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【燕三条にインバウンドを】KRaft(新潟県三条市)が「包丁づくり」などのツアーを始動、土蔵を改装したギャラリーも公開

にいがた経済新聞

メディア向けにギャラリーの解説をする横山裕久氏

11月29日に公開されたギャラリーには、燕三条で生産された様々な製品が並んでいる

ローカルガイドツアーの企画、運営を行う株式会社KRaft(新潟県三条市)が12月1日から、訪日外国人を主要ターゲットとしたツアー「KRaft Tour(クラフトツアー)」の提供を開始した。同地に不足していた宿泊施設や常時開催の観光コンテンツを充実させて「ものづくりのまち」を国内外へ発信するとともに、地域産業の活性化を図る。

KRaftはこの4月に立ち上がった会社で、横山裕久氏と高橋佳希氏が共同代表を務める。同社は11月29日、三条市内の土蔵をリノベーションしたギャラリーをメディア向けに公開し、設立までの経緯や今後の事業などを説明した。

メディア向けにギャラリーの解説をする横山裕久氏

同社では「ガイドブックに載っていない、一点ものの旅」をコンセプトにツアーを展開。職人に半日弟子入りして、自分だけの包丁やフライパンを手作りする本格的な「ロングコース」から、一般的な工場見学や笹団子づくりを体験できる「ショートコース」まで幅広いが、いずれもものづくり体験、サイクリング、地域との交流の3点を中核にしている。説明に立った高橋氏は「燕三条には、ものづくりはもちろんだが、食や自然、歴史、文化など、全国的にはあまり知られていないが魅力的な地域資産が数多くある。これらのコンテンツを繋ぐことで、観光地ではないからこそ提供できるリアルな魅力をツーリズムに落とし込んでいきたい」と話す。

すでに外国人を対象としたモニターツアーを実施しており、「職人たちへの新たなリスペクトが生まれた」「普段使いできる貴重な手づくりのお土産を持ち帰りできる」などの好評を得ているという。現在は公式サイトのほか、海外の体験予約サイトで申し込みを受け付けている。横山氏は「(燕三条に)インバウンドのツアーはほとんどない。現状、東京や大阪と比べてまだまだ認知度もなく、旅行先としては選ばれづらい。我々の取り組みで、旅行先の候補に入ってくるようになれば」と話す。

旧三条物産の土蔵は、元々は足袋を生産する工場兼倉庫だったという

今後、蔵を改装したホテルの開業も目指す

29日に公開されたギャラリーは、旧三条物産の土蔵をリノベーションした施設で、3棟の蔵が連結しており、さらにこれらを囲む形で外壁が建てられている独特な構造が特徴。1階部分で燕三条産の包丁や農具、洋食器などを展示しており、ツアーでは拠点としても用いられるが、将来的にはさらに改装を進めて「蔵ホテル」としてオープンする構想だ。

横山氏は「燕三条地域のものづくりを世界へ発信していく。この建物(ギャラリー)と同じように、事業を通してこの地域の歴史や職人の技術を新しい形で次の世代へ繋いでいきたい」、高橋氏は「観光はあくまで手段と考えている。地域産業の魅力に光を当て、燕三条という地に新たな出会いや価値観が混ざり合う機会を創出したい。それによって地域の方が仕事や生活にいっそう誇りと愛着を持てるようになれば」と意気込んだ。

【関連リンク】
KRaft webサイト

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