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第40回「能登半島地震から1年」

TBSラジオ

「私たちの未来は、私たちで作る!」
あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組。
今回は石川県金沢市で行われた小泉今日子さんのツアー(2024年12月17日)に来ていた方々の声をお届けします。最大震度7を観測した能登半島地震の発生から1年が経過した石川県。この地震についてお話しいただいた2人の声をお聞きください。

実家が石川県の輪島で、家は半壊でもう解体しちゃう予定なんですが、家を壊さない人もいっぱいいて。その地区が、まだ電気も水も来ていない状態で。もう1年経つんですけど、その状態で、なんか、忘れられちゃっているんじゃないかなっていうモヤモヤというか、心配というか。僕は金沢に住んでいるのでいいんですけど、家も潰しちゃうからいいんですけど。やっぱり、その地域の人たちはまだまだ田んぼも畑もやっていて、水が来ていないので田んぼもできないし、この間の雨で、田んぼにひいていた水、用水とかも流れちゃって、月日も流れて。
どうにか、忘れないでほしいというか。国に、見捨てないでほしいなというのがすごく心配でして。
大雨と地震の絡みでこの間知ったんですけど、輪島の学校、今は子どもたちは通えているんですが、学校のダメージがひどくて使えなくなるというので、年明けか来春から違う学校に通わなきゃいけなくなったら、そこにいくのに2時間かかるっていうんですよ。ちょっとひどいなっていう。ダメージがひどくて使えない学校はしょうがないんですけど、その学校はどうにもならなかったのか。片道2時間かけて学校に通うことになるみたいで、そういうこともあったり。子どもたちは、今ほとんどの学校のグラウンドに仮設住宅が建っているので野球もサッカーもできない、遊べないという状態で、なんとかしてほしいじゃないですけど、どうにもできない現状にモヤモヤというか。

能登の震災で母が被災したんですけど、全然進んでいなくて。それがなんかもどかしいな、って。今日は気分転換に主人が「行ってこい!」って言ってくれたんで、福井から来たんですけど。
あいたくてあった地震は、ないじゃないですか。だから、進まない、何が進まないんですかって聞かれるとうまく答えられないんですが、元の母に戻れないっていうのが、なんか切ない。1月1日に被災してしまって、10日間、「避難したくない」って言って、被災した家に、ひとりで、真っ暗な、電気もつかないところに、元に戻らないあの家を…
全壊、半壊、準半壊、って勝手に決められるんですね。そんな、誰が決めるんや、「準半壊」って。お金が欲しいわけじゃなくて、元に戻らないのはわかっているんですけど、区分というか、区分けがどうなんやろって。
そんなふうに分けて、災害を、分けるしかないのかもしれないんですけど、東北の津波とか阪神淡路の震災って他人事だったなって。被災した人に、本当に、心からそう思います。

※追記:コメントいただいた学校は3学期から近くの公民館で授業が行われることになりました。収録時点の状況とは変化がありました。(TBS NEWS DIG)

小泉:とっても切実な訴え。ご主人が「コンサート行ってこい」って言ってくれたっていうのは、すごくありがたい感じがしましたけど。本当に、もう1年が過ぎているのに学校が片道2時間のところに通わせるって、ありえないでしょ。

大石:うん。

小泉:どういうことなんでしょうね。あと、「他人事だった」っていうのも、わかります。私も被災したことはないから、東北の時も、阪神淡路の時も、ニュースで気にして見ているけど。心は寄せたいし、寄せているつもりでも、この現実感ってわからないところがあったりするから、こうしてお話ししてくださってすごくありがたいですね。

上村:金沢公演の時、きょんさんの元に花束を持ってきてくださった方がいましたね。

小泉:そうです。MCでお話ししていたら、女性が前に来てくれて、すごく素敵な赤い花束をくれたんですね。「能登から来ました」って言ってくれて。後からお手紙を読んだら、長いお手紙で、同じようにこういう状況を書いていてくれたんですけど。やっぱり、誰かにちゃんとわかってもらいたい、っていう気持ちがありそうですね。

大石:そうかそうか。阪神淡路の震災の時とかって、比較的復旧もワーって進んだみたいな印象があるんだけど、災害が増えるにしたがって復興にすごく時間がかかるというか。

小泉:そうですね。能登に関しては、本当に、おかしいくらい遅いと思います。

大石:うん。

小泉:東北の時とかは、当時の総理大臣とか、結構足を運んで、みんなの話を聞いていて。私、覚えてるんです。体育館とかで通り過ぎようとした時に、ある人たちに声をかけられて「どうせ自分たちはすごく小さい空気だから、話も聞いてくれないのか」って言った時に、戻ってお話を聞いていて。聞いてくれるだけでも、少し心が癒される、気持ちが晴れるっていうのがあると思うの。然るべき人に聞いてもらいたい、っていう。そういうことも全然できていないように見えるのよね。

大石:たしかにね。

小泉:能登の地震で、そういうの見たことなくないですか?

大石:震災っていうと、大臣クラスの人がいっぱい関わってるはずだから、入れ替わり立ち代わりしっかり(現地に)行って、聞くタイミングってあってもおかしくないと思うし。このリモートの時代にね。

小泉:当たり前だと思うんだけど。全然そういうことを見てないです。報道とかでも見ていないのをすごく不思議に思います。一方で、全然違うことで会見をしたりとか、くだらない不祥事みたいなこととかさ、そういう感じがすごく今、信用できない気持ちになる人、多いんじゃない?

大石・上村:うーん。

小泉:あと、全壊、半壊、準半壊、ってもちろんそうやって区分けして対処していくっていうのはわかる。けど、言われた方はやっぱり傷つく。

上村:そうですね。

大石:「お金が欲しいわけじゃない」っておっしゃってるけど。

小泉:これできっと補助金とかが変わるからなんでしょうね。

上村:だから分けなきゃいけないっていうことはわかっているけれども…っていうのは。

小泉:だけど「お金目当てで言っている」って思われたりする悔しさもあるでしょうね。

大石:でも、2時間かけて学校に行くとか、知らなかったから。だからもうちょっと解像度高く、僕らも現実を知っていかないと。

小泉:こういう情報をラジオでもいいし、テレビでも、新聞でも、細かく知れたらいいですよね。

大石:そうですね。

小泉:ひとりひとりのお話を聞くと、こんな事実が出てくるっていうのが、すごくびっくりしました。本当に、こんなに自分の気持ちだとか、思いだとか、モヤモヤしている、考えていることをこんなふうにきちんとお話しいただいて嬉しいというか、感謝します。他にも、ラジオを聴いている方で能登の状況だとか、現状をもし知っている方がいたりしたら、この番組では紹介できると思うので。メールでもお手紙でもいただけたら。

大石:定期的に、しっかりやりたいですよね。

小泉:そうですね。だって、これで1年経って、ほとんど復旧できていないところがあるっていうことは、とても時間がかかることだと思いますし。東北の時もそうだったけど、一見、復興したように見えてもまだまだ手が足りていない細かいことってあると思うから。長期的にね。

大きな災害に備えた実証実験


法政大学「キャンプ in キャンパス」

お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。

上村:大きな災害に備えて、普段からテント生活をしよう、と提案しているアクション「キャンプ in キャンパス」。法政大学・現代福祉学部の水野雅男教授にお話を伺いました。

大学の芝生広場にテントを張ってご家族で夜を明かす、という実証実験をやっています。対象は「体育館で、集団で、雑魚寝をすることに馴染まない人」。たとえばペットを飼っている人は「ペットを離してください」と言われるんですよね。赤ちゃんは夜泣きをするし、小さい子は走り回るわけです。主にその2つの属性のご家族を収容するには、テントが向いているんだろうなと思って取り組んでいます。完全にプライベートな空間を作ることができるので、精神的なストレスもかなり軽減できることがわかりました。
もうひとつ、いいところは「フェーズフリー」ということが言えるんですね。「フェーズフリー」というのは、この数年提唱されはじめました。平常時のフェーズと、災害が起こった時のフェーズ・局面があって、テント生活に慣れていると災害時にもシームレスに移行できるんですね。だから防災だって構える必要はなくて、普段からそういう生活に親しんでいることがそのまま災害後も生かされるという意味で「フェーズフリー」を実現していて。
能登半島地震が起きて、ボランティアが少ないと言われたのは、宿が少なくて、泊まる場所がなくてボランティアが入ろうにも入れなかったんですね。能登半島の先端の珠洲市にオートキャンプ場があったので、モンベルとかから協力を得て、ベースキャンプを作ったんです。だから、避難民を受け入れるっていうこともあるけど、ボランティアのベースキャンプとしてもテント村がすごく大事だってことを私自身も感じたんですね。
多摩地域の大学のキャンパスってかなり広大なんです。たとえば首都直下とかが起きた時に、全国からボランティアが集まるけど、そこを使えば、宿泊するベースがあれば来てもらえるんですね。まずは今、法政大学でやっていますけど、多摩地域の大学に広げて「キャンプ in キャンパス」のネットワークを作りたいと考えています。

小泉:へー。私、キャンプってしたことないの。

大石:意外。

小泉:なんか機会がなくて。でも、ちょっと前から欲しいと思っているのが、軽トラをキャンプカーにするセットみたいなものが売ってるんです。仕事の時とかもそれで行ったら待ち時間とかのんびりできるかなって思ったりして。

大石:たしかに。

小泉:あと、私も猫ちゃんがいるから、一緒に旅行とか、海とか行けるかもって思ったりして。そういうの、すごく流行ってて、予約待ちだったりするんですよ。キャンプ、したことあります?

大石:うん!

上村:私、あります。

小泉:今キャンプ自体も流行ってたりして、コロナ禍とかでも家族旅行に行けなくてキャンプに行ってる人とか見受けられて。家族でアクティブにアウトドアを経験するって、それだけでもすごくいいことだけど、それが非常時に役に立つかもしれないっていうのはすごくいい考え方かも知れないですね。

上村:シームレスに移行できる、とおっしゃってましたけど、まさしくそうですよね。1回やることによって、「ここで寝る時に枕があったほうがいいな」とか、「充電がこれくらいで無くなるから買っておかなきゃ」とか。いざっていう時に用意しようと思ってもなかなかできないので。1回やっておくのはすごく大きいことですよね。

大石:僕も、いざテントを張るってなっても、すぐに、スムーズにできる自信がないですもんね。

小泉:お子さんとかも、それが楽しい体験としての記憶があれば、非常時とかも怖がらずに移行できる気もしますよね。あと、わんちゃん猫ちゃんも。

上村:あと、ベースキャンプにもなり得るんだっていうのはすごく大きいですよね。

小泉:そうですね。ボランティアの方々が泊まる場所がないって、確かにそうだよね。災害があった場所で営業しているホテルなんてあまりないもんね。いいと思う。まずは、私はキャンプデビューをしてみます!

大石:前に、「サステバ焚き火」が企画に上がってたから。

上村:スタッフが場所を探してくれてるんですよね、なかなかできる場所がないって。

小泉:じゃあ、今年の目標として。

(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)

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