つまようじで食べる”あの四角い駄菓子”って餅?グミ?なぜ人気?駄菓子屋研究家に聞いてみました
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。
新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴ります。
今回、「好きなお菓子について語ろう」ということで、思い出のお菓子は?と聞かれて杉山アナが思いついたのが、
「透明のプラスチックに入った、つまようじで食べる四角い粒のアレ」。
ただ、あの駄菓子、「さくらんぼ餅」とか「もちもちくん」とか呼ばれていますが、一般名称がなんなのかもわからない!インターネットで調べてもあまり情報が出てこない!でも、誰もが一度は食べたり、見たりしたことあるのではないでしょうか?
あの駄菓子はなんなのか?詳しい方に聞いてみました!
伺ったのは、駄菓子屋研究家の土橋真さんです。
土橋:素材は、でんぷん、砂糖、水飴がメイン。あとフレーバーなどが入っています。総称は「餅駄菓子」がよいのではないでしょうか。いまも製作している大きなメーカーは3つ。3つとも”駄菓子の里”と言われる名古屋市西区にあるメーカーです。それぞれ商品名が違っていて、「さくらんぼ餅」=「共親製菓」、「もちもちくん」は「富士製菓」、「こざくら餅」=「明光製菓」となっています。
この「餅駄菓子」、食感は、ややもちもちしていて、少し甘く、いくつかのフレーバーがありますよね。
材料はメーカーによって少し違いますが、ベースとなっているのは、でんぷん、砂糖、水飴、そしてフレーバーの原料。水飴とでんぷんで、あの不思議な食感になっているのでは?とのこと。
3社とも、所在地は、愛知県名古屋市西区。土橋さんによると、名古屋市西区は、歴史的に駄菓子メーカーが多く集まって残ってきた土地なんだとか。また、以前は、名古屋以外でも「餅駄菓子」を作ってたメーカーはあったそうです。
スタジオにも商品を集めてみました。
【共親製菓】
「さくらんぼ」「青リンゴ」「ぶどう」「サイダー」「コーラ」(1個・税込37円)
さまざまな味が入っている「フルーツの森」という商品も。(1個・税込47円)
【富士製菓】
「もちもち君」はさまざまな味を出しています。
さくらんぼ餅、青リンゴ餅、コーラ餅、グレープ餅、シャンペンサイダー餅、
ヨーグルト餅、小うめ餅、メロンソーダ餅、エナジードリンク餅、マンゴー餅、白桃餅
(1個・税込37円)
【明光製菓】
「こざくら餅」「青リンゴ餅」「フルーツソーダ餅」「3色入ったミックス餅」
→こちらは東京付近のお店では発見できず。
では、この「餅駄菓子」、いつからあるのでしょうか?
公式の記録は残っていないものが多く、土橋さんが調べた情報では、
・共親製菓「さくらんぼ餅」が1979年
・富士製菓「もちもちくん」が1961年
・明光製菓「こざくら餅」が1955年
にそれぞれ発売されたとのこと。
土橋さん個人としては、1985年ぐらいから、いまの形で売っていたという記憶。
もともとは、「バラで売っていた可能性がある」とのこと。ルーツは、江戸時代のお菓子という可能性も。
実は、1つのパッケージに入っている数もメーカーで違っていたり、時代による変化があるそうです。
土橋さんによると、メーカーによるが、粒が大きくなったり、数が減ったり、と変わってきているそう。
スタジオにある、商品を確認すると・・・
・共親製菓「さくらんぼ餅」→12個
・富士製菓「もちもちくん」→15個
・スタジオにはないですが、明光製菓「こざくら餅」は、10個入り。
この「餅駄菓子」、なぜ人気があるのでしょうか。土橋さんによると・・・
土橋:素手だと食べづらいけど、つまようじで食べることで“粘れる”から。進化していった形の最終形だと思っているんです。あと、この3メーカー、攻めの姿勢を崩していないんです。富士製菓は「チョコ餅」という新味も出しているんです。チョコ味って合うのか?と思いますが、食べるとけっこうおいしいんですよ。ただ、東京だと手に入りにくいけど、そんな新フレーバーを出しているんです。
人気の理由、土橋さんの分析では・・・
・「食べるのに手間がかかるから、“粘れる”」=つまり、「長い時間楽しめる」。
・「つまようじで食べるというギミックが子ども心をくすぐる」
・そして、食べている途中でもフタをしめれば「持ち運べる」
最後に、土橋さんは
「駄菓子は、薄利多売なので、メーカーさんや問屋さんは経営が大変だと思います。ただ、懐かしい駄菓子が残っているのは、メーカーや問屋さんの、「どうにか残そうという、意地やプライド」を感じています。」と話していました。
また、土橋さんは最近は、駄菓子が残すための活動もしているそうです。
この駄菓子たちを残すために、
お店でみつけたら、たまには買ってみてはいかがでしょうか?
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)