ファミマでクッキングバーナー「あぶり師」が買えるようになったので、コンビニフードを片っ端から炙ってみる
料理の終わりにちょっとだけ火を入れ、香ばしさをプラスする炙り仕上げ。家庭で簡単に再現できるツールが「クッキングバーナー」だ。とはいえ不要不急のオプション的なアイテムだから、よほどの料理好きでなければ使ったことがないかもしれない。
この春、我らがファミリーマートで使いきりバーナーライター「あぶり師」の取扱が始まった。この事実が意味すること……それはファミマで買える手軽・時短・便利なコンビニフードを、老若男女どなた様も炙ってくれということだろう!
・使いきりバーナーライター「あぶり師」(税込550円)
着火用ではない調理用バーナーの新市場を開拓し、累計35万個を売り上げたという「あぶり師」。本体は手のひらサイズで、いくつかのカラーバリエーションがある。使いきりタイプなので、オイルを足して再利用することはできない。
炎のサイズは調整可。安全ロックを外して、あとはライターのようにスイッチをグッと押し込むだけだ。
手ごろな価格だし、扱いも簡単。わざわざ取り寄せるほどではなくても、ファミマで買えるとなったら手に取る人もいるのでは。これでコンビニフードを炙りまくってみるぞ!
・おにぎりやお惣菜
まず試してみたのは、公式からも例示されている「SPAMむすび」。全体に共通する注意点として、必ず耐熱容器に移すこと。コンビニ商品はプラやポリの包装が多いから、食器の用意だけは怠らないようにしたい。
表面の油がジュワジュワと泡立ち、ポークステーキを焼いているような香ばしい匂いが立ちのぼる! なお油分の多い食材を炙るときは、火が移らないよう十分にバーナーを離す。直火の焼肉を想像して安全対策するとよい。
うんま! ほんのり温まったスパムには、燻製のような香ばしさがプラスされ、何倍にも風味豊かに感じられる。手づくり料理感もアップして文句なしに美味しい! バクバク食べてしまった。
もうひとつ惣菜を試してみよう。もとよりチーズやマヨネーズは炙り料理の鉄板だろう。「冷たいまま食べる」と書いてあるのを盛大に無視して炙ってみたい。
ほのかに焦げ目がついたタルタルは、これまた風味が増して旨い!
が、下にあるチキンまで全体を温めるほどの火力はないため、上はぬるい / 下は冷たいという、ちぐはぐな感じになってしまった。統一感が損なわれ、これはちょっと失敗かな?
・チョコやスナック菓子
続いてお菓子を炙ってみよう。たとえば「さっくり醤油せんべい」なんてどうだろう?
醤油は一瞬で焦げるから、ちょうどいい焼き加減を見つけるのがちょっと難しかった。
しかし、適度に温まったせんべいは普段とひと味違う! 観光地などで焼きたてせんべいを手渡しでもらい、食べ歩きをするような楽しい記憶がブワッと脳裏によみがえる。これは炙ったから美味しいというよりも、「温かいせんべい」が擬似的に焼きたてを連想させて美味しいんだろう。
「和」がいけるなら「洋」だっていいはずだ。チョコ菓子の「ミルフィーユショコラ」を炙ってみる。
表面をコーティングしているチョコレートがみるみる溶けていく。まるで高級菓子のようなメルティな食感に早変わり。中のサクサク感はそのままに、チョコレートのなめらかさがより際立つ。パティシエの手づくりみたい!
どんどん行ってみよう! 定番すぎるけれど「チョコマシュマロ」。やる前から勝ちが確定しているヤツ。
先述の「ミルフィーユショコラ」もそうだったのだが、プライベートブランドのお菓子は個包装になっているものが多くて助かる! 「一度に食べない」「オフィスに置いておく」「人に配る」など、コンビニに求められるニーズがよく把握されていると思う。
はい美味しい。半分溶けて外はサクサク、中はトロトロのマシュマロがまずいはずがない。キャンプじゃなくても食べられるのは手軽! IHが普及し、キッチンに直火がない家も多いだろうから、普段のおやつにもいいのでは。
これはちょっと冒険、「じゃがりこ たらこバター」! じゃがいも → 焼くと旨い。バター → 焼くと旨い。たらこ → 焼くと旨い。なのだから、理論的には失敗するはずがないのだが……
うーん、普通だな。とくに美味しさがアップしたとか、風味が増したとかは感じない。別に炙らなくてもいい。
ひらめいた! これをこうして……
こうしてこうして……
こうすれば……
あぁぁぁぁぁ、これはもう、ひとつの料理でしょ! 旨すぎる! パーフェクト!! 冷めてチーズが固まってきた……となったらまた炙ればいいのだし、おつまみに最高!
・コンビニスイーツ
公式の例示では、バウムクーヘンを炙って焼き目をつけていた。それも美味しそうだけど、ここではちょっとひねって「ふわしゅわ半熟スフレ」をチョイス。
ビジュアルはばっちり! チーズは「焼くと美味しい」ものの王道だし。
ところが、予想に反して「苦みがプラス」「焦げ臭いだけ」になってしまった。分子調理学の分野なのだろうが、どうも炙ると「香ばしくなって美味しい」ものと、「焦げ臭くなる」ものがある。料理研究家に原理を聞いてみたい。
気を取り直して次! もっともメジャーな炙り仕上げと言ってもいいキャラメリゼ。ホテルなど少し上等な店でクリームブリュレを頼むと、その場で焼いてくれることもある。というわけでプリンを炙ってみよう。
先述の通り、プラ容器のままだと危ないので食器に移し替え……
ちょっとした悲劇が起きた。
しかも炙ってみたら、ホットミルクにできる膜のようなかたまりが生まれて食感が悪くなった。なぜ。
なお、砂糖を振りかけて炙るとパリッパリのカラメルが簡単にできた。一気にホテルスイーツに格上げだ。ただ、すでに十分に甘く完成されたコンビニスイーツに砂糖を足すことが、身体にどんな影響を与えるかを想像すると、あまりおすすめできない。
・定番おつまみ
ハム、ソーセージ、ベーコンなどは、失敗知らずの安定食材と呼べるだろう。「サラダチキンスティック」も悪くはない。ごく普通に美味しい。
だけどサラダチキンは冷やして食べるフレッシュ感が魅力だから、炙ることの利点はあまりないかも。
これも定番すぎるかな? 最後に「あたりめ」を炙ってみよう。筆者は下戸なのであまりわからないけれど、七輪で炙って酒の肴に……なんて風情がある。
んん!
ええっちょっと待って、これは旨すぎる! 硬いけど! これまでの品々とはレベルが違うくらい圧倒的に旨い! 硬いけど!
炙ることで魚介の旨みが何倍にも増幅し、口中からよだれが湧き出す。私は今、全身でアミノ酸を感じているのでは? めちゃめちゃ硬いのだが、ひと噛みするごとにジュワッ、ジュワッと旨み成分が染み出すようだ。使用前・使用後を比較する “炙り効果” としては断トツ!
・スルメや貝ヒモを炙りたい
結論。
「あぶり師」で炙って一番旨いのは「あたりめ」。
何の意外性もない、ミもフタもない検証結果になってしまった。おそらく店舗にずらりと並んだ乾き物たちでも同じ効果が得られると思う。
筆者の見たところ「あぶり師」は、「喫煙具のコーナー」に置いてある店舗と、「生活雑貨のコーナー」に置いてある店舗があった。店員さんたちに伝えたい。このアイテムを並べるなら乾き物コーナーが間違いなくベスポジだ!
参考リンク:PR TIMES
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.