ランドセルの中身だけで最大4kg。タブレットは持ち帰り?置き勉? 今後の方針を文科省に聞いた
教科書、ノート、水筒に加え、小学生が持ち帰る荷物には、学校から1人1台配備されているPCやタブレット端末もあります。それらの重さは合わせて約4kgになることも。端末も「置き勉」することはできないのでしょうか? 文部科学省に聞くと「端末は、毎日持ち帰ってほしい」。その理由とはーー。
教科書やノート、タブレット端末、水筒、筆箱、体操着など、ランドセルの中身だけで最大で約4kgの荷物を背負っている......。
創業60周年を迎えた老舗ランドセルメーカーの土屋鞄製造所が2024年9月、小学生のこどもがいる保護者662人に「ランドセルの中身に関するアンケート調査」を実施したところ、小学生の荷物の重さが明らかになりました。
教科書とノートで1kg以上
教科書やノートが多い日は、合わせて「3冊未満」が14.5%、「3冊以上5冊未満」が38.4%で最も多く、次いで「5冊以上」が33.1%となりました。1冊あたり約200gと仮定すると、3人に1人は紙教材だけで1kg以上の荷物を持ち運んでいる計算になります。
また、曜日によって荷物の重さは変わります。週末に上履きや体操着を持ち帰ることなどから、最も荷物が重い曜日は「月曜日」(41.1%)、次いで「金曜日」(27%)となりました。
水筒を持参しているという児童は37.2%。新型コロナウイルスの感染拡大や熱中症対策がきっかけで、荷物が増えつつある傾向がみられます。
「置き勉」は認められている
文部科学省は2018年、「教科書や教材、学用品や体育用品が過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねない」として、「置き勉」を認める通知を各都道府県の教育委員会などに出しました。
にもかかわらず、調査では、学校で「置き勉」が推奨されていなかったり、実際は教科書を持ち帰っていたりする実態も明らかになりました。
「置き勉」ができない一因が、PCやタブレット端末の持ち帰りです。
2019年度から本格的に始まったGIGAスクール構想により、公立小学校では児童に1人1台の学習用タブレット端末が配備されています。
2024年度の全国学力・学習状況調査によると、国公立・私立の小学校1万8673校の回答のうち、配備された端末を児童が「毎日持ち帰っている」が36.3%、「時々持ち帰っている」が49.8%、「持ち帰らせていない」「持ち帰ってはいけないこととしている」が合わせて8.6%でした。
持ち帰る理由としては、家庭学習で使用するほか、家庭で充電してくるように指導している学校もあります。
文科省は2025年度以降、学校のICT環境や充電装置の整備を進める方針を示しています。端末の持ち帰りについてはどのような方針になるのか、OTEMOTOは、初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームに取材しました。
常にそばに置く「学びの道具」
ーー1人1台端末の持ち帰りについては、何かルールがあるのでしょうか。
端末を持ち帰るかどうかは各自治体や学校の判断によります。ただ、文部科学省としては持ち帰ってほしいと考えています。
ーー「置き勉」は認めていますが、端末の持ち帰りを推奨するのはなぜでしょうか。
端末は、こどもたちの「学びの道具」として1人1台を配備しています。学校に限らず、家庭でもこどもが使いたいタイミングで使えるように、常にそばに置くことを前提にしています。
ーー充電するために持ち帰っているという声もあります。
端末の充電を学校でするか家庭でするかも、現状は各学校での判断となっています。
最近は端末の活用が進んでおり、国語や算数の授業だけでなく、体育や校外学習で端末を使うことも増えています。そのため学校では充電する時間がない場合もあります。
ーー端末や教材の持ち帰りについて、今後どんな方針になりそうでしょうか。
各学校で充電保管庫の整備は進みますが、それとは別に学習の観点から、「学びの道具」である端末を常にそばに置いて活用してほしいことに変わりはありません。
たくさんの教材を持ち帰らなくても宿題ができるように端末で教材を撮影するなど、荷物を減らすためにも端末を活用してほしいと考えています。
※株式会社土屋鞄製造所は、OTEMOTOの運営会社である株式会社ハリズリーの関連会社です。