【ネタバレ解説】『サンダーボルツ*』タスクマスターの描写の理由、監督に聞いた
(MCU)『サンダーボルツ*』では、これまでのMCU作品に登場したヴィランやアンチヒーローが集結を果たした。『ブラック・ウィドウ』(2021)からはエレーナやレッド・ガーディアンのほか、ナターシャ・ロマノフらを苦しめたタスクマスターも登場する。
本編では、タスクマスターの描かれ方に驚いた方も多いだろう。筆者は本作監督のジェイク・シュライアーへの単独インタビュー取材で、あの描写についての理由を聞いている。
この記事には、『サンダーボルツ*』のネタバレが含まれています。
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一体どんな理由が?
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この記事には、『サンダーボルツ*』のネタバレが含まれています。
©2025 MARVEL
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のヴィランやアンチヒーローが集結した『サンダーボルツ*』だが、ファンは早い段階から薄々気づいていたことがある。タスクマスターの出番が少ないのではないかということだ。
事前の予告編映像や場面写真に登場するのはエレーナ、バッキー、レッド・ガーディアン、USエージェント、ゴーストばかりで、タスクマスターの姿ほとんどなかった。『ブラック・ウィドウ』での戦術を完全コピーしたヴィランとして登場したタスクマスターについてファンは、何らかの事情で物語から早期退場してしまうのではないかと勘ぐった。
『サンダーボルツ*』タスクマスターが死亡する理由
タスクマスターのファンにとって少々残念なことに、その予感は的中する。『ブラック・ウィドウ』時よりもスタイリッシュなマスクとアーマーに身を包んだタスクマスターは、映画の序盤で他のキャラクターらと同様OXE社の極秘資料倉庫に集められて乱闘を繰り広げる。敵の動きを瞬時にコピーするタスクマスターはエレーナやUSエージェントを相手にリードしてみせるが、姿を消すことができるゴーストの能力は想定外かつ再現不能だったためか、突如出現したゴーストの射撃によって即死となる。
もしもタスクマスターがあのままサンダーボルツと行動を共にしていれば、さすがにセントリーには敵わずとも強力な戦力になったはず。このヴィランの正体は、レッドルームの支配者ドレイコフの一人娘として数々の暗殺任務に関わってきたアントニア。他の者たち同様、彼女も贖罪の機会を求める人物でもある。
それでも、なぜタスクマスターは真っ先に殺されることになったのか?筆者が本作監督のジェイク・シュライアーに尋ねると、「本作では危険度や緊張感を出すことが必要でした。創作にあたって、そこが重要だったからです」との回答。つまり、最初にタスクマスターを殺して見せることで、この映画では誰も安全ではないことを暗示する狙いがあったということだ。トーンこそ全く異なるが、DCのヴィラン集合映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)冒頭のミッションでアウトローたちがバタバタと死んだこととも共通している。また、登場人物らは殺しも厭わない覚悟を持っていることを改めて印象付ける場面ともなった。
タスクマスターにとどめを与えたゴースト役のハナ・ジョン=カーメンも、米で驚きを隠していない。この衝撃展開を知った時、「本当にいいんですか?オーケイ、わかりました」と動揺したそうだ。「大きな瞬間ですよね」。
(L-R): John Walker (Wyatt Russell), Ghost (Hannah John-Kamen), and (Lewis Pullman) in Marvel Studios' THUNDERBOLTS*. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2024 MARVEL.
2026年公開の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』では、フローレンス・ピュ(エレーナ)、セバスチャン・スタン(ウィンター・ソルジャー)、デヴィッド・ハーバー(レッド・ガーディアン)、ワイアット・ラッセル(USエージェント)、ハナ・ジョン=カーメン(ゴースト)の再登場がアナウンス済み。一方でタスクマスター役のオルガ・キュリレンコ出演は伝えられておらず、やはり本当に『サンダーボルツ*』が最後となる模様だ。
Alex J. Berliner
少し気になるのは、キュリレンコが本作のインタビューにほぼ全く応じていないことだ。冒頭で退場するので語れることが少ないとはいえ、映画のポスターにもその姿が描かれるメインキャラクター役の1人のはず。現地時間4月28日に米ロサンゼルス開催のワールドプレミアにはピンクのドレス姿で出席しているのだが、彼女がサウンドバイツ(短いインタビュー取材)に答える映像を見つけることはできない。