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話題の若手建築家ユニット大西麻貴+百田有希/o+hの展覧会が開催

タイムアウト東京

話題の若手建築家ユニット大西麻貴+百田有希/o+hの展覧会が開催

若手建築家ユニット、「o+h」(大西麻貴+百田有希)の展覧会が「TOTOギャラリー・間」で2024年11月24日(日)まで開催中だ。公共建築をはじめ、住宅、福祉施設まで幅広い分野で活躍し、2023年には日本建築学会賞を受賞した彼ら。さらに同年の「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」では日本館のキュレーションを担当するなど、国内外で高い評価を得ている。

Photo: Kaoru Hoshino大西麻貴(左)と百田有希

o+hは、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で掲げたテーマでもあった「愛される建築」や「建築を生き物として捉える」といったコンセプトをもとにさまざまなプロジェクトに取り組んできた。建物を機能的な構造物としてだけではなく、流れや循環の中で生きる存在として見なすという斬新な考え方を提示し、建築界に新たな風を吹き込んでいる。

Photo: Kaoru HoshinoGALLERY 1 展示風景

「生きた全体」と題する本展は、o+hが建築を作る上で大切にしているテーマを余す所なく伝える展覧会だ。

「GALLERY 1」の「コンセプトの庭」では、約30個のスタディ模型が展示されており、それぞれが「生き物のような建築」「なにをひとつとして捉えるか」「道としての建築」などの抽象的なテーマに基づいて制作されている。

Photo: Kaoru Hoshino「Good Job!センター香芝」の模型
Photo: Kaoru Hoshino「生き物のような佇まい」をテーマに制作された模型
Photo: Kaoru Hoshino「道としての建築」をテーマに制作された模型

これらの模型には、役割が固定されない建築の在り方や、過去・現在・未来とつながる建築の可能性などを模索しながら、「生きた全体」をどのように考えるかという問いが込められている。模型が互いに関係し合うことで、2人の建築哲学が視覚的に浮かび上がる。

これまで2人がプロジェクトを通して出合った出来事や記憶を、一つの物語として描いた壁画にも注目したい。

Photo: Kaoru HoshinoGALLERY 1 展示風景

「GALLERY 2」では、赤紫色とだいだい色の布で覆われた薄暗い空間が広がり、彼らの頭の中に潜り込んだような感覚が味わえる。ここでは、布で筒状に包まれた展示空間が目を引く。

Photo: Kaoru HoshinoGALLERY 2 展示風景

のぞき窓から見ると、彼らが携わってきたプロジェクトのスタディ模型が展示台いっぱいに一つの街を形成するように並べられている。まるでo+hの考えが具現化された世界だ。

Photo: Kaoru HoshinoGALLERY 2 展示風景

展示室には、それぞれのプロジェクトを深掘りしながら、o+hの具体的な活動を紹介するコーナーもある。福祉施設「Good Job!センター香芝」や児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」などのプロジェクトに関わった地域の人々の声や参考書籍、施設で作られた玩具などが紹介されており、その繊細な建築プロセスが一つ一つ丁寧に示されている。

Photo: Kaoru Hoshino「Good Job! センター香芝」の建築プロセスに関わる資料

さらに、2人の愛読書やオブジェを手にとって眺めることのできるスペースや、建材に使用された素材などを展示する「マテリアルライブラリー」も見どころの一つだ。これらも2人の思考にアクセスできる鍵として機能している。

Photo: Kaoru Hoshinoマテリアルライブラリー

大西が「空間体験自体を楽しんでもらいたい」と語るように、のぞき穴や小部屋が随所に配置された遊び心あふれる構成になっている。自由に探索しながら、彼らの世界観が体感できる点も本展の魅力の一つだ。

Photo: Kaoru HoshinoGALLERY 2 展示風景

2人の建築がこれほどまでに人々を惹きつける理由は、彼らの幼少期の記憶や読んだ絵本、自然環境といった身の回りのかけがえのない存在を大切にし、その思いを建築に反映させているからだろう。

これからの建築の在り方を根源的に思考し続けるo+hが生み出す建築は、全てが流動的で可変的であるという生物の仕組みを織り込みながら、未来への希望を感じさせるものばかりだ。さらなる飛躍が期待されるこの若き建築家ユニットの展覧会を見逃さないでほしい。

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