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DJI Flipレビュー。お手軽・安心・高画質のオールインワン小型空撮ドローン誕生![Reviews] Vol.87

DRONE

新たな小型ドローンラインナップ「DJI Neo」をリリースしたばかりのDJIですが、さらに新たな小型空撮ドローン「DJI Flip」をリリースしました。Neoのような “手軽さ” や “安心感” とDJI Mini 4 Proの “高画質な” 空撮を両立したオールインワン空撮ドローンをいちはやく手に入れたのでレビューしていきます。

オールインワン小型空撮ドローンDJI Flipの概要

DJIから、またもや新しいラインナップとして誕生したDJI Flip。筆者が注目したDJI Flipの特徴をまとめると下記のとおりです。

安全&安心な「折りたたみ式全面保護プロペラガード」安定の高画質「1/1.3 インチCOMSセンサー」&「デュアルネイティブISO」明るいところから暗いところまで豊かな表現力の「4K / 60fps HDR動画」専属カメラマンがいるかのような「AIトラッキング」ゆっくりと時間をかけて撮影できる「最大飛行時間31分」

https://www.drone.jp/news/20250114220056108037.html

DJIの製品ラインナップのポジションとしてはDJI Mini 4 ProとDJI Neoの中間くらいになるのでしょうか。

スペックを比較してみると、ちょうど小型&高画質なDJI Mini 4 Proの特徴(カメラはほぼ同スペック)とDJI Neo の手軽さの特徴をあわせ持った仕様になっています。

DJI Flip機体チェック

今回のレビューではFly More Combo(RC2付属)を手に入れたので同梱物から見ていきたいと思います。

DJI Flip Fly More Comboには、機体・モニター一体型送信機(DJI RC2)のほか、予備バッテリー2本や充電ハブも付属します。DJI Air 3SのFly More Comboで同梱されていたNDフィルターは今回は別売りです。ただ、レビュー用に手元にありますのでレビュー内では後ほどご紹介したいと思います。

機体・送信機(RC2)・予備バッテリー2本・充電ハブ・USB-Cケーブル・予備プロペラ3セットやその他一式が収納できるショルダーバッグがセットになっている

DJI Flipの機体デザインも細かく見ていきたいと思います。やはりまず目に止まるのは独特かつ安心なプロペラガード一体型デザイン。しかも折りたたみ時には一輪車のように4つのプロペラ&ガードをひとつにまとめることができるコンパクトデザインとなっています。

被写体や障害物の近くを飛ぶ際にはプロペラガードは付けたいものの、どうしても大きくなってしまったり別途持っていくのが面倒だったりしますが、DJI Flipならその問題を一気に解決することができます。

ちょっとレトロフューチャー感もあるDJI Flipの外観デザイン

真上から見ると4つの円が四角い機体本体にくっついたようなデザインがとても印象的

シンプルな機体後部。機体本体はプロペラガードの上に乗っかるようなデザインになっている

折りたたんだ状態。4つのプロペラとプロペラガードがひとつの軸線上に集まりコンパクトに収納できる

DJI Mini 4 ProやDJI NeoとDJI Flipの大きさの比較。DJI Mini 4 Proよりひと回り小さく、DJI Neoよりもふた回りほど大きい

安全なデザインはほかにも。機体全面の大きな黒いエリアが「3D赤外線検知システム」です。ただ、検知範囲も水平・垂直60°と、あくまでも前方の障害物の検知を目的としているため、側面や後方の障害物検知には対応していませんのでご注意ください。

また、測定範囲は0.3〜8mとなっているので、近距離の障害物に対して有効なシステムとなっており、昨年10月にデビューしたDJI Air 3Sに搭載されているLiDARとは少々違う仕様(DJI Air 3Sは測定範囲0.5〜18m)になっています。

3D赤外線検知システムによって全面の障害物への万が一の衝突を避ける。検知後の機体の動きも「ブレーキ」と「迂回」をあらかじめ設定することができる

カメラは3軸メカニカルジンバルを装備。DJI Neoでは1軸ジンバルでしたので、画質劣化なく安定した映像を撮影することが可能です。小型カメラながら画質を決定づけるセンサー部分は1/1.3インチ(Neoは1/2インチ)なので、カメラ周りはDJI NeoというよりもDJI Mini 4 Proに近いスペックを持っています。

1/1.3インチセンサーで最大150Mbps(データ量は多いが圧縮率が低く高画質な映像、Neoはその約半分の最大75Mbps)の4k映像を撮影できる小型カメラを搭載

NDフィルターも別売りでラインナップ。絞り(F値)がF1.7(数字が小さいほど明るい)で固定のレンズとなっているため、映像にこだわった明るさの調整にはNDフィルターが必須です。NDフィルターはND16 / ND64 / ND256の3種類がセットになっており、装着はレンズ周りのくぼみにはめ込むだけでOKです。

DJI Flip専用のNDフィルター。F1.7固定のレンズのFlipには必須といえるアイテムで、明るすぎる画面を適正な明るさに調整するのに利用する。シャッタースピードを速くしても画面を暗くすることはできるが、映像の動きがパラついたり、画面がざらついた画質になりがちなためNDフィルターで調整したほうが映像が滑らかかつ高画質な状態で調整できる

NDフィルターをレンズに装着したところ。くぼみにはめ込むだけなので手軽。しかもしっかりとはまるので抜け落ちるような心配もなさそうだ

機体下面にはビジョンセンサー1つと赤外線センサー1組が備えられています。この機体下面のセンサー類がDJIならではの低空やGNSSが入らない屋内などでの安定したホバリングを実現しています。

低空飛行時やGPS等のGNSSが取得できない屋内などで機体の水平位置や高度を安定させるためのセンサーが機体下面に装備されている。こちらの仕様はDJI Neoに近いようだ

DJI Neo(左)とDJI Mini 4 Pro(右)の機体下面のセンサー。DJI FlipはDJI Neoのセンサーを踏襲しているようだ

機体右側面には電源インジケーター&電源ボタン、左側面にはDJI Neoにも搭載されていたクイックショットのメニューボタンとMicroSDスロット、USB-Cスロットがあります。

NeoではオミットされたMicroSDカードスロットはDJI Flipでは採用されている(左)。空撮をたくさん楽しみたい…と考えると嬉しいポイントだ

バッテリーは軽量コンパクトなものを機体上面にはめ込むタイプです。飛行時間は最大31分の長時間飛行を実現します。バッテリーはボディデザインの一部を担っていますので、機体識別表示はバッテリーを避けて貼り付ける必要があります(取り外すバッテリーや折れやすいアームなどではなく機体本体に表示することが義務付けられています)。

バッテリーは機体上部からはめ込むタイプ

また、バッテリーは充電ハブで最大2本同時充電することができます(65W入力時)。2個のバッテリーを0%から100%に充電するのに必要な時間は約70分ですので、PD対応USB充電器やモバイルバッテリーがあるととても便利です。

パラレル充電ハブは入力W数(65W)によって2本同時充電もできる。45Wでは1本のみの充電となるので注意が必要

USB充電器の「出力(OUTPUT)」を確認して65W以上を用意すると充電がはやい(2本同時充電可能)

スペック比較表

機体DJI Mini 4 ProDJI FlipDJI Neo機体重量249g249g135gサイズ(長さ×幅×高さ)折りたたんだ状態:148×94×64mm
展開時:298×373×101mm折りたたんだ状態:136×62×165mm
展開時:233×280×79mm130×157×48.5mm最大上昇速度5m/s(Sモード)
5m/s(Nモード)
3m/s(Cモード)5m/s(Sモード)
5m/s(Nモード)
2m/s(Cモード)3m/s(Sモード)
2m/s(Nモード)
0.5m/s(Cモード)最大降下速度5m/s(Sモード)
5m/s(Nモード)
3m/s(Cモード)5m/s(Sモード)
5m/s(Nモード)
1.5m/s(Cモード)2m/s(Sモード)
2m/s(Nモード)
0.5m/s(Cモード)最大水平速度16m/s(Sモード)
12m/s(Nモード)
12m/s(Cモード)12m/s(Sモード)16m/s(Sモード)
8m/s(Nモード)
6m/s(Cモード)最大飛行時間34分(インテリジェント フライトバッテリー)
45分(インテリジェント フライトバッテリー Plus)31分17分最大風圧抵抗10.7m/s10.7m/s8m/s検知タイプ全方向デュアルビジョンシステム、機体底部にある3D赤外線センサーで補助的に使用下方:ビジョンセンサー1つと赤外線センサー1つ
前方:‌3D赤外線検知システム下方ビジュアルポジショニングGNSSGPS + Galileo + BeiDouGPS + Galileo + BeiDouGPS + Galileo + BeiDou内部ストレージ2GB2GB22GB(MicroSDスロットはなし)カメラDJI Mini 4 ProDJI FlipDJI Neoイメージセンサー1/1.3インチ1/1.3インチ1/2インチレンズFOV:82.1°
焦点距離(35mm判換算):24mm
絞り:f/1.7
フォーカス:1 m〜∞FOV:82.1°
焦点距離(35mm判換算):24mm
絞り:f/1.7
フォーカス:1 m〜∞FOV:117.6°
焦点距離(35mm判換算):14mm
絞り:f/2.8
フォーカス調整:0.6m〜∞ISO感度動画
ノーマル、スローモーション:
ノーマル:100~6400
D-Log M:100~1600
HLG:100~1600

ナイトモード
ノーマル:100~12800

写真
12 MP:100~6400
48 MP:100~3200動画
ノーマル:100~6400
D-Log M:100~1600

写真
12 MP:100~6400
48 MP:100~3200

※デュアルネイティブIOSオート:100~6400
マニュアル:100~6400静止画最大サイズ48MP 写真(8064×6048px)48MP 写真(8064×6048px)12MP 写真
4000×3000(4∶3)
4000×2256(16∶9)写真フォーマットJPEG/DNG(RAW)JPEG/DNG(RAW)JPEG動画解像度H.264/H.265
4K:3840×2160(24/25/30/48/50/60/100fps)
FHD:1920×1080(24/25/30/48/50/60/100/200fps)
※縦向き撮影は解像度を保ったまま物理的にカメラ角度を変更H.264/H.265
4K:3840×2160(24/25/30/48/50/60fps)
FHD:1920×1080(24/25/30/48/50/60/100fps)
2.7K縦向き撮影:1512×2688(24/25/30fps)
フルHD縦向き撮影:1080×1920(24/25/30fps)EISオフ:
4K(4:3):3840×2880(30fps)
FHD(4:3):1440×1080(60/50/30fps)

EISオン:
4K(16:9):3840×216(30fps)
FHD(16:9):1920×1080(60/50/30fps)

縦向き撮影
FHD(9:16) 1080×1920(60/50/30fps)動画フォーマットMP4MP4MP4最大動画ビットレート150 Mbps150 Mbps75 Mbpsカラーモードノーマル / D-Log M / HLGノーマル / D-Log Mノーマルデジタルズーム12MP写真:1〜3倍
4K動画:1〜3倍
フルHD動画:1〜4倍12MP写真:1〜3倍
4K動画:1〜3倍
フルHD動画:1〜4倍自動トラッキング通常AI トラッキングAI トラッキング映像伝送DJI Mini 4 ProDJI FlipDJI Neo映像伝送システムO4O4O4ライブビュー品質送信機:最大1080p/60fps送信機:最大1080p/60fps送信機 / Goggles 3:最大1080p/60fps最大伝送距離10km8km6kmバッテリーDJI Mini 4 ProDJI FlipDJI Neo充電タイプ3つのバッテリーを順番に充電バッテリー2個を同時または順次充電3つのバッテリーを同時に充電充電時間非公開
(5V / 3A、9V / 3A、12V / 3A)機体に搭載時:約70分
※最大充電電力 30W

バッテリー充電ハブで1本充電:約45分
※最大充電電力 45W

バッテリー充電ハブで2本並列充電:約70分
※最大充電電力 65W双方向充電ハブを使用する場合:約60分
※最大充電電力60W

機体を直接充電する場合:約50分
※最大充電電力15W

DJI Flipを長瀞へ持って行ってみた

筆者もDJI Neoを購入して空撮に持って行っていたのですが、飛ばしていて楽しい機体ではあるものの、「空撮」という意味では正直言うと、もう少し高画質な撮影を楽しみたい…というのが心の底にありました。DJI FlipならばDJI Neoの手軽さと安心感をそのままに、さらに高画質な空撮を楽しめそうです。

ということで、長瀞(埼玉県)という観光地にDJI Flipを持って行ってきました。隆起した結晶片岩が文字どおり岩が畳を敷き詰めたかの様に広がる"岩畳(いわだたみ)"や "赤壁"と呼ばれる絶壁が美しいところです。

https://youtu.be/9qjqbhAfZ4w4K60fps、D-Log M、ND64フィルターを装着してカメラ設定を調整しながら撮影

ときおり3〜4m/sの風が吹く飛行環境でしたが、DJI Flipは機体を傾けながらも安定して飛行してくれました(もちろん映像は傾いたりブレたりしていない)。ミルフィーユのような結晶片岩がデコボコした陰影も立体感があり、赤壁の岩盤のディテールもしっかりと描写しています。加えて、当日は川の水もとても澄んでキレイだったのですが、そのようすもしっかりと映し出してくれました。

ただ、NDフィルターはND64を主に装着していたものの、当日の天気では少し画面が暗くなりすぎる感があり、かといってND16だと明るすぎる…というF値で微調整ができない難しさを感じました。ここは仕方がないところですね。

DJI FlipとDJI Mini 4 Pro&DJI Neoの画質比較

また、DJI Flip の映像だけではほんとうに高画質なのか、どれくらい高画質なのかわからないので、DJI NeoやDJI Mini 4 Proと同じ時間に同じ被写体で撮影比較をしてみました。

当然と言えば当然ですが、DJI FlipとDJI Neoでは画質がぜんぜん違います。DJI Flipでは鮮明で美しい岩肌も、DJI Neoではちょっと潰れた感じの不鮮明な映像になってしまいます。これは、同じ4K映像でもビットレートが低いことと、電子手ブレ補正が入っていることに起因するものと考えられます。

DJI Flip(左)とDJI Neo(右)の映像比較のキャプチャ画像。サイズを考えるとDJI Neoも大健闘だが、やはりDJI Flipに軍配が上がる

DJI Mini 4 ProとDJI Flip では、カメラスペックがほぼ同等なのでともに優劣つけがたいレベルの高画質映像です。ただ、カラーモードがNormalのときのDJI Mini 4 Proはちょっと白(ハイライト、いちばん明るいところ)が飛んでいるようです。これが、性能差なのか、機体のホバリング位置(撮影時間は全機体同じ)の影響なのかは定かではありませんが…。D-LogMで撮影したものは両機体ともに明るいところから暗いところまでの滑らかさなどに差は感じられない高画質映像でした。

DJI Flip とDJI Mini 4 Pro(DJI Neoも)同時にホバリングさせてほぼ同じ場所から同じ被写体を撮影したもの。EV0になるようにカメラ設定を調整して撮影したが、Mini 4 Pro のNormalはハイライトが少し飛んでしまっているように見えるhttps://youtu.be/dS9CQgUTHXQ

DJI Flipはスペック通り、高画質な映像に定評があるDJI Mini 4 Proと同等(以上?)の映像を撮影することができそうです。

DJI Flipの暗がりの撮影力

DJI Flip には「デュアルネイティブISO」が備わっています。通常、ISO感度は数値を上げるほど画面が明るくなりますが、センサー感度をデジタル的に増幅するためノイズが乗りやすくなるという特徴があります。

デュアルネイティブISOは、センサーが低ISO感度(明るいシーン向け)と高ISO感度(暗いシーン向け)の2つのISO感度を持つため、低照度でISO数値を高くしてもノイズが少ない画質を維持し、明るいシーンでも高画質を実現することができます。加えて、HDR(ハイダイナミックレンジ)の撮影もできるこの機体は、明暗差の大きなシーンでも暗いところから明るいところまでしっかりと美しく描写してくれる…はず、です。夕日のシーンで検証してみましょう。

太陽の中心のいちばん明るいところから周辺に広がるオレンジの光、そして上に行くに従って青く変わっていく空の色。とても美しいグラデーションが出ています。さらに夕日に照らされた岩場の陰影もとても立体感があり、影がつぶれていないことがわかります。手軽な小型空撮ドローンでここまで撮れるとは正直なところ驚きました。

https://youtu.be/LACjIHB0qqk4K60fps、D-Log M、ND16フィルターを装着して撮影

高画質撮影だけじゃない!DJI Flipのお手軽撮影機能

DJI FlipにはDJI Neoにも搭載された "手のひら離陸"や「クイックショット」による自動撮影、被写体を常に画面に捉え続けながら飛行する「AIトラッキング」など、便利なお手軽撮影機能も引き継いでいます。ここがDJI Flipが単なる小型高画質ドローンではないところですね。

特に便利だったのは、折りたたんだ状態からプロペラガードを広げただけで電源が入ること。自撮りしたい場所にたどり着いて、機体をセッティングしたら自動的に電源が入る…というタイムロスの少なさ!ちなみに、バッテリーを差し替えてもすぐに自動的に電源が入るようになっています。

https://youtu.be/RnvZ9q_Nh-4クイックショットの「ドローニー」で撮影。4K30fps、カメラ設定:オート

DJI Flipのよいところと気になるところ

DJI Flipをしばらく使ってみて気づいたのは…

《よいところ》(1)DJI Miniよりミニサイズで同等(以上?)の高画質(2)安心感抜群のプロペラガード&前方3D赤外線検知システム(3)余裕の31分の飛行時間&充電がはやいパラレル充電ハブ

(1)は、もう今回のレビューでいちばん実感したところです。手軽に持ち歩ける Neo も良かったのですが、やはりもう少し高画質な撮影がしたかった…というところで DJI Flipは軽量で持ち運びドローンとして最適です。

(2)は、今回 "意外"にもいいな!と思った項目です。普段仕事で空撮をすることが多い筆者としては、プロペラガードを装着した空撮は特殊な撮影のとき(狭いところや演者が近いところなど)の飛行形態だったのですが、常にプロペラガードがついている状態が思いのほか安心感が高い飛行ができました。逆に、DJI Flip を飛ばし終えたあとに比較用にたまに飛ばしていたDJI Mini 4 Proのプロペラガードが装着されていない、プロペラむき出しの状態が少し「怖い」と感じるほどでした。

(3)は言うまでもなく…です。30分前後の飛行時間があると、バッテリー3本持っていれば大抵の撮影はできてしまいます。よほどハードに飛ばさなければ、モバイルバッテリーで充電などしながら1日飛ばしても問題ないくらいです。

《気になったところ》(1)やっぱり明るさの微調整が難しい(2)条件の悪い低空時は挙動に注意(3)プロペラガードの過信は禁物&着陸場所に注意

(1)は、仕方のないところですが、シャッタースピードを最遅に設定して滑らかな動画を撮影したい…となるとシャッタースピード以外での明るさ調整が重要になります。DJI Flipは絞りが F1.7の明るい方向で固定なのでNDフィルターを利用することになるのですが、ND16/64/256とちょっと大雑把です(数字は透過率を表すので「ND16」は光量が1/16になるという意味)。

実際、季節にもよると思いますが、撮影をしていて、ND64だと暗いけどND16だと明るすぎる…という場面が多々ありました。ND32あたりがあるとおそらくちょうどよかったのだと思います(夏はND128があると便利かも?)。これはサードパーティなどからNDフィルターが出てくると解決するかもしれません。

(2)は、レビュー飛行していて気づいたのですが、薄暗い場所や水面に近い場所など通常ポジショニングカメラ(低空で水平位置を安定させる役割の機体下部のカメラセンサー)が精度が落ちやすい場所では、例外なく精度が落ちます(平時利用では問題なし)。

ある意味当たり前なのですが、DJI Mini 4 Proやその上のDJI Airシリーズなどはポジショニングカメラが大型&複眼でとても精度が高く、さらに暗がりでは下面LEDランプも灯火されて精度を維持するので、それに慣れてしまった筆者の悪い癖です。DJI Flipの下面センサー類はDJI Neo同等の簡易的なものになっていますので、そのことを忘れないようにすることが大切です。

また、機体に灯火(視認用LEDランプ等)が備わっていないため、夜間飛行の機体の要件を満たしていません。夜間飛行の飛行許可承認申請をする場合は代替手段を提示する必要になりますのでご注意ください。

(3)は、プロペラガード一体型のアームはロック機構がなく、障害物への当たり方が悪いと折りたたまれてしまいます。しかも、ジンバルはメカニカルな3軸ジンバルなので、ちょっとした1.5mくらいの高さからでも墜落は大きなダメージを受けかねません。DJI Neoはプロペラガードが固定の一体型、かつシンプルな1軸ジンバルなので多少の接触や低空からの墜落にも耐えうる構造をしていますが、その感覚でDJI Flipを扱わないように気をつける必要があります。

また、プロペラの位置が機体本体よりも下の地面スレスレにあるので、砂やほこりが舞いやすい場所で着陸するとモーターに砂が噛んで回らなくなることがあります。エアダスターなどで砂を取り除くなどしないと、モーターに過大な負荷がかかるなどして最悪破損してしまいますのでご注意ください。

以上が、DJI Flipをしばらく扱ってみての筆者の感想です。レビューでいろいろ飛ばす前は、気になったところに「まあまあ大きい(DJI FlipのショルダーバッグはDJI Mini 4 Pro のバッグより大きい)」を入れようと思ったのですが、実際にしばらく飛ばしたり持ち歩いたりしてみると、プロペラガードの大切さとそれを付けた状態でのDJI Flipのコンパクトさが身にしみてわかったのでやめました。それくらい、プロペラガードを付けて飛ばす安心感とそれがついた状態でも手軽に持ち運べる便利さに価値を感じました。

プロペラガードを装備したDJI Mavic 4 Proと DJI Flipのサイズ比較。プロペラガードを装着したDJI Mini 4 Proがかなり大きいのがわかる

DJI Flipが気になっている方は、ぜひ一度手にとってみてください。使ってみると、想像以上に安心感があり、便利で楽しく高画質な空撮が楽しめるかと思います。

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