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向島・東向島さんぽのおすすめ8スポット。昭和も、異国も、時空を超える迷宮

さんたつ

【散歩の達人】HOLLYday_2

江戸時代から続く花街があり、下町風情も色濃く残る向島。最近は、若い人たちが集まってきて、面白くておいしいお店が増えている。お店同士の仲の良さもいい感じ。迷い込んだら帰りたくなくなるかも!?

物語がぎゅっと詰まった喫茶店『HOLLYday(ホリデイ)』

たまご焼きサンドハーフ680円、ウインナーコーヒー700円。
若かりし先代・ホリさんとおかみさんの写真。
イラストはホリさんと立山さん。

1964年創業の「喫茶HOLLY」。「ここでの毎日がずっと続きますように。そんな思いを込めて『HOLLYday』としてお店を引き継ぎました」と店長の立山紫野さん。先代ホリさんから受け継いだたまご焼きサンドは素朴で優しい味。ホリさん直伝の自家製マヨネーズが味の決め手だ。内装もほとんど手を入れておらず、いかにも昭和の喫茶店という趣き。つい長居してしまう心地良さ。

営業日時はInstagramで要確認。
☎なし

住宅地に突如(とつじょ)ハワイの風が吹く『GRAB and GO GOODIES(グラブ アンド ゴー グッティーズ)』

ベーコンジャム1300円、サンセットハウピアボウル(ハーフ)1700円。

“ローカルハワイ”をコンセプトに、サンドイッチ&アサイーボウルを提供するカフェ。「ベーコンとタマネギをバルサミコ酢で煮詰めた、甘苦いベーコンジャムは女性におすすめ」と代表の添田亮さん。低温調理のチキン、野菜ともに。アサイーボウルは5種。サンセットハウピアボウルは、フルーツ100%のアサイーブレンドに、ココナッツアイス、バナナ、マンゴーをのせて。

8:00〜14:00(土・日は〜16:00)火・水休。
☎080-9468-4555

ビカクシダだらけの空間で魯肉飯(ルーローハン)『貯水葉(ちょすいよう)』

魯肉飯1200円。薬膳スープと副菜、烏龍茶付き。
豆花800円。

無機質なデザインの空間に吊り下がるのは、鹿の角のような葉姿をしたシダ、シダ、シダ!「ビカクシダと台湾が好きで、シダだらけの魯肉飯屋さんを始めました」と店主の小林雄一郎さん。魯肉飯は、皮付きの豚バラ肉がドーンとのった台南スタイル。脂さっぱり、味付けも甘すぎずいいあんばい。味玉、たくあん、パクチーで味変しながら、あっという間にごちそうさま!

11:00〜17:00(14:00〜は喫茶のみ)、水・木・金休。

昭和レトロなノスタルジックカフェ『古民家カフェ こぐま』

自家製和スイーツあんみつ玉600円、こぐま珈琲580円。

昭和2年(1927)に建てられた薬局の建物を改装した古民家カフェ。作り付けの薬棚は当時のままでペンキを塗り、現在は、陶器を飾るギャラリーとして使っている。柱時計も薬局時代のものだが今でも健在。「毎朝、ゼンマイを巻いています」と店主・山中明子さん。信州の寒天でフルーツと小豆から炊いたあんこを包んだあんみつ玉など、メニューはすべてお手製だ。

11:30〜18:00LO、火・水休。
☎03-3610-0675

和テイストのモチモチごま団子『胡麻団子 蓉(よう)』

ごまだんごお土産10個セット2200円(竹編箱付き)。

古い家屋をリノベーションした『ニュー曳舟荘』1階にあるごま団子専門店。ユズ、ピーナッツバターなど、餡は常時5種類。桜、杏仁など季節限定の餡も登場する。「中華菓子ですが、和菓子のテイストを取り入れています」と店主の中村航平さん。注文を受けてから揚げるので、アツアツを食べたいなら店内で。ごまさん(3個入り)650円〜。

11:00~17:00(土は10:00〜)、日・月・火休。

巧みなスパイス使いの新感覚中華『澁谷飯店』

海老チャーハン1100円、豚の角煮(2枚)1045円、馬告の焼売(3個)495円。
料理に合わせてナチュラルワインもどうぞ。
最新の営業状況はInstagramを参照。

レトロかわいい中華料理店。だけど味は本格派。「コンセプトは優しい中華。味付けは必要最低限です」と店主・澁谷悠さん。海老チャーハンのエビは下味をつけて、深みのある味に。焼売には、台湾のスパイス馬告を使い、レモングラスのような爽やかな香りが肉の旨味を引き立てる。角煮の八角も絶妙な加減。

12:00〜14:00LO・17:00〜20:00LO(ランチは平日のみ)、月・火休。
☎070-8583-0851

ビリヤニを食べて壺も買っちゃう!?『野島商店』

ラムのビリヤニ1150円+半熟たまごのピクルス150円と豆カレー200円。

ビリヤニ壺と壺炊ビリヤニ弁当を販売している野島商店。「ビリヤニ壺を売りたくて、お弁当の販売も始めたという経緯です」と、店主の野島二郎さん。弁当とあるがイートインもOK。ビリヤニはチキンやラムなどが日替わりで2種類。ダイコンのピクルスと、ヨーグルトにキュウリとディルを加えたライタが付く。壺は千葉南房総で作陶している西山光太さんの作品。

営業日時はInstagramで要確認。

サラミ&生ハムの工房直結!『Otis(オーティス)』

ジャンボブラン・太いサラミの盛り合わせ1500円。
ジョルジュ・デコンブ・ブルイィ2020 3850円。

都内では珍しいサラミと生ハムの工房兼店舗。カウンター奥に熟成室があり、ガラス越しに見ることができる。「サラミは白カビをつけて約40日乾燥熟成。生ハムは同じく半年乾燥熟成させ、さらに真空パックで半年寝かせます」と代表の大登重克さん。元はワインのインポーターという経歴で、店頭ではワインも販売。ナチュラルワインを中心に手頃な価格帯が充実。

11:30〜18:00、日・月休。
☎03-6657-1384

向島には“おいしいワクワク”がある

向島。浅草から隅田川の向こう側というのがその名の由来といわれている。“向こう側”って響きに、なんだかワクワク。今日の散歩は浅草側から言問橋を渡って行ってみよう。

向島料亭街の夕暮れ時、足早に歩く芸者さん。

まずは見番通りへ。見番とは芸妓(げいぎ)を料亭に斡旋(あっせん)する置屋のこと。かつて花街として栄えた向島は、今も料亭文化が息づいている。

「うちのたまご焼きサンド、ひと口が小さいんです。先代のホリさんが、芸者さんのおちょぼ口でも食べやすいようにしたとか」と話すのは、見番通りに並行して走る水戸街道沿いの喫茶店『HOLLYday』の立山さん。もともとこの店の客だったが、縁あって引き継ぐことに。ホリさんが60年近く続けたお店「HOLLY」時代の常連さんも足繁く通う。

立山さんは「すみだ青空市ヤッチャバ」の事務局メンバーだったこともあり、地域とのつながりも深い。「開店準備は、野島さんにも手伝ってもらいました。壺炊きビリヤニ、もう食べました?」。いや、まだです。壺炊きとは? これは行くしかない。

入り組んだ路地裏に誕生した複合施設「ニュー曳舟荘」。
かつて赤線地帯だった玉の井いろは通りの路地裏。
緑いっぱい向島百花園。

水戸街道をまっすぐ進むと、白い木枠に、タイル張り、レトロモダンな建物があった。ガラス扉に小さく「野島商店」と書いてある。扉を開けると、なぜか壁に鏡が並んで貼ってある。「ここは理髪店だったんですよ。これはドレッサーの鏡でした」と店主の野島さん。早速注文すると、エキゾチックな壺からビリヤニをよそってくれた。店内にはカラフルな壺がたくさん並び、販売もしているという。

「『Otis』さんへはもう行きました? サラミと生ハムの工房です。東京で作っちゃうってすごくないですか?」と、またまた地元ネットワークで情報ゲット!「結束という感じじゃなくて、ゆる〜いつながりがあって。そこがなんかいいですよね」と野島さん。

『Otis』で出迎えてくれたのは大登夫妻。「試食いかがですか?」と奥さま。岩中豚の生ハムは薄切りで、口に入れると脂がとろけ、旨味と甘みが広がる。ゴルゴンゾーラ、いちじく&レーズン、時にはチョコレートなどいろんなフレーバーのサラミがあるのも楽しい。今晩のアテはここで調達だな。ナチュラルワインも揃っているし、ソムリエでもある大登さんに相談しながらセレクト。「生ハムはごはんにのせてもおいしいですよ」って、シメまで決まった。

戦火を逃れた街並みが非日常へと誘う

次は鳩の街通り商店街。昭和初期から続く商店街だが、現在は住宅がほとんどだ。

「かつては大変なにぎわいだったそうです」と『古民家カフェ こぐま』の店主・山中さん。一帯は、東京大空襲を免れたため、戦前の建物が今でも残る。こぐまの建物も昭和2年(1927)に建てられたもの。「五軒長屋の一つで、薬局だったんですよ。ほら」と言って入り口を指差す。「医薬品 クスリ」の文字があった。コチ、コチ、コチ……。喧騒(けんそう)から遮断されたノスタルジックな空間で響く、時を刻む振り子時計の音。あれ、ここは東京? 昭和? まさかの異世界? なんとも不思議で落ち着く空間。ずっといたいけど、そろそろ日も傾いてくる。

のどかな鳩の街通り商店街の日常。

来た道を戻り、再び花街を抜けていくと、着物姿の女性が足早に料亭へ入っていく。向こうの島の夜はこれからだ。華やかな夜に思いを馳(は)せながら桜橋を渡って、もといた世界に帰ろう。

桜橋付近の首都高高架下の遊歩道より。

取材・文=瀬戸口ゆうこ 撮影=泉田真人
『散歩の達人』2025年8月号より

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