朝食提供で地域交流 下恩方町の調理師専門学校
下恩方町にある萠愛(ほうあい)調理師専門学校(園田京子校長)が、地域住民に温かい朝食を提供する「萠愛朝ごはん食堂」を4月にオープンさせた。園田校長の発案でスタートしたもので、現在は同校の講師が食堂の厨房で腕をふるう。園田校長は「いずれは生徒たちにも協力してもらい、調理や配膳の練習の場になるのが理想」と話している。
萠愛朝ごはん食堂は、月曜日から水曜日の午前7時30分から8時30分まで。授業が始まる前の営業となる。メニューは、おにぎり、味噌汁、そして日替わりのおかず一品。栄養バランスも配慮されており、健康的な一日をスタートできると評判だ。
きっかけは、園田校長の「食事」に対する思い。近年、朝ごはんを食べない子どもたちや、家で一人で食事を済ます高齢者が増えていることを受け、「食堂でみんな一緒に食べることで地元の方たちに元気になってもらえないか」と考えた。
厨房、食器そのまま活用
昨年秋頃からの構想を経て、今年3月下旬にはプレオープンとして近隣住民を招いて料理を振る舞った。調理師専門学校の特色でもある厨房や食器をそのまま使用。あえて子ども食堂とは名乗らず、地域の人なら子どもを含め誰でも利用可能にした。
オープンして約1カ月。「まだまだ(利用者は)多くない」というが、近隣住民の中にはすでに常連もいるようだ。朝ごはん食堂が休業していたゴールデンウィーク明け、初めての開店日である5月7日に下恩方町から来校した75歳の男性は、「味噌汁が具だくさん。やっぱり温かいのがいいね」とうれしそうに汁をすすった。同校周辺がもともと散歩コースで、4月のオープン当初から利用しているという。また、食堂には近隣小学校で朝の登校を見守る「学校安全ボランティア」を終えた高齢者の姿なども見られた。
9割が外国籍
同校は今年創立37年。約60人の生徒が在学しており、地域イベント「元八マルシェ」への出店や地元の子どもたちを招いたクリスマス会、町会が行う運動会への仕出し弁当など、地域とのつながりを大切にしてきた。
また、朝ごはん食堂の配膳を手伝うスタッフは同校の近隣に住むボランティアたち。「クリスマス会に子どもが参加させてもらっていた恩返しに」「地域貢献をしたくて」など、地域との二人三脚で食堂を運営する。
園田校長によると、現在の生徒の約9割が外国籍。彼らにも朝ごはんを食べに来てほしいと願うが、「(生活費を稼ぐため)夜遅くまでバイトしていて朝起きられない生徒も多い」と慣れない日本での生活を心配する。
同食堂はオープンしたてということもあり、現在は同校の講師陣が輪番で料理をつくるが、園田校長は「理想としては生徒たちにも手伝ってもらいたい」と展望する。実際に厨房に立ち、人のために調理や配膳を行うことで、技術だけでない人と人との交流を深める場としても機能することを願う。
朝ごはん食堂の利用料金は中学生以下100円、大人200円。