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趣味への関心を失ったことで、仲間との関係性が変わることが怖い…【お悩み#82】

Sitakke

Sitakke

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

だいぶとあったかくなってきて、時は早くも3月に。
街中には、卒業式を終えたのであろう学生ちゃんたちの姿がちらほら。
異動やらなんやらって話を聞いたりもして、春って別れの季節なんだなぁと、そんなことを実感させられる昨今ですよね。

ライター・満島てる子

仲良しの人と、時間的にであれ話題的にであれ接点が無くなるというのは、弥生の時期でなくても切ないもの。
「もしかするとこれで仲良くなくなっちゃうのかなぁ……」とさびしい気持ちを抱いた経験のある人も、少なくないんじゃないかしら。
今回はそんなお悩みと直面している方から、お手紙をいただいております。

読者のお悩み:趣味への興味を失ったことで、趣味仲間との関係性が変わることが怖い…

あら大変。趣味の喪失に加えて、友情を維持していくことへの不安まで抱えているだなんて。
「仲間がたくさん」ってことは、例えば推し活的なことを一緒にやっている友達が、周囲にいっぱいってことなのかしら。
どんな状況にせよ、ゆゆさん、今回はお手紙送ってくださりありがとうございます!

そうかぁ、「これまでの様に趣味の話で盛り上がる気持ちが持てなくなってしま」ったのね。
最初に言っておきたいんだけれど、ゆゆさん。
何が原因かをはっきりと把握しているわけではないし、「そんなのわかってるわよ!」って言われちゃうかもしれないんだけれど。
あなたがその趣味への「興味をなくしてしま」ったことって全然悪いことじゃないわよねと、まずあたしはこのお手紙を読んだ時、いの一番にそう思ったの。
そして同時に、それをあなたにきちんと伝えなきゃ!とも考えていました。

誰が悪いとかいうことではなく、集団の持つ同調圧力というのは強いものです。
いま、かつて楽しんでいた趣味のコミュニティに属しているゆゆさんにとっては、「嫌だとしてももう一度、この趣味に積極的な気持ちで向き合い、カムバックしなきゃいけないんだろうか……」と迷うこと、もしかしたら定期的にあるかもしれませんよね。

でも大丈夫、迷う必要は無い。
もし今、ゆゆさんがそのかつての趣味を完全に嫌っているわけではないとしても、それならそれで問題ない。
自分がその対象をどう感じるか、自分の気持ちに素直でいることが、今のゆゆさんにはきっと必要なんだろうなぁと想像していました。

それにしても…

にしても。……うん、友達関係だけは、どうにも難しいねぇ。
ゆゆさんには「その趣味、思うがままでいいからね」と言いたい一方で。

趣味をきっかけにつながり、すでに出来上がった周囲との関係性は、そう簡単に無碍(むげ)にできる、なんなら無碍にしたいものではないはずだろうなぁとも察するところがあるのよ。苦しいよね。
実はあたしにも、あなたと似たような経験をしたことがあったりするんです。

ゲイである自分を受け入れられず、研究の進捗も思うようにいかなくなり、大学にいることも含めて何もかもに興味を持てなくなってしまったとき。
それこそあたしは、ずっと研究室で様々な人たちと出会い、親睦を深め、なんなら互いの思索と思考を深め合えるような仲を育んできたはずだったのに。

そんな周囲との関係性を苦々しく感じてしまい、できる限りつながりを断ち切るという方向性で、寂しいくせに一種衝動的に動いてしまった過去があるの。

幸いなことに「研究」という共通項が無くなったとしても、みんななんだかんだでその後も歩み寄ってくれたし、今もお店に遊びに来てくれたりもするんだけれど。
あの頃のあたしは、ゆゆさんと同じように確実に「マイナスの感情のループに陥って」いたと思うし、かなり自暴自棄になってしまっていたような気がするのよね。あれはしんどかった。

だからね。ゆゆさん。
なんだかあなたの話って、人ごとだとは思えないの。昔の自分のことを聞いているようで。
かつての「和希くん」と対峙しているような感覚になるというか、なんというか。
置いてきた過去と、再び向き合っているような気持ちにさせられるのよね。

そんなこんなで、いつものコラムよろしく、今回もまたもや。
投稿者の方のお悩みをきっかけに、おのれのためにも言葉を綴ってみようという気持ちが、ふつふつとあたしのこころの中に湧き出てきたりしているのでした。

わが家のお花コーナーシリーズ。「スノーフレーク」の花言葉のひとつは"汚れなき心"、"純真な心"。

あたしなりのAnswer

さて、ゆゆさん。
あなたにとって耳障りのいいことだけを書くかどうかは、確実にそうするね!だなんて保証できないんだけれど。
自分なりの応援メッセージというか、ゆゆさんの今抱える「淋しさと不安」がちょっとでもこのコラムで晴れるよう、あたし、こっから頑張ってみるわね!

それでなんだけれど。
まずゆゆさんにはあたし、自分や友達を「信じること」を、これから何よりも大切にしてほしいなぁと思ったの。

……唐突すぎて「いきなり何事?」と思われちゃったかもしれないわよね。笑
でも結構これ、本気のアドバイス。

あのね。
誰かとの出会いっていろんなきっかけがあって、「共通の趣味がある」ってその中でも強い結びつきを生んでくれたりするもの。
でもより大事なのは、その出会いの後どんな時間を一緒に歩んだか。

うつろいゆく時間のなかで、それぞれも生活環境や本人自身が変化しているはずなのに、それでも気が合うからこれまで一緒にいた。あなたと過ごしてきた。
それは、趣味に関する盛り上がりを別にしても、ゆゆさんといるのがそもそも楽しく、心地よかったからだと思うんです。

そうやって、あなたのことを友人として、愛しく思ってくれている相手の気持ち。相手からの信頼。ゆゆさんはそれを、今こそ率直に受け止めてみてほしい。
そして、そんなふうに信頼されている自分自身のことを「うん、あたしは大丈夫」と、自分でもしっかり受け止め、信頼してあげてほしいのよ。

他者との距離ができる可能性を感じて抱いてしまう寂しさ(もしかしたらこれって、一種の「分離不安」とも言えるかもしれません)。
その根幹は大抵、セルフラブの不足と結びついています。
ゆゆさんに目下必要なのは、友達の方を見てその距離感を案じることではなさそう。
みずからに目を向けてそのこころをケアしてあげること、そっちな気がするんだよね。

「これまでと同じ関係ではいられないだろうことも現実」と、お手紙の中に書いてくれていたけれど。そんなちょっと悲しくて厳しくも、避けえない現実と向き合うために。

ゆゆさん、あなたはあなたのことを。いや、素敵な仲間を作ってこれたあなたという存在のことを、あなたなりにしっかり愛してあげてください。

そんな、ゆゆさんのなかでの足がためさえできれば。
仲間たちに今の自分の気持ちを正直に話すことも、そう遠くないタイミングでできるようになるんじゃないかしら。
自己開示は、あなたのことだけでなく、周囲のことも救ってくれるはず。
きっとゆゆさんの周りの人たちたちは「変わらず友達」どころか「変わっても友達だよ!これまでもこれからもよろしくね!」と、笑顔であなたに声をかけてくれるのではと、あたしは思います。


「仲間でいる事も許されない」だなんて、ない

「仲間でいる事も許されない」だなんて、そんなことはないのよ。
確かに、趣味という共通点は失ったのかもしれない。
でも、それ以外にみんなと積み重ねてきた、たくさんの時間や経験があるはずです。

もしその積み重ねをもってしてもすれ違ってしまうのなら、それはきっと、タイミングや気質といった、いろんなものがたまたま合わなかっただけ。
そして、それでいいの、大丈夫。つながるべき人であれば、またゆゆさんと近しくなることもあるはずだし。こころ軽く待っていたらいい。
というかゆゆさんには、そんなこころ軽くいられる人であることを、ぜひ意識してみてほしい。

難しいことかもしれません。
でも、確実にあなたも変わり、周りも変わっていく。そんな目まぐるしいこの世の中で巡り合うことのできた人たちと、少しでも長く一緒にいたいのなら。
自分を愛して、自分を信じる。かろやかに立って待ち、仲間と共に未来へ歩む。
ゆゆさんには、そんな穏やかなこころもちを作ることに、どうかトライしてほしい。別離の可能性という、暗い選択肢を見つめ続けるのではなくってね。

(あたしはこの点、女装を通じてセルフラブを得て、それを土台にゲイであることを自己開示できるようになった、この珍妙な人生の行き道を、今となっては感謝しています。)

うまくいかないときは、また連絡ください。
あなたと一緒に、友との付き合い方、もいちどウンウン悩んであげるから。

ゆゆさんとその周りの人たちが、これからも末長く、ともに歩んでいけますように。あたしも祈っておりますよん。
ファイトだぞ!いけいけゴーゴー、ジャーンプ!(某ささやきクマさん風)。

ま・と・め♡

というわけで今回は、趣味と友情をテーマに、よしなしごとをつづらせていただきました。

割とここに書いた内容、心底腐っていた学生のころの自分に、可能なら見せてあげたいぐらいなんだよなぁ。
周りの存在をそもそも肯定したうえで、自分で自分を信じること。
それがいかに大切なことなのかをあたしは、おめかししてカウンターに立つことを通じて、文字通り「身をもって」学んだような気がしております。

読者の皆さんも、素敵にセルフラブしていこ!
ではでは今日はこの辺で。Sitakkeね〜!

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『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』

■番組名 「ひとりの夜にあなたとあたしのしたっけラジオ」
■放送日時 毎週日曜日 午後7時30分~8時00分  ※初回放送:2024年10月6日(日)
■出演 満島てる子、HBCアナウンサー・森結有花
■番組メールアドレス st@hbc.co.jp
■Podacast: https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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