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長男は発達障害、「次男も診断を受けたほうがいい」夫の言葉に秘められたわが子への思い

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長男は発達障害、「次男も診断を受けたほうがいい」夫の言葉に秘められたわが子への思い

監修:藤井明子

小児科専門医 /小児神経専門医/てんかん専門医/どんぐり発達クリニック院長

支援に繋がった後でも医師の診断は必要?夫婦で違った考え方

幼稚園の満3歳児クラスに入り、児童発達支援に加えて、幼稚園にも通うようになった次男かー。新しい生活が少しずつ落ち着いてきた頃、夫からある提案を受けました。

「かーも医師に診てもらって、診断を受けたほうがいい」と。
その話を聞いた当初、私は診断を受ける必要性を感じていませんでした。それには、わが家の長男りーが知的障害(知育発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断された経緯が関係していました。

次男かーよりASD(自閉スペクトラム症)の特性が強く表れていた長男りーは、当時通っていた児童発達支援の先生の勧めもあり、年長で幼稚園から療育園に転園することになりました。私たちの住んでいる地域では、療育園へ通うためには病院等で医師の診断を受ける必要があります。「療育園への通園に必要な手続き」の一環として診断を受けたため、療育園に通っていない次男りーには、診断は必要ではないのでは?と思ったのでした。

しかし夫はそういった考えではなかったようです。「医師から見て、何もなかったらそれでもいい。でももし困っていることがあるんだったら、診断がそれをサポートする指針になる」という意見でした。

そこで、次男かーにも診断が必要なのかどうか、何度も夫婦で話をしました。基本的に子どもたちのことに関しては私の意見を優先してくれる夫ですが、これに関しては頑として譲らなかった記憶があります。話をしていく中で夫の子どもたちの将来についての考えを知ることができました。それは、「定型的な発達とは違うわが家の子どもたちが、世間の好奇の目にさらされることがつらい。今のうちから診断を受けることで、必要な医療や療育、福祉の支援を受けて、少しでも生きやすくなってほしい」ということでした。

これまでも、夫とは子どもたちの成長や進路について話をしてきましたが、初めて夫の苦悩を知ることができたように思います。次第に私も診断を受けたほうが良いと考えが変わり、長男りーが診断を受けた病院へ、夫が連絡をとってくれることになりました。

次男も長男と同じ病院を受診。診断を受けて変わったことは?

こうして、次男かーも医師の診察を受けることになりました。その結果、長男りーと同じく、次男かーも知的障害(知育発達症)をともなうASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。ただし長男りーよりも程度は軽いということでした。

またその当時、かーは言葉が出始めてきたこともあり、医師の指示のもと、病院で言語療法(ST)と作業療法(OT)を月に一度受けられることになりました。加えて、3か月に一度、定期的に病院で経過を見ていただいています。医療につながることができた結果、より手厚い支援が受けられることになり、継続して様子を見ていただけるので、今では診断を受けてよかったと感じています(同時に療育手帳の申請もできるとのことだったので手続きをしてきたのですが、このことはまた別の機会にくわしくご紹介したいと思います)。

夫婦でとことん話し合い、「わが家なりの道」を進んでいきたい

夫とは毎日子どもたちの様子や、今困っていること、どういう対応をしたか話をしています。発達支援施設などで先生方と話した内容も、詳しく共有するようにしています。今は幼稚園年中のかーの就学先について話し合っているところです。

私一人ではいっぱいいっぱいになりそうですが、なんとか夫婦足並みをそろえて進むことができています(それでもいっぱいいっぱいになることもありますが……)。これからも、少し遠回りをすることもあるかもしれませんが、わが家なりの道を家族みんなで進んでいきたいと思います。

執筆/かしりりあ

(監修:藤井先生より)
発達障害としての診断は受けずとも、すでに保健センターなどで療育を受けられているから、診断は受けたほうが良いのかと相談を受けることがあります。診断を受けることでお子さん、親御さん、地域社会、医療機関と連携がとりやすくなり、必要な支援を具体的に考えやすくなるメリットがあります。幼少期は支援が必要でも、成長するにつれて、特性はありながらも支援がない状態で日常生活が支障なく送れるようになることもあります。その時には、診断名はいらないのかもしれません。幼少期は、園や学校や児童発達支援施設の連携のために、共通理解としての診断を受けられるメリットのほうが多いと考えています。ご夫婦で話し合いを重ねられたのも良かったと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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