Yahoo! JAPAN

山下達郎「クリスマス・イブ」時間という試練に耐え抜く真のマスターピース

Re:minder

1988年11月10日 山下達郎のシングル「クリスマス・イブ」発売日(CDシングル)

時代や世代を超えたクリスマスソング


1980年代ならずとも、クリスマスソングを語る上で絶対に外せないマスターピース。それが山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」。松任谷由実の「恋人がサンタクロース」と並んで、この国のクリスマスソングの横綱、二大巨頭と言っていいでしょう。制作者本人が “もう語りつくした感がある” と言っているくらい、時代や世代を超えて多くの人に愛され続けている名曲です。

曲の初出は、1983年の初夏にリリースされたアルバム『MELODIES』。当時の山下達郎は、“夏だ、海だ、タツローだ!” といったイメージ満載で、リードシングルもANAの沖縄キャンペーンCMソング「高気圧ガール」。この冬曲はいくぶん地味な印象でした。さりとて、同年12月にはシングルカットされ、ラジオを中心にそれなりにオンエアされていたのも事実です。

それ以前のクリスマスソングといえば、ポピュラー歌手がスタンダードナンバーをカバーするパターンが主流でしたが、80年代に入ってからは様々なジャンルのミュージシャンがオリジナルのクリスマスソングを発表し始め、同時代のクリスマスソングが増えていきます。そのきっかけを作った作品のひとつでもあります。

1988年冬、JR東海のCMソングとして起用


1980年代はティーネイジャーの人口も多く、ファミリーよりも若者を狙ったクリスマスマーケットが次々と開拓され、ロマンチックでハッピーなムードが高まっていった時代。歌というものは世につれるものですから、例外こそあれ、クリスマスソングの多くは “恋人たちの一夜” を切り取った作品が主流となっていきます。

空気は整いました。機は熟し、さあ真打ちの登場です。周知の通り、初出から5年を経た1988年の冬、山下達郎の「クリスマス・イブ」は JR東海のCMソングに起用されるのです。当時15歳の深津絵里を起用した『ホームタウン・エクスプレス』、そして翌1989年には17歳の牧瀬里穂を大ブレイクに導いた『クリスマス・エクスプレス』。この2本のTV-CMによって、この曲の人気は不動のものになるのです(CM自体は1992年まで続く)。まったく、人生は何が起こるかわかりません。

それにしても、初出から40年が過ぎた今となっても、全く色褪せない濃密な声と濃厚なサウンド。山下達郎の音に賭ける執念たるや鬼気迫るものがあります。ここまでマニアックに作られた音楽が、時間という試練を耐え抜き、なぜ大衆の支持を得続けているのか? そんなことを考えてみると、未来への扉を開くきっかけが見つかるかもしれません。あの頃の気持ちのまま、大人としてちゃんとしなきゃなあっていつも思わせてくれるのです。

*2018年12月14日、2016年12月24日に掲載された記事をアップデート

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. ルーツは意外なところに?チヌ(クロダイ)の「かかり釣り」

    WEBマガジン HEAT
  2. 大正駅周辺は居酒屋天国!女性ひとりでも楽しめるグルメ&お酒自慢の店【大阪】

    anna(アンナ)
  3. 【コメ高騰】西友で売られている輸入米「台湾産米むすびの郷」はどんな味? 食べてみた正直な感想

    ロケットニュース24
  4. 【パルワールド】総プレイヤー数3,200万人突破!今後のアップデート情報も公開【Palworld】

    攻略大百科
  5. 【ベローチェ】猫の日にプレゼトキャンペーンを開催!黒ねこエコバッグも発売決定

    攻略大百科
  6. スイーツ界隈は「春が来た」ロイズ“苺と桜”ピンクがいっぱい!限定生チョコおさえとこ!

    SASARU
  7. 類まれなる先見性!織田信長は「先を読む力」で戦国最強軍団を構築した

    草の実堂
  8. 【セブン】ハイチュウ買うとすみっコぐらしのマグネットシートがもらえるキャンペーンを開催

    攻略大百科
  9. 【100均検証】これは壁コンセント革命だ! ダイソーやキャンドゥに売ってる『4個口スクエアタップ』がスゴイ…んだけど失敗した話

    ロケットニュース24
  10. 【京都ランチ】昭和感たっぷりの名食堂!1000円以下の定食が揃う「ゆきくら」

    キョウトピ