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松下洸平、ゴッホへの熱い思いを語る 『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』報道発表会レポート

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『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』サポーター・松下洸平

『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』が、2025年夏より全国3カ所にて巡回開催される。会場と会期はそれぞれ、大阪市立美術館(2025年7月5日(土)〜8月31日(日))、東京都美術館(2025年9月12日(金)~12月21日(日))、愛知県美術館(2026年1月3日(土)~3月23日(月))。

オランダに生まれ、27歳でパリに移ってから37歳で生涯を閉じるまでのわずか10年ほどの期間に画業に没頭し、多くの名品を残したフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。彼の作品が世に知られ、今なお人気を博しているのは、彼の画業を支え、大部分の作品を保管していた弟テオとその妻ヨー、そして二人の子供であるフィンセント・ウィレムによる力が大きいとされる。本展はそんなファン・ゴッホ家のコレクションに焦点を当て、日本初公開となるファン・ゴッホの貴重な手紙4通を含むおよそ75点を一挙公開する。

3月13日(木)には報道発表会が行われ、大阪市立美術館 館長 内藤栄氏、東京都美術館 館長 高橋明也氏、同館学芸員 大橋菜都子氏、愛知県美術館 館長 平瀬礼太氏のほか、本展のサポーターに就任した俳優・アーティストの松下洸平が登場。展覧会の見どころや開催に向けての熱い思いを語った。

松下洸平


ファン・ゴッホの家族に着目した珍しい展覧会

大阪市立美術館の内藤氏によれば、本展の皮切りとなる大阪展は、大阪市立美術館リニューアルオープン後の初めてとなる西洋美術の展示になるそうだ。また、本展はテオの妻ヨーがコレクションを残すのに貢献していることや、2025年日本国際博覧会(略称『大阪・関西万博』)との会期が重なっており、本テーマである「家族愛」と、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」が結びつくと述べた。

東京都美術館の高橋氏は、ファン・ゴッホは日本では毎年のように展覧会が開催されている人気画家ではあるが、家族に着目した企画は珍しいことに触れ、本展を「ゴッホを取り巻く素晴らしい人々へのオマージュ」とした。

愛知県美術館では、2005年に開催されたゴッホ展の入場者数がいまだに最高記録とのこと。愛知県美術館の平瀬氏は、本展でその記録を破りたいと意気込みを示し、ゴッホは「家族がいないと画家としての活動もできなかったであろうし、今に伝えられることもなかっただろう」と語った。

左から:大阪市立美術館 館長 内藤栄氏、東京都美術館 館長 高橋明也氏、愛知県美術館 館長 平瀬礼太氏


ファン・ゴッホの作品を知り、家族の功績を知る

東京都美術館の大橋氏によれば、本展は「第1章 ファン・ゴッホ家のコレクションからファン・ゴッホ美術館へ」「第2章 フィンセントとテオ、ファン・ゴッホ兄弟のコレクション」「第3章 フィンセント・ファン・ゴッホの絵画と素描」「第4章 ヨー・ファン・ゴッホ=ボンゲルが売却した絵画」「第5章 コレクションの充実 作品収集」からなる5章構成である。

ファン・ゴッホ家とそのコレクションを紹介する1章、ファン・ゴッホやテオが所持した絵画を展覧する2章、ファン・ゴッホがパリやアルル、サン=レミやオーヴェール=シュル=オワーズで描いた作品を一挙公開、メインとなる3章、ヨーが生計とファン・ゴッホの評価確立のために売却した記録を伝える第4章、そしてファン・ゴッホの手紙など新たなコレクションを展示する第5章で締めくくられる。ファン・ゴッホの作品を鑑賞しながらゴッホファミリーの愛情と、ファン・ゴッホを世に知らしめるための努力が伝わってくる構成だ。

「第3章 フィンセント・ファン・ゴッホの絵画と素描」

会場で紹介されるファン・ゴッホ家の豊かなコレクションは、ファン・ゴッホの死後に弟のテオが受け継いだところから始まる。しかしテオもファン・ゴッホの死から半年後に亡くなってしまい、それ以降はテオの妻ヨーが、そしてヨー亡き後はフィンセント・ウィレムがコレクションを管理し、普及に努めた。

ファン・ゴッホを支え、絵を有名たらしめたのはテオの功績はもちろん、テオとの2年に満たない結婚生活の中、3回しか会わなかった義兄であるファン・ゴッホの作品を守り続けたヨーと、その息子フィンセント・ウィレムの功績が大きい。ファン・ゴッホを取り巻く家族の温かさを実感できるだろう。

「第1章 ファン・ゴッホ家のコレクションからファン・ゴッホ美術館へ」

本展では、ファン・ゴッホの名作のほか、ファン・ゴッホお気に入りの肖像画や、彼が影響を受けたであろう浮世絵、療養中に力を入れて取り組んだオリーブ園を画題とする絵画のほか、日本初公開の手紙も鑑賞することができる。手紙は色褪せしやすく展示される機会が少ないので、大変貴重な機会だ。

「第2章 フィンセントとテオ、ファン・ゴッホ兄弟のコレクション」

「第5章 コレクションの充実 作品収集」

キーヴィジュアルになっている自画像は、ファン・ゴッホのパリ時代最後の作品で、初めてゴッホと会った時の印象に一番近いとヨーが回想しており、家族との関わりが強い作品である。こちらは以前日本で公開されたが、「家族」という文脈で見ると違った印象を持つだろう。

《画家としての自画像》

その他、幅4メートルを越える大規模空間で没入体験型デジタルアート(イマーシブアート)も。巨大モニターにファン・ゴッホ美術館の代表作が投影されるほか、SOMPO美術館所蔵の《ひまわり》の映像なども登場。大画面で絵の世界に浸りながら、普段気づきにくいファン・ゴッホ作品の細部や画家の筆遣いなどもじっくり確認できるだろう。

没入体験型デジタルアート


本展サポーター・松下洸平が登壇

発表会には、本展のサポーターを務める松下洸平がゲストとして登壇。子どものころから絵を描くのが好きで、高校では美術科だったという松下は「(ファン・ゴッホは)特別な思い入れのある画家の一人」と熱弁。特に注目している作品は《オリーブ園》とのことで、「亡くなる半年くらい前の作品で、出会いと別れを経験して自分自身とも向き合い、心の中に穏やかな風が吹き始めた頃、という印象を受けました」と語った。

松下洸平

ファン・ゴッホの生涯においては、「僕自身も20代の頃は、ファン・ゴッホと同じように、自分のつくりだすものが多くの方の目に留まらない経験もしてきました。めげずに仕事を全うできたのは自信や信じ続ける力があってのことだと思うので、ファン・ゴッホの力強さには共感する部分があります」と述べた。

また本展では日本初公開の手紙が公開されていることに関し、自身もファンから手紙を受け取る機会があることに触れ、「時間をかけて紙やペンを選び、自分の手で書いてくださったものには思いがある気がする。小さいお子さんがシールなどを貼って出してくれた手紙や、似顔絵などがついているものなどは本当に嬉しいです」と顔をほころばせた。

左から:東京都美術館学芸員 大橋菜都子氏、松下洸平

最後に展覧会へのメッセージとして「作品の素晴らしさや絵の力だけではなく、手紙のように日本初公開のものもありますし、全体を通して家族の偉大さや大切さを感じていただける展示。是非足を運んでいただけると嬉しいです」と熱く語った。

『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』は2025年7月5日(土)から大阪市立美術館にて開催後、東京都美術館、愛知県美術館へと巡回予定。

文・写真=中野昭子

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