【TJ調査隊】えちごトキめき鉄道二本木駅のかわいい“ウサギ”マークは何?
新潟県上越市のえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの二本木駅(同市中郷区)に2024年7月、新しい駅名標が設置された。駅近くに二本木工場がある化学メーカーの日本曹達(本社東京都)が同駅のネーミングライツ(命名権)を取得したためで、愛称となる副駅名は「かがくで、かがやく。日本曹達前」。設置された駅名標を見ると、「かがくで、」の前に紫色のウサギのマークが描かれている。このマークは一体何だろう。
《画像:日本曹達が命名権を取得した二本木駅の駅名標。副駅名にはウサギのマークが入る》
ウサギマークは日本曹達の社章「雪うさぎ」
「これは弊社の社章『雪うさぎ』です。副駅名にはこの社章も含まれます」と話すのは日本曹達総務部広報・IR課。同課によると、雪うさぎは同社が二本木で創業した1920年の冬、工場で製品容器に描くマークについて会議をしていたところ、真っ白い野ウサギが飛び込んできて室内を1周した後、外に消えていったというメルヘン的な逸話が基となっている。
《画像:日本曹達の社章「雪うさぎ」(日本曹達提供)》
化学とウサギはかけ離れているように見えるが、同社の創業当時の主力製品は白いほど純度が高い「カセイソーダ(水酸化ナトリウム)」と「さらし粉(次亜塩素酸カルシウム)」で、真っ白なウサギは製品の品質の高さを表すほか、ウサギは山を駆け上がるのが得意で下ることは苦手なため、成長企業を目指す同社の姿を象徴するものとして採用された。ウサギを囲むのは、豪雪地二本木にちなんで雪の結晶を模した六角形で、六つの角は「誠実・勤勉・創意工夫・協調・奉仕・感謝」を示すと伝わるという。
ヘルメットやラッピングトレインにも
同社は「創業の地にふさわしく、事実と偶然と発想がリンクする化学の世界らしいエピソード」として、雪うさぎを社員のヘルメットにも印字。また2020年の同社の創立100周年記念として2016年から妙高はねうまライン(直江津―妙高高原間)で運行しているラッピングトレインにも雪うさぎをプリントしている。
《画像:雪うさぎがプリントされたヘルメット(上)と日本曹達のラッピングトレイン(下)》
文字だけでなく、マークも含んだ副駅名は珍しい。広報・IR課主幹の田原理絵子さんは「命名権取得は地域貢献の一つ。デザインと色は自由とのことだったので、雪うさぎをコーポレートカラーの紫色で入れさせていただいた。駅を利用する方にも気にしていただき、一緒に地域を盛り上げていけたら」と話した。契約期間は2024年8月1日からの3年間で命名権料は非公表。
新入社員「かわいい」
今春入社した神奈川県出身で二本木工場総務部管理課の西田佳歩さん(23)は「雪うさぎの話は会社説明会で聞き、二本木もイメージでき、かわいいと思いました。こちらでの勤務は1、2年になると思うが、いろんなことを勉強していきたい」と語っていた。
《画像:駅名標と日本曹達二本木工場の若手社員》
《画像:日本曹達二本木工場》
トキ鉄は新たな収入源の確保として、今年3月に命名権事業をスタート。第1号は上越市に本社と工場を置く有沢製作所が妙高はねうまライン「南高田駅」の命名権を取得し、副駅名を「有沢製作所前」としている。
日本曹達株式会社( https://www.nippon-soda.co.jp/ )