屏風浦小6年3組 資料館の記憶 多くの人に 学級数増加のため閉鎖へ
磯子区の屏風浦小学校(市岡直也校長)6年3組の児童たちが、同校4階にある歴史資料室「屏風浦資料館」の思い出を残そうと総合の授業で取り組んでいる。同館には地域住民らが持ち寄った昔の道具や写真などが残されているが、学級数の増加に伴って11月末で閉鎖する予定。児童たちは「少しでも多くの人に、資料室のことを知ってほしい」と話す。
同館は1996年、同校創立40周年を記念して作られた。所蔵されているのは、1900年頃から60年頃まで地域で使用されていた稲作用の農具や海苔の養殖などで使われた漁具、当時の様子を写した写真など。そのほとんどが、児童の学習や地域のために活用される郷土資料として地域住民から提供されたものだ。
区内森在住の関貞雄さん(96)は、開設に携わった一人。「故郷の歴史を学び、地域を大切にしてほしい」という思いで使わなくなった道具などの提供を地域住民へ呼び掛け、多くの人や学校の協力もあって開設に至ったという。
所蔵された資料は児童の社会科の授業で活用されてきたほか、時折貴重な資料を見ようと地域住民が同館を見学に訪れることもあった。しかし、同校では児童数・学級数の増加に伴い、昨年度末に同館を閉鎖することを決断。それを知った同クラスでは、同館のことを下級生や地域住民へ伝えたいと考えた。同館や所蔵された道具などの詳細を伝えることで、資料館のことを多くの人の記憶に残すことを目指す。
保存策を検討
10月には福祉施設企画の地域を巡るツアーの中で、地域住民約20人が同館を見学。児童たちは道具などを見せながら調べたことを解説した。「ここで伝えたことや資料室のことを、ぜひ周りの人にも伝えてほしい」と児童の一人。また、校内では「招待状」を手作りして全クラスへ配布し、一人でも多くの児童が閉鎖前に同館を訪れるように呼び掛けている。
同校では同館の資料を保存していく方針で、検討を進めている。市岡校長は「方法は検討中。貴重な資料を何かしらの形で残せるようにしたい」と話している。