賃金アップする企業 東海4県で静岡県がトップ 大手企業と中小企業の格差は縮小
■2025年度の賃金改善 静岡県の企業が東海1位の63.2%
民間の調査会社・帝国データバンクが、静岡県を含む東海4県の企業を対象にした賃金動向を調査した。静岡県で賃上げを見込む企業の割合は全国平均を上回り、東海地区で最も高かった。
変化を恐れない経営で売上アップ 静岡県にある異色の製紙メーカー
2025年度の春闘が本格化している。大手企業の満額回答が続く中、中小企業にも賃上げの流れが及ぶのか注目されている。
深刻な人手不足や物価高を受け、企業側には賃上げせざるを得ない事情もある。帝国データバンクによると、賃金改善を見込む企業の割合は全国平均が61.9%と6割以上が来年度の賃金アップを予定している。
東海4県では愛知県が57.7%で唯一、6割を下回った。最も高かったのは静岡県の63.2%。次いで、三重県の63.0%、岐阜県の61.5%となっている。
賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」は前回調査の2024年度見込みから割合が減少したのに対し、「中小企業」では上昇している。大企業と中小企業の規模間格差は0.6ポイントと、前回調査の2.5ポイントから1.9ポイント縮小した。
■業界別の賃金アップ 「運輸・倉庫」がトップ
業界別で賃金改善の割合が最も高いのは「運輸・倉庫」で68.9%だった。「製造」が63.4%、「建設」が63.4%と続く。製造は大手を中心に賃上げムードが高まっており、トラック運送業界や建設業界は2024年問題が背景にあるとみられる。
東海4県の合計で賃上げを見込む企業の割合は60.3%で、調査を開始して初めて6割を超えた。また、総人件費の増加を見込む企業も2年連続で7割以上となった。調査結果について、帝国データバンクは次のように分析している。
「企業の賃上げ意欲は引き続き高いものとなっている。一方で、賃上げ見込みのない企業の割合は4年ぶりに前回調査から増加となったほか、総人件費の増加率はわずかながら前回調査から減少しており、賃上げ疲れの様子も見え隠れする。今後は、実質賃金の持続的な上昇が個人消費拡大へとつながる好循環の足取りが、しっかりとしたものになるかが焦点となる」
今回の調査は1月20日から31日まで、東海4県の計2967社に実施した。有効回答企業数は1201社(回答率40.5%)だった。
(SHIZUOKA Life編集部)