すると、左手には無条件にテンションが上がる券売機。
このまま国道を進むと会津に入る北塩原村という場所柄、ソースカツ丼や山塩ラーメンなどのメニューも充実。
コルクボードに貼られたメニューがアピール合戦をしてきますが、今日は店名を冠した「タカ定食」と決めていました。
店内は、床面にまで陽射しが映り込むほど磨かれたウッド調。今日は、賑わう店内を見渡せる小上がり席をチョイス。
裏磐梯五色沼近くならではの他県ナンバーの往来や、向かいのコンビニで最終買い出しをする様子を眺めつつ、ノンアルコールビールで行楽気分を勝手に共有します。
一度お話ししたらファンになる店主ご夫妻のお人柄もタカ食堂さんの魅力のひとつ。この日も、周辺観光スポットや紅葉具合について、お客さんと気さくに温かいやりとりをされていました。
前回来店時は、外のノボリに従い「ソースカツ丼」をオーダーしました。以前この場所で営業していた「水峰」さんの名物を継承したメニュー。ソースの甘みと酸味のバランスが良く、会津らしさの中にも濃すぎない絶妙な味わい。
毘沙門沼の紅葉のように、カレーに枝垂れるカツが鮮やかな「カツカレー」も食べ応え十分。
さて、ノンアルリラックスで待つこと15分ほど。お盆に上に魅惑だけを乗せた「タカ定食」が到着。
五色沼になぞらえたかのように厚切りチャーシューが5枚。その上に身を委ねた目玉焼きが半熟でダブル。見てきたばかりのダリの柔らかい時計にも負けない流動体に惚れ惚れ!
まずはご飯の上にチャーシューを枕木の如く配置したら、その上に目玉焼きの半熟を壊さぬように移植。呼吸を整えたなら黄身への箸入れタイム。たちまち流出する黄身は、五色沼ならぬ黄色一色沼。
そーーっと枕木ごと引きずり出すように口まで運んだら、即至福。濃くてまろやかな玉子にブラックペッパー。脂身の旨いチャーシューと一緒に頬張れば、食べ応え十分!
窓の外の行楽客たちに見せつけるように掻き込んだら「こここそが裏磐梯の観光スポットだ」と心の中で3回復唱。
慌てなくても、目玉焼きはもう一つあるので、一度冷静さを取り戻してサラダへ。零れ出た黄身を拭う役目も担うキャベツの千切りにはフレンチドレッシング。
その横にはポテトとマカロニのハイブリッドなサラダと抜かりなし。お盆の隙間には、冷奴、ゴボウとこんにゃくのピリ辛煮、漬け物のトリプルコバチの充実。
後半戦は、ガラケーサイズのチャーシューをマヨネーズにサッと掠めるところから。ご飯を追っかけ頬張ったら、スープを啜るルーティン。味噌汁じゃなくてスープも良いものです。
さて、焦らしに焦らして熟成させた、もうひとつの目玉焼きに箸を移す時間が来ました。こちらは割らずに口まで移送。奥歯で噛んだらまろやか宇宙のビッグバン。
野菜もたっぷり、チャーシューもたっぷり。お腹いっぱいになって、ノンアルのグラスを干したら、また紅葉の土湯峠を戻りますか。
美術館は冬季休館になりますが、茶碗の上のダリを胃に収蔵する一日もオススメです。
これからは五色沼のようなカレーもダリのような目玉焼きも堪能できる、タカ食堂さんが裏磐梯に来る目的ですね。
「見たか聞いたか、タカ食堂」。
ごちそうさまでした!
タカ食堂
住所
耶麻郡北塩原村檜原剣ケ峯1093-468
電話番号
0241-23-9888
営業時間
11:00~15:00
※12月~スキーシーズンの土・日曜日は11:00~17:00
※グリーンシーズンの金・土・日曜日は夜(17:00~19:00)も営業
※天候により営業時間変動の場合あり
休み
毎週月曜日、火曜日不定休あり
駐車場
あり