「光がないとアオリイカは釣れない」は間違い 混雑した常夜灯周辺より人気がない暗闇の方が釣れる?
夜のエギングといえば「常夜灯の下が鉄板」と思われがちです。確かに、光のある場所にはベイトが集まりやすく、アオリイカも寄ってきやすい傾向にあります。しかし、果たして本当に「光がなければ釣れない」のでしょうか?自分自身の釣行経験の中で、常夜灯のまったくない真っ暗な海岸でしっかり釣れたことがありました。今回は、その時の実体験をもとに、「エギングにおける明暗」について考えてみたいと思います。
「常夜灯=釣れる」?
常夜灯の周辺は、プランクトンが集まりやすく、小魚(ベイト)もそれを求めて寄ってきます。
その小魚を捕食するアオリイカもまた、自然と明るい場所に集まるため、「常夜灯周りの明暗の境目を狙う」というのが定番の戦略とされています。
実際、釣果が出やすい場面も多く、初心者から上級者まで人気のスポットとなっています。
しかしその一方で、有名な漁港などは釣り人が多く、イカがスレていたり、思うようにポイントに入れなかったりすることもあります。
暗闇ポイントでアオリがヒット
その日も、有名ポイントは釣り人でいっぱいでした。人の多さと良いポイントに入れないことから「今日はもうダメかもしれない」と思いながら、潮通しの良い、常夜灯も何もない真っ暗な海岸沿いのポイントへと移動しました。そこには釣り人の姿はなく、月明かりもほとんどない状況でした。「せっかくだから投げてみよう」という気持ちで、3.5号のシャロータイプをキャスト。
ソリッドティップのロッドで、エギの重みを感じながら丁寧に探っていると……穂先がグンと入りました。合わせを入れると、しっかりとした引き。上がってきたのは、700gほどのアオリイカでした。その後も何度かアタリがあり、「本当にここは真っ暗な場所なのか?」と疑うほどでした。
「光」だけが要素ではない
この釣行で気づいたのは、「光がある=釣れる」と単純に考えるのは危険だということです。イカが居つくかどうかは、以下のような複数の要素が絡み合って決まるように感じました。
・潮通し
・地形や水深
・ベイトの有無
・プレッシャーの少なさ
つまり、光はあくまで「イカが寄るための一要素」であり、それがすべてではありません。
実際に、人が多い明るい場所よりも、静かな暗がりのほうが好条件だったこともあったのです。
意識したこと
暗がりでの釣行で意識したことを紹介します。
ランタンの使い方に注意
真っ暗な場所では安全確保が最優先です。周囲を照らすためにランタンを自分の近くに設置するようにし、海面は決して照らさないよう注意しました。イカに警戒心を与えず、自分の動作確認がしやすくなります。
ソリッドティップで違和感を捉える
視覚での判断が難しいため、ロッドの感度が非常に重要になります。ソリッドティップのロッドでエギの重みをしっかり感じながら釣ることで、着底やアタリの微妙な変化にも対応できました。「なんとなく重い」「少しの違和感」そんな感覚が、実際に釣果につながることもあります。
意外な場所でもチャンスはある
常夜灯周りが強いポイントであることに間違いはありませんが、それだけに頼っていては見落としてしまうチャンスもあります。釣り人が少なく、プレッシャーの少ない真っ暗なポイント。そこにも、イカが居つく理由が1つでもあるなら、十分に成立するのがエギングの面白さです。
次回の釣行では、「釣れそうな場所」だけでなく、「釣れていないけど条件が良さそうな場所」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。意外な一杯が、そこに待っているかもしれません。
<新田貴史/TSURINEWSライター>