実は身近にいるあのかわいい生物も?『外来生物展示センター』で“生物多様性”を学ぼう 神戸市
実は身近に存在している「外来生物」。神戸市長田区に、そんな外来生物の生態を見て触れて学べる『外来生物展示センター』があることをご存じでしょうか?
同施設の最寄駅は神戸市営地下鉄海岸線「苅藻」駅。構内にはさっそくかわいらしい生物たちのイラストが描かれています。施設は出口1から南へ歩いておよそ10分の場所にあります。
「苅藻島クリーンセンター」内にある同施設は2022年にオープン。「生物飼育棟」と「展示ホール」に分けられており、外来生物の生体(およそ30種)や標本・はく製(400点)などが展示されています。
「展示ホール」でまず目を引くのは、迫力満点のはく製たち。最初のコーナーでは外来生物の「アライグマ」と在来種の「タヌキ」が展示されています。
かわいらしい風貌は似ていますが、手足の形には大きな差が。タヌキが犬のような手をしているのに対し、アライグマは指や爪が長く木に登ったり、器用にスイカの中身を取り出したりできるのだそう。
そのため行政はこのような筒にエサを入れ、トラップを設置。もしもエサがなくなっていたら、手が発達しているアライグマが生息している可能性があると判断するそうです。
こちらの「シベリアイタチ」は市街地に現れることがよくあるのだとか。実は記者もこれに近い生物を三宮の街中で見かけたことがあったため、驚きました。
そもそも外来生物とは「もともとその地域にいなかったのに、人間活動の中でほかの地域から持ちこまれた生物」を指します。必ずしも外国から持ち込まれた生物を指すわけではありません。
また持ち込まれる理由も「ペット・鑑賞目的や食用として持ち込まれたものが逃げたり、人間によって故意に放出される」場合や「外国からの荷物に紛れ込んでやってくる」場合など様々。
例えばポートアイランドで初めて発見され話題となった「ヒアリ」も外国からの荷物に紛れ込んでやってきました。施設ではそのほか珍しいアリの標本が並んでいて、顕微鏡で観察することができます。
こちらの「つりわけ川」は、神戸の街に流れる河川を再現したゲーム感覚の展示物。川にはドジョウやドンコなどの他に外来生物やゴミも流れていて、竿で釣り上げて遊びながら外来生物について学ぶことができます。
釣りあげたもののうち、外来生物は水槽に入れ、在来の生物は川に戻し、ごみは分別します。凝っていて分かりやすく、外来生物について楽しく学べる展示になっていました。
続いては「生物飼育棟」へ移動。こちらには魚類や両生類をはじめとした外来生物が展示されており、アカミミガメやアメリカザリガニなどは実際に触れることもできました!
特に記者が気になったのは、飼育棟入ってすぐの場所に展示されていたこちらの生物。これって「オオサンショウウオ」ですよね…?
実はこちら、外来生物である「チュウゴクオオサンショウウオ」と特別天然記念物である「オオサンショウウオ」の交雑個体なのだとか。
外来生物はこのように、在来種である生物との交雑が進むという点でも問題視されています。オオサンショウウオの交雑個体に限っては見た目で判別がつかないことから見かけたらむやみに触らず、市にご相談くださいとのことです。
「外来生物がどんな影響をもたらすのか」が分かりやすく解説されていて、大人である記者も思わず「へぇ~!」と唸ってしまいました。身近な存在である外来生物について、親子で学んでみてはいかがでしょうか。
場所
外来生物展示センター
(神戸市長田区苅藻島町3丁目12-28)