5日間330万円の〝神楽伝承ツアー〟に訪日観光客たちが感涙 観光庁「地域観光新発見事業」の最前線
日本の伝統的な舞楽の一つである「神楽」。
【画像・動画】超リッチなツアーの紹介動画 29日に行われた発表会の様子も
国内各地で1300年も前から伝承されていると言い伝えられており、無形民俗文化財にも指定されている。
そんな神楽を1から学ぶことができる〝超高額ツアー〟が大分県で実施されているのをご存知だろうか?
ここでしか味わえない『日本の魅力』を知ってほしい――。そんな思いで展開されている「神楽伝承体験プログラム」だ。
これは1~6人のグループで行う、プライベートツアー。旅行代金は1グループ330万円(税込)。 主なターゲットは――インバウンドの富裕層だ。
このツアーでは、大分県宇佐市に継承される「豊前岩戸神楽」の稽古をプロの神楽師から毎晩2時間ほど受けられ、神楽の所作や衣装、歴史文化等についても学ぶことができる。食事も神楽舞を奉納する神楽師たちが実際に食べている特別なものが用意されているそうだ。
5日間の滞在で「豊前岩戸神楽」を習得し、最後は神前で奉納発表も行う。主催者によると、参加者は深く感銘を受け、必ず最後には(人によっては1日目で既に)泣いてしまうんだとか。
こちらは2泊3日で約90万円~
いま、このようなインバウンドの富裕層向けの旅行プランが、他の地域にも登場している。
たとえば山形県・庄内地域では、地元をよく知る地域文化情報誌「Cradle」の編集長が、観光客を案内する2泊3日のプライベートツアーを開催しているという。
「北国の奥深い文化に触れる旅」をテーマに、500年の歴史を持つ神事・黒川能の舞い方や出羽三山での修験道の体験、さらに日本三大祈祷寺・善寳寺での祈祷体験など様々な日本の伝統的文化に直接触れられる貴重な機会を提供し、販売希望価格は1人46万円(最少催行人数は2人)。
こちらもなかなかのリッチさだが、モニターとして招聘した海外の旅行会社のスタッフは大いに満足して帰っていったという。
この2例は、インバウンドの富裕層をターゲットにしているということ以外にも共通点がある。観光庁が行っている「地域観光新発見事業」として全国から採択された719件に含まれている事業なのだ。
2025年1月29日、東京・品川で、この事業の成果発表会が開催された。
地域観光新発見事業の目的は「地域の観光資源を活用した地域誘客に資する観光コンテンツについて、十分なマーケティングデータを活かした磨き上げから適時適切な誘客につながる販路開拓及び情報発信の一貫した支援を行うこと」。
インバウンドを中心に観光客の宿泊先・来訪先が都市部に偏在している現状を打破し、地方部への誘客を推進することも目指している。
発表会では先述の2つの事業の他にも、花火で有名な「長岡まつり」以外にどのように集客すればいいか悩んでいた新潟県長岡市が、地元民やわずかな関係者しか体験できなかった地域の伝統行事「火渡り神事」や「不動滝滝行」をコンテンツ化して観光客も参加できるようにした事例や、佐賀県唐津市のホテルが「インフルエンサー派遣」によって問い合わせ件数が昨年比の3倍、予約件数も昨年比の2倍まで伸びた事例など、成功した7件の事業が紹介された。
地元の人は当たり前だと思っていることが、全国にはそれこそ山ほどあるはずだ。その中にも、観光資源としての価値を秘めている文化や伝統、場所がたくさん存在しているに違いない。
あなたのそばにも、そんな可能性を秘めたテーマが隠れているかも?
地域観光〝新発見〟事業
<事業概要>地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツについて、十分なマーケティングデータを活かした磨き上げから適時適切な誘客につながる販路開拓及び情報発信の一貫した支援を実施する。<補助対象>地方公共団体、DMO、民間事業者等<補助額>400万円まで定額、 400万円を超える部分については補助率 1/2 補助上限: 1250万円、 最低事業費 600 万円 https://shinhakken.go.jp/