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滋賀・信楽に伝わる「くるみゴボウ」は室町時代からの行事食。でも簡単には食べられない!

さんたつ

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信楽焼(しがらきやき)で知られる、滋賀県甲賀(こうか)市信楽町。焼き物のエリアから少し離れたところに「朝宮」という地域があります。日本最古*1のお茶・朝宮茶の産地でもある場所です。そこにある三所(さんしょ)神社で、10月の第2日曜に行われる秋祭り(通称「ごんぼ祭り」)の直会*2の席に必ず出されるのが「くるみゴボウ」という一品。なんと、室町時代からこの地に伝わるといわれている行事食なのです。イラストを拡大してみてくださいね~。*1 諸説あり*2 神事のあとに神饌や御神酒(おみき)をみんなで飲食する会

くるみは胡桃(クルミ)にあらず?

“くるみ”と名がついているのに、胡桃はかけらも使われていない“くるみゴボウ”。

これを食す秋祭りは、その年の収穫を祝う日。つまり「農作物の収穫が無事に来る日」を祝う日であり、「来る日」→「くるひ」→「くるび」「くるみ」と変化したといわれています。

枝豆で作った餡(あん)でゴボウをくるむから、という説もあります。

なんでゴボウ?

【いわれ①】
ゴボウは「牛蒡」と書き、これは「牛の尾」を意味します。昔は農作業に牛が必須だったので、豊作を願う行事に牛にちなんだものを供えることが多く、牛蒡も牛にちなんだものとして供えられるのです。

【いわれ②】
ゴボウは「男根」にみたてられ、お供えされることも多く、男根=子孫繁栄を祈る象徴になります。そして、植物の種子が実ることは子孫繁栄でもあるんです。

ようは、どちらも「五穀豊穣」を願う意味があります。

滋賀県内でも、この集落の人しか知らない「くるみゴボウ」。販売などもされておらず、食べられるのは地元民のみ。

さて、お味は?

砂糖と塩で味つけした枝豆餡に、塩ゆでして拍子切りしたゴボウが入っています。ほんのり甘くておやつ感覚。

近畿圏に多い「くるみ○○」

大豆や青大豆、枝豆を餡状にして食材をくるむ(和える)行事食は、近畿圏内に点在しているんですよ!

例えば……
・奈良の「亥(い)の子」
斑鳩(いかるが)は白大豆餡、大和(やまと)高原は青大豆餡
・大阪の秋まつり
北河内は枝豆餡、南河内は大豆餡

取材・文・イラスト・写真=松鳥むう

松鳥むう
イラストエッセイスト
離島・ゲストハウス・民俗行事・郷土ごはんを巡るコトがライフワーク。著書に『トカラ列島秘境さんぽ』『粕汁の本 はじめました』(ともに西日本出版社)、『むう風土記』(A&F)などがある。

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