おいしくて健康になれる稲荷町『中国意境菜 白燕』の本格中国料理。2種のラー油を使ったよだれ鶏がランチの名物
上野駅から徒歩8分、地下鉄銀座線稲荷町駅から徒歩1分の場所にある『中国意境菜 白燕』。中国・北京や香港、台湾など、本場で研鑽を積んだオーナシェフが手がける中国料理は、食べて健康になれる医食同源の料理だ。ディナーはコース料理のみだが、ランチでは本格的な料理をリーズナブルに楽しむことができると評判を呼んでいる。
2階にあるまるで隠れ家のような店舗
車の往来が激しい、大通りから少し入ったところにある。住所を頼りに訪れたが、しばらく見つけることができなかった。目をこらしてみると、ビルの外階段のところに店名が書かれた小さな看板をようやく見つけることができた。
階段を上がって入り口を入ると、カウンター席とテーブル席が並ぶ。本格的な中国料理が食べられるということなので、円卓があって重厚な内装を予想していたが、白を基調としたどちらかというとカジュアルな雰囲気だ。
オーナーシェフの白岩勝也さんによると「あまり大きな店舗ではなく、お客様の顔が見えるぐらい小さな店舗を探していたところ、この店舗が見つかりました。意図していなかったのですが、結果的に隠れ家のような中国料理店になりました」と話してくれた。
2種の自家製ラー油を使ったタレとしっとり感のある胸肉がベストマッチ
数あるランチメニューから、平日Aランチ1300円を注文。メインは名物 魚介スープのワンタン麺、しっとり蒸し鶏の特製辣油 よだれ鶏(ご飯・スープ付き)、熟成酢豚の特製酢豚(ご飯・スープ付き)、山椒香る四川麻婆豆腐(ご飯・スープ付き)から選べ、本日の前菜と自家製ジュースがセットになる。いろいろと迷ったが、よだれ鶏をチョイス。
運ばれてきたよだれ鶏は、見るからに辛そうだったが、ひと口頬張るとピリ辛程度で香りがいい。白岩さんは「タレには、香りがあるラー油と辛みがあるラー油の2種類を使用しています。そこに黒酢や白酢、香辛料を入れた醤油などを加えています。このラー油はお客様からも好評で、直接ご飯にかけて食べる方も。餃子をはじめとした万能ダレとしても人気です」と教えてくれた。
蒸し鶏には胸肉を使い、中がレアな状態なので、しっとりとして旨味が閉じ込められている。「箸で持ち上げたときにしなるような柔らかさで提供」しているという。香りよい特製ダレと一体になり、ご飯がどんどん進む。
日替わりの前菜もおいしい。この日はクラゲの冷製レモン風味と豚耳の台湾黒酢和えだった。クラゲも豚耳もコリッとした食感が楽しく、さっぱりとしていて前菜に最適。
整腸作用があるというサンザシの実を使用した自家製ジュースも甘酸っぱく爽やかな味だ。
体を癒やしてくれるおいしい薬膳スープ
平日Bランチ2200円や平日Cランチ3800円ならば薬膳スープがセットになる。
薬膳スープと聞くと、クセがあって飲みづらい印象があるが、薬臭さは全くなく、飲みやすいので、とりこになってしまいそう。この店の薬膳スープは、一般的になじみがある鶏と豚などベースとなり、ここに季節ごとに薬膳を入れているという。
この日は台湾の四神湯(すーしーたん)をアレンジしたスープで、春タケノコや長芋、ハスの実、ケシの実などが入り、脾臓の強化や肌の乾燥を防ぐ効果があるという。
白岩さんは「夏だと解熱作用があるスープ、冬だったら体が温まるスープと、24節季に合わせて薬膳を変えています。薬膳の組み合わせは無限大で、パズルのように効果に合わせて変えています。2019年のオープン以来、同じ組み合わせの薬膳スープは出していません」と話す。
味も食感も異なるリンゴ飴型の前菜
白岩さんから「本来ならば、ディナーコースの前菜でお出しするリンゴ飴を食べてみてください」と小さな皿を渡された。
リンゴ飴にしては小さくてサクランボサイズ。デザートかと思い、ひと口で頬張ってみると驚かされた。柔らかく、酸味と濃厚さが広がり、普通に食べられるリンゴ飴とは味も食感も異なる。
白岩さんは「初めて訪れた人には、何も説明せずに食べていただいているのですが、茶葉で燻製したフォアグラをハイビスカスを入れた酸味のあるゼリーで包んでいます。形は屋台で売られているリンゴ飴メをイメージしています」と笑いながら教えてくれた。
確かに、前菜にこの酸味と濃厚さがあるリンゴ飴を食べれば食欲を増進させてくれるだろう。
料理とともに味わいたい紹興酒には貴重な50年ものも
料理と合わせたい紹興酒は13種程度がそろっている。グラス600円~、ボトル3000円~と、価格もリーズナブルだが、なかにはボトル8万円という50年ものの紹興酒もあるとか。どんな味がするのだろう? 想像がふくらむ。
また、国産のワインも数多くそろえ、実際にワイナリーに訪れて直接買い付けているという。
おいしくて健康になれる中国料理
白岩さんは「化学調味料は一切使用しない、自然の食材で作ったおいしくて健康になってもらえる料理を提供しています。『中国意鏡菜 白燕』だけの中国料理を楽しんでください。この先、ランチの営業日数も増やしていきたいと思います」と話してくれた。
要予約のディナーコースの中には、フカヒレがメインのものもある。しかも、ほかの店舗と比べてかなり大きいので、リーズナブルだという。今度訪れたらフカヒレディナーと紹興酒を楽しむことにしよう。
取材・文・撮影=速志 淳
アド・グリーン
編集プロダクション
1982年創業の編集プロダクション。旅行関係の雑誌・書籍、インタビューやルポルタージュを得意とし、会社案内や社内報の経験も多数。企画立案から、取材・執筆、デザイン、撮影までをワンストップで行えるのがウリ。