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猫の『お腹側の毛色・柄』にまつわる3つのおもしろい話 黒猫以外で“腹黒い猫”がいない理由とは?

ねこちゃんホンポ

1.「腹黒い」猫がいないのはなぜか?

猫の身体は、背中側の色が濃く、逆にお腹まわりは薄め、もしくは白っぽいのが通常です。たとえば、黒白猫を筆頭に、キジシロ、茶白、ハチワレはお腹が真っ白、一方、キジトラや茶トラ、サビ猫などは、背中よりもお腹まわりの色のほうが薄くなっています。

では、なぜ決まってこんな配色パターンになるのでしょうか?

いちばん有力なのは、「カムフラージュ説」です。

野生下にいる猫を思い浮かべてみてください。四つ足で歩く猫は、常に太陽の光を上から受けます。すると、どうしても身体の下に影が落ち、立体感が生まれてしまいます。いわゆる、陰影というやつです。

人生の陰影は人間を成長させる隠し味ですが、猫にとっては大問題です。陰影によって立体感が生まれると、周囲の情景から自分の存在が浮き立ち、天敵や獲物に見つかりやすくなります。その先に待つのは、敵に追われ、獲物を逃し続けるつらい日々です。

猫の背中側の色が濃く、反対にお腹まわりの色が薄いのは、太陽の光によって生じる明暗差、コントラストを抑えて、まわりの風景に自分をなじませるためです。そういう意味では、戦場における「迷彩服」と同じ機能を果たしていると言えるかもしれません。

上からの光で明るくなる背中を濃い色に、影になって暗くなるお腹を明るい色にすることで、体全体の明暗の差を打ち消し、立体感をなくして背景に溶け込みやすくする効果もあるといわれています。

この配色パターンは、専門用語では、「カウンターシェーディング」と言い、クジラなどの哺乳類のほかに、鳥類、魚類などに見られる一般的な特徴とされています。一例を挙げると、おなじみのスズメも、羽の色が茶色のまだら模様で、お腹は白みがかった灰色です。

つまり、黒猫以外に「腹黒い」猫がいないのは、猫にとって、過酷な世界を生き延びるための生存戦略というわけです。

2.黒猫の「エンジェルマーク」は幸運の証?

話の流れで、黒猫の話題をもうひとつ、お届けしましょう。

全身漏れなく真っ黒というイメージの黒猫ですが、なかには胸元やお腹の部分など、身体の一部に白い毛が混じっている個体もいます。いわゆる「エンジェルマーク」と評されるものです。

黒猫の白い毛が「エンジェルマーク」と呼ばれるに至った背景には、実は、中世ヨーロッパの暗い歴史「魔女狩り」が深く影響しています。

15~17世紀に主にヨーロッパを席巻した「魔女狩り」では、魔女の使いとみなされ、黒猫も同様に迫害を受けました。一方で、俗説によると、身体の一部に白い毛が混じった個体に関しては、「黒猫ではない」と判断され、迫害対象から外されたと言います。

上記の歴史的経緯から、悲劇を免れた黒猫の白い毛は「エンジェルマーク」と呼ばれ、「天使が触れた跡」や「幸運を呼ぶ印」、つまり、幸福の象徴として、のちのヨーロッパの人びとの間で広く信じられるようになりました。

迫害された黒猫の立場からすると、「どうなのよ?」とツッコミを入れたくなるところですが、人間の変わり身の早さは、いつの時代も不変ということなのでしょうか。

ちなみに、黒猫に白い毛、「エンジェルマーク」ができるのは、親猫から白い毛の遺伝子を受け継いでいるからです。黒猫には、白い毛以外にも赤みがかった毛(チョコレート)などの色のついた被毛遺伝子が存在するパターンもあります。

3.猫の毛柄プロセスは「ソースのように」

みなさんは、猫の毛柄の色づきがどういったプロセスで進んでいくか、ご存じでしょうか?

よくたとえられる表現では、「背中の上からソースを垂らしたように色がついていく」と言われています。

科学的にこのメカニズムを説明すると、猫の色素細胞(メラノサイト)は、最初、背中側から発生し、そこから末端部分へと広がっていきます。

ただし、「白斑遺伝子(S遺伝子)」などの遺伝的要因で、色素細胞の移動・拡散が阻害されたり、滞ったりすると、それ以上垂らしたソース(色素細胞)が広がらず、白い部分として残ってしまいます。

猫のお腹や足先の毛柄の色が薄かったり、白くなりがちなのは、上記の理由からです。

まったくの余談ですが、架空の話として、猫界に被毛の配色パターンを担う作業員(猫)がいたら、こんな知られざる内幕があるかもしれません。

普段は誠実に仕事を全うする作業員(猫)が、恋心を抱くニャンコのことを考えるあまり、手元が狂って、ソース(色素細胞)の分量を間違えたために、黒白のハチワレ猫にするつもりだったのに、ほぼ顔が真っ黒な黒白猫になってしまった――。

あのハチワレの微妙な比率、ニュアンスは、おそらく、冷静な判断力と熟練のさじ加減が不可欠なのでしょう。もちろん、ソックス猫の場合もまた然りです。

まとめ

今回は、猫のお腹の毛にまつわる小話を3つ紹介しました。

本文でも紹介したように、生存戦略上の理由から、黒猫以外に「腹黒い」猫はいません。猫の被毛パターンは、背中側が濃く、お腹は薄め、あるいは真っ白が基本です。

猫にまつわる面白い話はまだまだ尽きません。今後も、身近にいる愛猫を通じて、神秘的で、不思議な猫の生態、習性、雑学を面白おかしく学んでいってください。

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