自工会の二輪車委員会ってどんな組織?を2分で知る!
自動車メーカーの業界団体「日本自動車工業会」(以下、自工会) のなかでもバイクに関する事業に取り組んでいるのが「二輪車委員会」と呼ばれる組織です。5つの部会から構成される二輪車委員会が日頃どんな活動に取り組んでいて、バイク業界にどんな貢献をしているのか、ライダーにどんな役に立つような活動をしているのか、MOTOINFOの読者にもご理解いただけるようご紹介します。
自工会 二輪車委員会の事業紹介
「二輪車委員会」は「電動二輪車普及部会」「二輪車海外部会」「二輪車国際法規戦略部会」「二輪車技術・基準調和部会」「二輪車企画部会」という5つの部会で構成されています。それぞれがどんな役割を担っているかご説明しましょう。
電動二輪車普及部会
二輪車委員会の中で、電動バイクに関する事案を取り扱うのが「電動二輪車普及部会」です。暮らしの中で環境と共存・普及しているEV社会の実現を目指し、国内バイクメーカー4社をはじめ業界内の他団体や組織と連携して、国内外での電動二輪車の普及を加速させる活動を実施しています。
共通利用可能な交換式バッテリーのコンソーシアムを2019年に設立され、翌2020年には産官学連携でのバッテリー交換式電動バイクの普及に向けた実証実験「eやんOSAKA」を実施し、交換式バッテリーの有用性の検証をしました。2022年には交換式バッテリーシェア企業「Gachaco(ガチャコ)」を設立されると、交換式バッテリーシェアサービスの運用開始に貢献しました。現在、電動バイクの充電インフラの整備・促進に向けた活動を精力的に行っています。
二輪車海外部会
世界の二輪産業業界における窓口を担っているのが「二輪車海外部会」です。全世界を統括するIMMA(国際二輪自動車工業会)の元に、「ACEN(欧州)」「USMMA(アメリカ)」「FAMI(アジア)」「SIAM(インド)」「abracicio(ブラジル)」の5団体が属し、自工会はアジア圏を取りまとめる「FAMI」に属しています。その「FAMI」において、二輪車海外部会のメンバーが議長職を務めています。
年々要求が厳しくなっている「環境」「安全」領域において、二輪車産業界として効果的かつ現実的なソリューションの検討と実施が求められており、全世界の二輪車生産・販売の約7割を占める「FAMI」「SIAM」「abracicio」のエリアを指す「Global South Alliance」という枠組みの中で、数々の課題への対応に取り組んでいます。
二輪車国際法規戦略部会
安全面や環境面を考慮した国際基準や法規の作成を請け負うのが「二輪車国際法規戦略部会」です。排出ガス基準や騒音基準、灯火器、ブレーキなど国ごとに異なる規制や保安基準を国内の法規と照らし合わせて最適化し、安心して二輪車を楽しめる環境づくりに貢献しています。国際基準調和を進める国土交通省や環境省にIMMAからのデータを共有・連携し、各国基準を国際基準に統一するための働きかけを行っています。
二輪車技術・基準調和部会
国際法規の国内調整を担っているのが「二輪車技術・基準調和部会」です。国内バイクメーカーが開発した二輪車を海外展開する場合、各国で設定されている法規や規制に準じて仕様変更せねばなりません。これまでは販売展開する国ごとに作り分けられていましたが、どの国の法規にも対応する国際基準調和に基づいた世界統一基準を推進し、仕様変更することなく世界各国で同一モデルの展開を可能にしています。
二輪車企画部会
関係省庁や地方公共団体、関係各団体と連携して「二輪車産業政策ロードマップ」の策定・推進・実行・見直しを牽引しているのが「二輪車企画部会」です。「二輪車産業政策ロードマップ2030」には、解決すべき「4つの政策課題」と、その課題を改善するための「11の施策」が示されています。そのための取り組みとして、毎年各地で開催されている国内二輪車市場の活性化を目的としたシンポジウム『BIKE LOVE FORUM』(以下、BLF)の実施や、二輪車普及・安全啓発イベント『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』(以下、バイクの日)の運営を担っています。
2023年 国内二輪市場総括
ここからは、自工会 二輪車委員会の活動の具体例を紹介していきます。
2023年 二輪車排気量別登録・出荷実績
排気量台数前年比小型二輪(251cc〜)91,08990.3%軽二輪(126cc〜250cc)71,648100.5%原付二種(51cc〜125cc)149,655147.2%原付一種(50cc以下)92,82470.7%合計405,216100%
2023年の二輪車排気量別 登録・出荷実績を振り返ると、小型二輪は約1割減、軽二輪は前年並み、原付二種は約5割増、原付一種は約3割減という結果でした。原付二種の大幅な台数増が他をカバーしました。合計台数は前年を維持する40万台超えとなりました。
2019~2023年 二輪車排気量別登録・出荷実績
直近5年の登録・出荷実績の推移を見ると、コロナ禍以前の2019年と比較すると特に2021年は原付一種以外のカテゴリーが増加しました。2022年からは比較的落ち着きを見せ、市場は堅調に推移しています。
2023年度は原付一種の落ち込みを原付二種がカバーする形となりました。バイクメーカー各社から魅力的なモデルが登場したことや、2018年の道路交通法改正によるAT小型限定普通二輪免許が取得しやすくなったことから、原付二種の人気が高まったものと考えられます。
二輪市場に見る消費スタイルの変化
新型コロナウイルスが季節型インフルエンザと同じ第5類へと移行したことにより、二輪業界だけでなく多くの人々の行動が活発になると予想されます。それに伴い消費が生まれて経済の活性化に繋がるかと思われますが、その消費に目を向けると、二輪車本体や部品類を購入する「モノ消費」や、ツーリングや自身のライフスタイルを充実させる「コト消費」から、イベントへの参加など今しかできない体験を得る「トキ消費」へと変化していると考えられます。二輪業界で言えば、モーターサイクルショーやMotoGP日本グランプリ、鈴鹿8耐などが挙げられます。自工会が運営する「バイクの日」イベントや「BLF」もトキ消費に含まれる催しです。
2024年 国内二輪市場の展望
ここ数年の国内二輪の新車販売が40万台を維持し、堅調に推移していることが分かりました。今まさにバイクライフを楽しまれている若年層に末長く二輪を愛好してもらうことが重要だと言えます。
2024年度の方針としては、安心してバイクライフを楽しめる仕組みづくりが必要だと考えており、自工会はそのためのファンづくりに注力していきます。
2024年市場活性化に向けた二輪ファンづくり施策
自工会 二輪車委員会が取り組む2024年度の二輪市場活性化のための施策をご説明します。
MOTOINFOによる情報発信
「MOTOINFO」は、一般社団法人 日本自動車工業会が運営する二輪車に関する情報メディアです。今、バイクを楽しんでいるライダーはもちろんのこと、これからバイクに乗りたいと思っている方まで楽しめるバイクの面白さや利便性が伝わる情報を発信しています。
8月19日はバイクの日 HAVE A BIKEDAY
2024年8月19日、東京・秋葉原の「アキバ・スクエア」にて『バイクの日』を開催しました。お盆休み明けの平日開催にもかかわらず、当日は1,700名強の来場者で大いに盛り上がりました。秋葉原という場所柄、普段はバイクに接することがない若い人や親子連れが訪れ、空調の効いた空間でバイクを身近に感じていただけました。『バイクの日』は来年以降も引き続き8月19日に開催予定です。
RM2030推進にむけたBIKE LOVE FORUM関連イベント
2024年度は9月27日(金)より宮崎市にて「BLF in 南国みやざき」を開催します。浜松で開催した昨年の第11回BLFでは、「二輪車産業政策ロードマップ2030」で掲げる「4つの政策課題」のひとつ「事故死者数ゼロ」の達成に向けて、「若年層の交通安全教育を考える」をテーマに、文部科学省、埼玉県警本部にご登壇いただき、具体的かつ有用な議論を行いました。
今年のBLFでは昨今の国内二輪市場動向を鑑み、ここ数年で二輪ユーザーとなった若年層の皆様に末長く二輪車を愛好していただくため、「4つの政策課題」にある「快適・楽しさの訴求」に焦点を当てます。開催自治体である宮崎市と連携して二輪ユーザーの皆様に、快適かつ楽しく二輪を楽しんでいただくための取り組みをテーマとして取り上げる予定です。
またBLF関連イベントとして「来てん!宮崎ツーリングキャンペーン」を、2024年11月30日(土)まで開催中です。昨年浜松で実施したツーリングキャンペーンでは、期間中に1,100名を超えるライダーが参加し、静岡県内の観光スポットや道の駅、名所などをバイクで巡られました。バイクライフの醍醐味であるツーリングをめいっぱい楽しんでいただくことが、バイクファンづくりに繋がると考えます。宮崎でも同様の効果を生み出せればと思います。
二輪業界の活性化に繋がる働きかけを
二輪車委員会は二輪市場を活性化させるために必要な取り組みを5つの部会ごとに受け持ち、ライダーにとって幸せな環境となるよう日夜施策に取り組んでいます。バイクを楽しむ皆さんの日々を下支えしている組織のこれからの取り組みにご期待ください。
お問い合わせ先:BIKE LOVE FORUM [バイクラブフォーラム]公式サイト 、「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY 2024」特設サイト - 自工会