洲本市城下町の武家文化を伝える『国名勝 旧益習館庭園』は日本最大級の巨岩がド迫力! 洲本市
淡路島洲本市街地の『旧益習館庭園』をご存じですか?「日本最大級の巨岩を配した武家庭園」として、2019年に国の名勝に指定された、全国的にも大変珍しい景観を有する庭園です。
人気観光スポット『洲本レトロこみち』の南のドン突き。洲本市中央公民館のすぐ隣に見えるこちらの看板が目印です。この周辺は江戸時代に城下町として栄え、今も当時の『町割り』が残る歴史ある場所です。
現在、同庭園は土、日曜日と祝日のみ見学が可能。手前の受付でパンフレットを受け取り、いざ『旧益習館庭園』へ!
塀囲いの中に入って最初に見える風景がこちらです。曲田山と三熊山を借景に、奥に広がる庭園。三熊山山頂には、洲本城の模擬天守が見えます。
けれど、やはり特筆すべきは庭石の大きさです。初めて見る人は度肝を抜かれること必至!「池泉回遊式庭園」という庭園様式に従って作られた庭の、東西に延びる池の山側に配した巨岩は、一番大きなものでは高さ4m、幅5.8mにも及びます。
この場所は当時、城下町を建設する際の石切場だったとのこと。曲田山に続く庭園の奥にも、巨岩が多く残っています。
また、池の傍にある巨大石燈籠は高さ約4m。こちらは明治~大正の頃に付け加えられたものだそうです。
豪壮な意匠ながら、雅な風情を持つ同庭園。春には桜、秋にはモミジの紅葉と、様々な自然の植物が目と心を楽しませてくれます。
この庭園は、江戸時代前期に徳島藩の筆頭家老であった稲田氏により、同氏の別荘に作られました。幕末になって稲田氏は私塾学問所をこの別荘に移し、『益習館』と称します。多くの稲田家臣が学んだ益習館には、桂小五郎や西郷隆盛など幕末の勤王志士たちも訪れたとされています。
益習館は1870年に起こった『庚午事変』により焼失。しかし同庭園は今も、ほぼ当時の姿を留めています。
同庭園を含む屋敷跡は、2013年に持主から洲本市に寄贈。市教育委員会が管理・整備の上、2016年から一般公開し、近頃では年間約2,000人が見学に訪れています。
同庭園では洲本市等によるイベントも盛んに行われます。中でも「秋のライトアップ」は2015年から開始され、今年で第10回目。秋の洲本の風物詩として定着しています。
今年度のライトアップは、11月21日から24日までの4日間開催。ふだん見学できない『旧益習館書院』も、イベント開催時には座敷に上がって、庭の美しい景色を眺めることができます。
同庭園を知る上で欠かすことのできない「庚午事変」については、洲本市山手1丁目にある洲本市立淡路文化史料館前の碑に詳しく説明されている他、館内にも特設コーナーがあります。
洲本市教育委員会の担当者は「江戸時代当時の様子を色濃く残す旧益習館。さらに整備を進め、様々なイベントも行って、市民や多くの人が親しめる場所にしたい」と話します。
洲本市街地の遠い日の栄華を今に遺す「旧益習館庭園」。巨岩の池の縁に立ち洲本城を眺めていると、ふと当時にタイムスリップしたような不思議な気持になりました。
場所
国指定名勝 旧益習館庭園
(洲本市山手3丁目地内)
一般公開
土曜日・日曜日・祝日(毎週)
10:00~16:00
入場料
無料
問い合わせ
洲本市立淡路文化史料館
TEL 0799-24-3331
洲本市教育委員会生涯学習課
TEL 0799-24-7632