衛星とカラテア[ライブレポート]旅の終わりに紡がれた新たな光──熱狂が満ちた夜「私たちが光になってみなさんを照らします」
衛星とカラテアが、12月2日(月)にSpotify O-EASTで全国ツアー<銀河特急をさがして>ファイナル公演を開催した。9月の北海道公演を皮切りに全国10ヵ所を巡ってきたメンバーたちは、ツアーを通して培った成長を力強い歌声と表情豊かなパフォーマンスで表現。また、新曲も初披露し、会場は熱気と感動に包まれた。本記事では、“銀河を巡る旅”の終着点にふさわしい輝きに満ちたステージの模様をお届けする。
取材&文:竹内伸一
撮影:真島洸
月を模したオブジェが上空に浮かぶステージから青いライトが放たれ、それが白色に変わり、会場中を駆け巡るように照らし出すと、ポエトリーが流れ出す。しかしながら、超満員となったフロアからの大歓声がそれをかき消してしまう。まだメンバーも登場しない段階から、会場のテンションは沸点を超えているといった雰囲気。誰もがこの日のワンマンを待ち焦がれていたのがわかる。
すると、ステージ後方の一段高くなったセット(5人分のスペースがあり、段違いに配置されている)にメンバーが登場。黒いローブを羽織ったままダンスを披露し、会場にクラップを促す。すぐさま大きな手拍子が5人を盛り立てると、SEの終わり際、後ろを向いた5人がさっとローブを脱ぎ捨てて、黒い衣装をまとった彼女たちが凛々しくポーズを決めた。
間髪入れず「ワガママ」のイントロが流れ出し、波澄しずくがしっとりと歌い出す。ピアノの調べに乗ってそのまま5人で歌いつなぎ、ドラマティックな雰囲気を作り出したかと思うと、一転、バンドサウンドへ。それをきっかけに5人はステージ前方へ駆け出す。久木田菜々夏が“最高の景色を作っていきましょう!”と大絶叫すると、会場からは怒号のような大コールが発生。その声に乗って5人はダイナミックなパフォーマンスをくり広げていった。
その勢いのまま「Orion」へとつなぐと、5人はステージ前方に設置されたお立ち台に代わるがわる上がって、フロアの後方まで視線を届けていく。サビで5人が手を掲げるとフロアも一斉に手を挙げ、なんとも壮観な景色が生まれた。
「ベストアンサー」では、激しく見応えのあるパフォーマンスを見せるパートと、可愛らしさを垣間見せるパートを行き来しながらコントラストで魅せる。「蒼いヒマワリ」は優雅さをたたえたステージングで魅了。久木田の“みんなで一緒に!”の声とともに全員でジャンプを決めると、会場の熱気はさらに高まった。
ラップ風のパートも交えた「明日、告白されそうです」を小気味よく歌い踊り、エンディングでは会場中が一緒になって踊りまくる。まだまだライブは前半戦だが、もう最終盤のような熱狂ぶりだった。
一気に5曲を披露し、ようやくMCタイム。“最高の時間を過ごしましょう!”(久木田)、“1日かけてみなさんのことを幸せにします!”(白咲)、“最高の景色をお届けします!”(春瀬もも)、“全力パフォーマンスでここにいる全員を虜にします!”(日南ことり)、“今日はEASTをカラテア色に染めちゃいます!”(波澄)とそれぞれに決意を語り、最後は再び春瀬が“史上最高の今を更新しましょう!”と声を上げると、会場は温かい拍手に包まれた。
ライブを再開し、今度は「プロローグ」「綺麗事じゃない夜をこえて」と、疾走感あふれるナンバーを力強く歌い上げていく。「Hello World」はストリングスを中心とした荘厳なアレンジで披露。ミラーボールが光を放ち、神秘的な雰囲気を作り出す中、ステージ後方に立ち、5人の美しい立ち姿と感情を込めて熱唱する歌声が見応えのあるシーンを作り出した。
さらにバラードの「sora」を続ける。星や月の映像をバックに、切ない歌声でしっとりと歌い、間奏では優雅なダンスをくり広げる。次第に熱気を帯びていくパフォーマンスは、最後には5人がユニゾンで熱く、そして力強く歌い上げて見事なクライマックスへと導いた。
ステージ後方センターに立った久木田をピンスポットが照らすと、本を片手に彼女が朗読を始める。“満月”という言葉をきっかけに上空の月が照らし出され、なんとも幻想的な雰囲気を作り出す。
気がつくとメンバーが全員揃い、“いつもありがとう”と声を揃えるとライブは後半戦へ。「twilight sky」のキャッチーなサウンドに乗って、会場からは大きなコールが巻き起こり、ライブは再び熱狂モードに。サビでは5人の歌声に会場が“Wow~”のコーラスで参加。O-EASTに集まった全員で楽曲を完成させた感動的な名場面となった。
“次の曲は新曲になります”の声に続いて「Thousands moment」のイントロが流れ出すと、いきなりコールが発生。初めて聴くにも関わらず、この観客の対応力の高さには驚かされるばかり。ともかく、アップテンポでエモーショナルな歌声が映える新曲は、彼女たちの真骨頂といったところだろうか。ちなみに、後のMCによると“カラテアの道のりと未来を込めた曲”(久木田)、“多くの人に伝えたい大切な曲”(波澄)。これからの彼女たちを支える楽曲となりそうだ。
「ツヨク」では白咲が“一緒に!”と煽り、会場を踊らせ、春瀬が言葉にならない絶叫を上げるとこれまで以上の大コールが発生。そのパワーは天井知らずといった感じで、メンバーからすれば本当に心強いものだろう。
続いて「image」「Daydream」「僕らは彩に溢れている」をメドレーで披露。白眉は曲のつなぎで披露したダンスパート。ここまではどちらかと言えば優雅さの中に力強さを感じさせるダンスが多かったように思うが、ここではクールで切れ味鋭い動きをしっかりとシンクロさせて、ここまでとは違う一面を見せてくれた。
MCでは、春瀬がコール&レスポンスで会場をさらに炊きつける。常連組と初参戦組に分けて行なったが、どちらもものすごい声量。初めて彼女たちのライブに訪れた人たちも、その想いは常連に負けていないということだろう。だからこそ、ここまでの熱狂が生まれたのだ……などと考えていたら、「bitter tune」でさらなる大コールが発生し、メンバーを力強く後押ししていく。5人のパフォーマンスもさらに白熱し、ステージを駆け回り、ジャンプをくり返した。
「マーマレード」ではポップかつキュートなサウンドに乗って可愛らしさ全開でパフォーマンス。サビで再びのダンス大会となり、会場中がまたもや大熱狂。そのまま「Stardust story」へなだれ込むと、フロアは大きなジャンプをくり返す。その光景はパンクバンドのライブかと見紛うほど。だが、決してやみくもに暴れているわけではなく、それは心底楽しんでいるといった雰囲気に満ちたものだった。そんな光景に、メンバーの表情もとびきりの笑顔に。“みんな一緒に!”の声を合図に全員でピースを決めて、狂騒の時間を締めくくった。
ツアーファイナルもいよいよクライマックス。ゆったりとしたグルーヴが心地よい「想い月」を、5人は伸びやかに歌い染めていく。ここでもまた徐々にその声に熱気がこもっていき、後半は後方のステージに立って力強い歌声を響かせた。最後は中央に集まり、座り込む。そしてゆっくりと月を見上げると、大きな拍手が巻き起こった。ツアーファイナルを締めくくるに相応しい感動的なエンディングだった。
終着駅へとたどり着いた銀河特急
アンコールを求める声が響く中、映像が流れ出し、今回のツアーの様子を振り返っていく。最後には“2025年4月7日 Zepp Shinjuku”の文字が。すると「ヒーロー」のイントロに乗ってメンバーが登場。久木田はステージを左右に駆け抜け、日南はお立ち台に上がり、波澄はクラップを促すといった具合いに、5人の動きもさらに見応えのあるものとなり、もちろん会場も呼応して狂騒の続きを楽しんだ。本編ではストリングスを交えたアレンジで聴かせた「Hello World」を、今度はオリジナルのアレンジで披露して会場を踊らせると、本当にツアーの最後となる「夢中飛行論」へ。“EAST!”の声とともにメンバーと観客が一体となって大合唱をくり広げ、最後は銀テープが打ち放たれ、会場をきらびやかに彩る中、全国10ヵ所を駆け抜けた“銀河特急”はついに終着駅へとたどり着いた。
最後は久木田が5人を代表して“私たちが光になってみなさんを照らします。これからもよろしくお願いします”と挨拶。そしてマイクを外し、声を揃えて“ありがとうございました!”と絶叫。大きな拍手の中、5人はステージを降りた。
しなやかさと力強さ、そして思いの丈をぶつけるような熱さが同居する彼女たちのパフォーマンスは、2時間に及んだライブがあっという間に感じられるほど充実したものだった。何より、観客の熱狂ぶりが素晴らしく、トラックの音を凌駕するほどの大歓声はすごいという言葉しか見当たらないほどの迫力だった。衛星とカラテアの次なる目的地はZepp Shinjuku(TOKYO)。O-EASTよりも1回り大きな会場となるが、これほど心強い味方を持つ彼女たちであれば、恐るるに足らず。メンバーとファンがまた1つになって、この日以上の景色を見せてくれることだろう。
衛星とカラテア 全国ツアー<銀河特急をさがして>ファイナル公演
2024年12月2日(月)
Spotify O-EAST
SE
M1.ワガママ ReArrange ver.
M2.Orion
M3.ベストアンサー
M4.蒼いヒマワリ
M5.明日、告白されそうです
MC
M6.プロローグ
M7.綺麗事じゃない夜をこえて
M8.Hello World ReArrange ver.
M9.sora
MC
M10.twilight sky
M11.Thousands moment
M12.ツヨク
M13.リミックスメドレー(image〜Daydream〜僕らは彩に溢れている)
MC
M14.bitter tune
M15.マーマレード
M16.Stardust story
M17.想い月
〜アンコール〜
EN1.ヒーロー
EN2.Hello World
EN3.夢中飛行論