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これはもう、ホントに1000億いけるんじゃないかなと──マルチバースロボコの声優陣は「意味わかんないくらい豪華(笑)」。劇場版『僕とロボコ』チョコレートプラネット・松尾駿さんインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)にて連載中の、累計発行部数150万部を誇る宮崎周平先生による人気コミック『僕とロボコ』。TVアニメ化を経て、ついに劇場版『僕とロボコ』が2025年4月18日(金)より公開中。

畳みかけるようなテンポで繰り広げられるギャグやパロディなどを各話3分の本編尺に凝縮させた情報量の多さから、“体感5秒”の爆速ショートアニメとして注目を集めた本作が、映画になってさらにスケールアップ!

主人公・ロボコの声を務めるのは、チョコレートプラネットの松尾駿さん。さらにロボコ(王道バトルの世界線)役に田中真弓さん、ロボコ(本格SFアクションの世界線)役に千葉繁さん、ロボコ(ラブコメの世界線)役に上坂すみれさん、ロボコ(昭和ギャグ漫画の世界線)役に野沢雅子さん……とレジェンド声優の参加のみならず、松尾さんの相方である長田庄平さんが大幹部役として参戦していることも話題を呼んでいます。

ギャグとパロディ、そして誰も傷つけない“優しい世界”が、スクリーンいっぱいに広がる春に向けて。劇場版『僕とロボコ』のお話を松尾さんにお伺いしました。

【写真】劇場版『僕とロボコ』チョコプラ松尾 駿インタビュー

「芸人がアニメの声をやってる意味」ってそこだと思うんですよ。

──「鬼滅超え」を狙っているという本作。松尾さんとしてはどんな気持ちで挑まれましたか?

チョコレートプラネット・松尾 駿さん (以下、松尾):『鬼滅の刃』はどれくらいの興行収入なんでしたっけ……(スタッフに確認して)なるほど。そうですね。気持ちとしては1000億円狙うつもりでやりました。もちろん気負いはないですけど、それくらいのスケール感というか、気持ちでは取り組みましたね。

──TVアニメから劇場版へ進化した部分で、どんなところに面白さを感じましたか?

松尾:物語がめちゃくちゃ壮大になってて、本当に“劇場版”っていう感じになってるんですよ。僕らが子どもの頃に観てたジャンプ映画のような、あのワクワク感というか。今回の劇場版でもまさにそれが再現されてると思います。めちゃくちゃ満足できる作品になっているんじゃないかなと。

──今回の劇場版には大先輩の声優陣が参加されていますね。

松尾:いやもう、意味わかんないくらい豪華で(笑)。TVアニメも十分豪華だったんですけど、それ以上のものが劇場で実現してるのがすごいなって。バラエティじゃなくて、アニメの現場でこんな人たちと一緒になるなんて、これが最初で最後なんじゃないかなって。すごいっすよね。小学生の頃の自分が見たら、びっくりすると思います。

──収録はご一緒されたのでしょうか?

松尾:今回は基本的に(ボンド役の)津田美波さんと一緒に収録していて、収録が数日に分けて行われる中で田中真弓さんや千葉 繁さんの声が入った素材に僕らが声を入れるタイミングがありました。……もうこっちもテンション上がりましたね。“やっぱりレジェンドってすげえな”って。

──映画のアフレコはいかがでしたか?

松尾:もちろん楽しかったです。でも大変なこともあって……やっぱり“ジャンプ映画の主演”ということで、座長としてちゃんと頑張らなきゃなという気持ちはありましたね。

── アフレコの際、松尾さんに対してのディレクションはありましたか。

松尾:最初、TVアニメのときは“声を作った方がいいのかな”と思ってやってたんですけど、監督から“もっと普通でいい”って言われて。結局、ほぼ僕の素の声でやってるんです。劇場版でも特別何か“作っている”という感じはないですね。

── では、アフレコはかなりスムーズに……?

松尾:いや、全然スムーズじゃないです(笑)。テンポがめちゃくちゃ早いし、イントネーションも細かく指示をいただくので、そこを調整するのが大変でした。それと、やはりギャグ作品ですし、僕自身芸人ですし、テンションを上げるところはしっかり上げて、急に落ちる場面はぐっと下げて、というところは意識していましたね。

やりすぎないように、ちゃんと“塩梅”を意識しつつ、それを面白く言う……っていうところは大変でしたけど、でも“芸人がアニメの声をやってる意味”ってそこだと思うんですよ。「プロの声優さんが良かった」と言われないようにと言いますか、そこは頑張りました。

──ロボコはユーモアとチャーミングさがあって、本当に松尾さんにしかできない役だと感じています。そういった経験は芸人として得るものもすごく多いものでしょうか。

松尾:そうですね。芸人は声を出して、顔も体も全部使って笑いを狙いにいけますけど……声優さんって、“声だけ”で全部の感情を伝えなきゃいけない。これがめちゃくちゃ難しいなって思いました。改めて、声優さんへのリスペクトが深まりましたね。

──座長としては、どんなことを意識されていましたか?

松尾:いや、座長とはいえ声優としては一番下っ端なんで。一緒に収録していた津田さんと休憩に入るときは、僕が率先してブースの扉を開けていました。

──えっ松尾さんがドアを開けられていたんですか!

松尾:はい。扉の開け閉めをするのは新人の仕事という文化を以前教えてもらったので、僕がブースの防音扉を開けて津田さんがすぐに出られるように徹底していました。

──津田さんとは、以前から“師匠のような存在”ともおっしゃってましたよね。

松尾:はい、当初から津田さんには本当にお世話になっていて、分からないことがある度に「こうやってやるんですよ」って教えてくれて。僕のせいで収録が遅れても全然イライラもせず……いや、もしかしたら内心イライラしていたかもしれませんが……(笑)。本当に助けてもらいました。だからこそ、扉の開け閉めをするのは僕の中では当たり前のことというか。座長であり、一番下でもあるので、そこはちゃんとやりましたね。

── 津田さんからTVアニメの時にいろいろ教えてもらったとお話されていましたが、劇場版にあたってはアドバイスのようなものはあったのでしょうか。

松尾:劇場版では特に“こうした方がいい”みたいなアドバイスはなかったんですけど、TVアニメの収録時には、台本の書き込み方や、“セリフがページをまたいだ時はこっちに書いておいた方がいい”とか、ページのめくり方とか……細かいテクニックをたくさん教えてもらったんですよ。

それが今回は“実践編”というか、教えてもらったことを活かす場になりましたね。集大成、というほどでもないですけど、やっぱり積み上げてきたものを全部出す場だったなって思います。

──特にそれを感じた場面というのはありましたか。

松尾:いろいろな世界線のロボコたちが集結して力を合わせるシーンがあるんですけど、あそこは別録りだったんですよ。流れでは録らなかったんですよね。それほどすごく力を入れて録った覚えがあります。

(取材時点では)僕はまだ完成版を見られていないのですが、録音する時には田中さんや千葉 繁さんの声が入ってるのは確認していて、やっぱりすごいなというか。ジャンプ映画っぽいシーンでもあったので、頑張って声出して演じたので、やりきったなという気持ちもあります。

人生なにがあるか分からないなと

──もともと『僕とロボコ』の出演のきっかけはテレビ番組の収録だったんですよね。

松尾:はい。“いろいろな仕事してる人に話を聞く”という番組で、チョコプラ二人で集英社さんに行ったんですよ。そのときに原作者の宮崎周平先生を紹介してもらって、その話の中で、先生が「ゆくゆくはアニメ化される作品になりたい」とおっしゃっていたので、「その時はぜひお願いします」と声優出演のお願いをしていたんです。で、それを本当に覚えていてくださったのがきっかけになったみたいで。言ってみるもんだな~って思いましたね。口に出すって大事だなって。

──当時、初めて『僕とロボコ』を読んだ印象についても教えて下さい。

松尾:ギャグ漫画って、子どもの頃は純粋に笑ってたけど、大人になって読むと“笑えるかな?”ってちょっと構えるところがあって。しかも僕、芸人ですし。でも読んでみたら、本当に面白くて、“何これ!”って思いました。宮崎先生、すげえなって。そうしたらアニメ化すると。

── 幼少期に読んでいた漫画の印象と、大人になった今の印象は変わるものだと思いますが、子どもの頃に好きだった作品は何でしたか?

松尾:僕、『週刊少年ジャンプ』は毎週買って読んでました。僕らの時代は『SLAM DUNK』『ろくでなしBLUES』『ドラゴンボール』が連載していた時代で。でも特に好きだったのは『こち亀』(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)です。父親が好きで、そこから僕も読むようになって。100巻ぐらいまではコミックスを持っていた気がします。いろいろな情報が詰まっていて。秋本治先生って“何年も先のこと”を描いたりしてたじゃないですか。描くだけでも忙しいのに、いろいろな情報を取り入れて漫画を考えていたと思うと……すごいですよね。

── 映画にもパロディやネタがぎっしり詰まっていて、マルチバースロボコとしてたくさんのロボコが登場します。収録中に思わずテンションが上がった瞬間などありましたか?

松尾:やっぱり……野沢雅子さんとご一緒できるのは嬉しかったですね。物心ついたときから声を聞いていたような方なので、“すごい”の一言です。

田中さんの声を聞いたときもですが、野沢さんの声を聴いたとき“うわ、すげえな”って思いました。芸人のレジェンドの方と共演できる機会というのは、芸人を頑張っていればあることだと思うんですが……バラエティのゲストで共演することはあっても、アニメのフィールドで共演って、想像もしなかったです。しかもこっちが主演で、ですよ?

意味わかんないじゃないですか。でも、それってすごいなって。録っていたときもそうですし、こうして取材とか受けながら“めっちゃすごいことやらせてもらっているんだな”ってどんどん実感してきてます。

──人生なにがあるか分からないと言いますか。

松尾:そうですね。まだまだいろいろな仕事があるなと。

── 奇しくもコンビ結成20周年を迎えるアニバーサリーイヤーで、こういった出来事が起こるというのは松尾さんとして、やはり感慨深いものがあるのでしょうか。

松尾:そうですね、ちょうど4月から20年目に入るんですよ。そのタイミングで、18日に今作が公開されるのは、とてもいいスタートを切れるなって思っています。

まさか、(アニバーサリーイヤーの)最初の大きな仕事がこの劇場版になるとは想像してなかったですし、しかも相方の長田さんも大幹部様として出演するんです。2人でジャンプ漫画の映画化に声で関われるって、本当にすごいなと思ってます。

しかも長田さんってめちゃくちゃ漫画好きなんですよ。だから「絶対、俺のほうが好きだけどな」みたいなことを言うんです(笑)。“そんなこと言わんでもいいじゃん”って思っています(笑)。いや~、宮崎先生に(番組内で)言っといてよかったな”って思いました。言ってみるもんですね、ホントに。

家族で楽しめる作品。目指せ1000億!

── ロボコは規格外なメイドロボですけど、例えばご自宅にロボコが来たとして、松尾さんがお願いしたいことというのは……。

松尾:とにかくいいやつなので……家事は一切しなくていいから、じっとしててほしいです(笑)。絶対、ロボコが動くと何かが起こりそうなので。しかもよかれと思ってやってくれるんだけど、だいたい空回りするじゃないですか。だから、椅子を用意しておくんで、テレビ見ながら「これどう思う?」って話だけをしてもらいたいですね。

例えばテレビ番組のアンケートとかで「最近あった面白いこと」って書く欄あるじゃないですか。そういうときに“ネタがないな……”って思ったら、“ロボコ、ちょっとごはん作ってくれない?”ってお願いして、絶対何か変なことしてくれると思うんですよ。それをそのまま書きたいなとか。

──(笑)。なにかやってくれそうですね。

松尾:あとはうちにも子どもがいるんで、ロボコにはぜひ遊び相手になってもらいたいですね。ただ、普通の遊び方はしないと思います。でも、ケガさえしなければ全然いいんで。ボディーガード的な意味でも安心ですよね。

──お子さんと言えば、この劇場版もお子さんたちが楽しめる内容ですよね。

松尾:最近親御さんから「この子が『僕とロボコ』好きなんです」という声を聞くことが増えてきて嬉しいですね。最近はサブスクでアニメが配信されていることもあって、「子どもが観てます」って声を聞くようになりましたね。そういう時は「ご主人様!」って言うと、子どもたちはウケてくれます。

いろいろな(バラエティなどの)番組を「観ています」と同じくらいの頻度で言われますね。TVアニメの放送からはだいぶ時間が経ってますけど、そうやって観てくれてる人が増えてるから、今回の劇場版はすごくいいタイミングだなと思ってます。これはもう、ホントに1000億いけるんじゃないかなと。

子どもも絶対楽しめると思うし、やっぱ『僕とロボコ』を観てる子たちは、優しくなれる気がするんですよね。悪い人が誰ひとりいない世界って、すごいことだと思います。みんながこういう気持ちでいられたらいいな、って思いますね。

──パロディは大人がくすっと笑えて、子どもはそのままでも楽しめる構成になっているのも魅力です。

松尾:例えネタがわからなくても、子どもは純粋に“面白いギャグアニメ”として楽しめると思いますし、大人は懐かしさも含めて笑える。家族みんなで観に来てほしいです。

── 松尾さんご自身は、ご家族と映画をご覧になることも?

松尾:子どもを連れて行ったことあるんですけど……まだ集中力がもたなくて途中で飽きちゃってダメでしたね。でも今回はぜひ連れていきたいですね。『僕とロボコ』はテンポもキュッとしてるから、いけるかもしれないなって思ってます。奥さんとも映画って全然行ったことがなくて。あ……でも一度だけあるかな。『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』だ。奥さんとも観に行きたいですね。

──今回は主演として松尾さんの声が映画館で響くわけですものね。

松尾:あ、そうか……。今言われて初めて、“あ、映画館で自分の声が流れるんだ”って実感しました。“観てほしい”とばかり言っていましたけど、自分が映画を観に行くって、ちょっと楽しみです。でも、自分の声よりも、お客さんのリアクションの方が気になっちゃうかもしれません。不思議とお笑いの仕事ではそこまで気にしないんですけど、『僕とロボコ』に関しては気になりますね。自分が観に行って、もうなんなら、自分から拍手をしたいですね。それに続いてくれるのか……。

──松尾さん気づかれるのでは……(笑)。

松尾:いや、多分気づかれないですよ。完全防備で行きます(笑)。

── 膝も隠して(笑)。お子さんをはじめ幅広い層の観客にとって、どのシーンが特に楽しめそうでしょうか?

松尾:もう本当に、初っ端から一気に畳みかけてくるんで、とにかく“最初さえ見てもらえれば”って思います。入口に立ってもらえたら、あとはそのままずっと面白くて止まらないんで、引き込まれていくと思います。

あとは、みんなで参加したくなるようなシーンもあって、そこは特にお子さんたちがキーになると思います。で、親御さんも一緒に笑ってくれたら最高ですね。ほんっっっとに、家族みんなで楽しめる映画です。

──さきほどお子さんたちからの声についての話題がありました。芸人仲間からはどのような声がありますか?

松尾:吉本の中で一番のアニメ・漫画好きって言われている、トレンディエンジェルのたかしさんがめっちゃ褒めてくれました。「松尾、『ジャンプ』漫画のアニメで主演で、それが劇場版になるなんて、めちゃくちゃすごいじゃん」と。普段そう言われることがないので「ちゃんと分かってくれている人がいるんだ」って思って、すごく嬉しかったです。

── 前回のアニメイトタイムズのインタビューでは、新生活を迎える方に向けて「とにかく飛び込んじゃえばなんとかなります」というお言葉をいただきました。今回もまた4月、新たなスタートを切る方が多い時期ですし、チョコプラにとってもアニバーサリーイヤー。このタイミングで、改めてエールの言葉をいただけますか?

松尾:もう“飯食っとけばなんとかなる”と思ってます。自分の好きなもん食っとけば、だいたい元気出ますよ。落ち込んでる時って、たいてい腹減ってるだけなんじゃないかって思うんですよね。

だから新生活を始める皆さんも、好きなものをしっかり喰っておけばなんとかなるんじゃないかなと。僕の場合はチキンとかですね。フライドチキン。油がビッチョビチョになっているフライドチキンを喰うと、もう“命もらってる!”って感じがして、エネルギーになります。

── 好きなものを食べて劇場版『僕とロボコ』を観たら完璧ですね!

松尾:そう! 『僕とロボコ』を観て、膝をキレイにしておけば最高です(笑)。やっぱ膝がカサカサしてるとテンション下がるんで、ちゃんと保湿しておくといいと思います。

[インタビュー・逆井マリ 写真・MoA]

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