創業134年の駅そば『桃中軒』が唯一無二すぎた! 行ってみて感じた「旅人が気をつけるべき点」/ 立ち食いそば放浪記344:沼津
突然だが、皆さんは日本最古の駅そばってどこかご存知だろうか。Googleで「日本最古の駅そば」と検索すると、AIが東北本線一ノ関駅の「斎藤松月堂」と答える。販売開始は明治30年頃、ただし今は営業していないらしい。そして、現存する駅そばでは大正7年に創業した東神奈川駅の「日栄軒」なのだそうな。
桜木町駅の「川村屋」は明治33年創業だから創業125年だけど、あれは駅そばではなく立ち食いそばという判定なのかもしれない。日栄軒なんだなあ。確かに駅そばと言えど100年超えは珍しい。と思っていたら、看板に創業明治24年と書かれた駅そばをJR沼津駅で発見した。創業134年!? 最古を超えてる……!!
・ただし
その駅そばの名前は『桃中軒(とうちゅうけん)』。店舗の外観からも日栄軒ばりに風格がにじみ出ている上、調べてみたところ、公式サイトの会社概要にも1891年創業であることが書かれている。どうやら明治24年創業はガチなようだ。ただし……
創業は弁当屋として。駅そばも始めたのは1968年かららしい。それゆえか、店舗には他の駅そばではあまり見受けられない特徴があった。
<!--more-->・特徴的な点その1
店内がなくてカウンターのみなのである。カウンターが駅のホームにフルオープンしてるところが弁当屋の窓口を改造したみたいなデザインなのだ。
メニューは一番安いのが「かけそば(税込380円)」で、一番高いのが「かき揚げそば玉子付き(税込660円)」。私は「かき揚げそば(税込590円)」を注文したのだが、厨房を見ていると、また1つ特徴的な点に気づいた。
・特徴的な点その2
それはつゆを温める時にかき揚げ天を鍋に浮かべていること。基本、天ぷらってサクサクさをアピールしている店が多い。それは立ち食いそば屋でも同じだが、このスタイルはその真逆。確かに、そば屋の天ぷらはつゆが染みこんだ衣も良さではあるけど、ここまでガッツリつゆで茹でているのは初めて見た。
ゆえに、出てきたかき揚げ天そばはかき揚げ天までつゆの色にバッチリ染まっていた。つゆは関西のつゆほどではないにせよ、その透明感には東京のそばとはまた違った文化の匂いがする。
・特徴的な点その3
まず、かき揚げ天を箸で持ち上げると、ふにゃっと折れる。ひたひただけどバラけないところに衣の強さを感じつつ、食べてみると、じゅわっとつゆがあふれ出す。だが、予想外だったのは……
このつゆがかなり甘いのである。甘さの質が醤油のコクよりも砂糖っぽさの方が強く感じる。そこで試しに、名物っぽく推されていた「いなりずし(1個80円)」も食べてみたところ甘みの質がほぼ同じ。いなりずしみたいな甘さと言えば、つゆの特徴も伝わるのではないだろうか。
いなりずしには「桃中軒自慢の」と書かれていたため、このバランス感が桃中軒なのかもしれない。店構えといい、味といい、ハウツーが確立された現代の駅そばチェーンとは一線を画している。だが、そんな店構えや味以上に特殊さを感じたことがあった。
・特徴的な点その4
それは営業時間。実は沼津の桃中軒は8:00~9:45と10:45~14:00の間のみの営業となっている。駅そばと思えない短さでクローズするので桃中軒目当ての旅人はご注意を。何を隠そう、本日私(中澤)も滑り込みでした。
なお、桃中軒は御殿場西口や三島にもあって、御殿場西口は16時まで、三島の新幹線のホームにある桃中軒は19時まで営業している。したがって、食べるだけなら問題ないとは思うが、店構え的に在来線ホームの桃中軒は旅の道すがらな雰囲気が強い。
それもまた駅そばの味。時代の空気感を残す桃中軒は特にそういう店だと思う。世はAIはびこる均一化社会。だからこそ、その体験にオリジナリティーを感じたのであった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 桃中軒 沼津駅在来線上りホーム
住所 静岡県沼津市大手町1-1-1
営業時間 8:00~9:45 / 10:45~14:00
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.