故ミシェル・トラクテンバーグの魅力を紐解く追悼映像&グレッグ・アラキ監督の追悼コメント到着『ミステリアス・スキン』
幼少期の性被害によって人生を大きく変えられた2人の少年の行く末を描き、世界各国の映画祭で大きな反響を呼んだ映画『ミステリアス・スキン』が、4月25日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国ロードショー。公開に先立ち、残念ながら今年2月に39歳の若さで帰らぬ人となったミシェル・トラクテンバーグを追悼する本編映像ならびに特集スチールが解禁された。
グレッグ・アラキ監督「彼女は本当に生命力に満ち満ちた明るい人間で、同時に素晴らしい女優でした」
https://youtu.be/7bmIB0T-MCA
ジョセフ演ずるニールの幼馴染のウェンディを演じたミシェル・トラクテンバーグは撮影当時19歳。アメリカ・ニューヨーク州の出身で、ユダヤ系の両親のもとに生まれる。3歳から出演する数々のテレビシリーズや100本以上のCM、そして『Melissa』(1995)でノンクレジットながらスクリーンデビューを飾るも、1996年には人気児童書を原作にした長編映画『ハリエットのスパイ大作戦』で10歳にして初主演を果たしヤング・アーティスト・アワード(主演女優賞 – コメディ/ファミリー部門)を受賞。子役スターとしての地位を確立した。
その後、サラ・ミシェル・ゲラーやセス・グリーンが出演した人気テレビシリーズ『バフィー 〜恋する十字架〜』(2000~2003)ではドーン・サマーズ役を演じ、その名を広く知られるようになる。『ユーロトリップ』(2004)ではコメディ作品で新境地を開拓。テレビシリーズへの出演も並行しながら多様なジャンルで活躍した。
本作『ミステリアス・スキン』は映画出演としては6作目となる。幼い頃から仲良しだったニール(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)へ叶わぬ恋心を持ちながら、どこか危険な香りを振りまきながら真実の愛を求め生き急ぐ彼を心配し続ける、健気な親友ウェンディを演じた。今回解禁された本編映像では、そんなニールとの地元でのやり取りが描かれている。男を買う場所として地元で知られた公園には「金・土/3~4時/若くてやる気あり」の伝言。それを「自分のことだ」と、傷ついた股間を見せつけながらどこか誇らしげで悪戯めいたニール。そんな彼の不安定な魅力に抗いながら、ただひたすら心配するウェンディ。深夜、ひとけのない野外劇場のスクリーンを前に「私たちのこれまでを振り返る映画を観たい、最後はここに立つシーン、二人きりで」。いまは亡きミシェル・トラクテンバーグが初期キャリアの最高傑作として残した名シーンのひとつだ。
そんなミシェルの魅力をいち早く見抜いていたグレッグ・アラキ監督は「彼女は本当に生命力に満ち満ちた明るい人間で、同時に素晴らしい女優でした。こんなに若くして亡くなったと知り、『ミステリアス・スキン』のキャストや関係者、私たち全員にとってとても悲しいことです」と、近年のインタビューで語った。
本作の出演後、物理が得意な秀才女子学生がフィギュア・スケートの世界にのめり込んでゆく姿を描いた青春ドラマ『アイス・プリンセス』(2005)や、『暗闇にベルが鳴る』(1974)をリメイクしたホラー映画『ファイナルデッドコール 暗闇にベルが鳴る』(2006)などの主演作やいくつものテレビシリーズを経て、2008年から放送された人気テレビシリーズ『ゴシップガール』のジョージーナ・スパークス役が大きな話題となり、そのカリスマ的な悪女キャラクターで新たな人気を獲得した。また、声優としても活動し、アニメ作品にも参加。
後年、公の場に姿を現すことのなかったミシェルだったが、2025年2月26日、突然の訃報が届く。ニューヨークの高級アパートメントの自宅で意識不明で倒れているミシェルが発見されたのだ。検視の結果、「死因は不確定」の不審死とされたが、遺族はこれに異論を唱えているとニューヨークポストの記事で掲載された。報道によると後年は病に苦しんでいたという。