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市立高校「検証報告書」 専門学科や定時制に課題 市教委、「魅力化推進へ」

タウンニュース

市立川崎のオーストラリア留学の様子

川崎市教育委員会はこのほど、市立高校に関する「検証報告書」をまとめた。2026年度から私立高校の授業料無償化が確実となり、生徒争奪戦が予想される中、市教委は今後、「公立離れ対策」の議論を本格化させる。

川崎市立高校が目指す方向性として、市教委は2003年に「川崎市立高等学校教育振興計画」を策定し、開かれた高校づくりなどに取り組んできた。さらに20年には「振興計画」を推進する約10年間の「第2次計画」を策定。24年度は「第2次計画」の中間にあたることから実施状況を検証のうえ、今年2月に「第2次計画検証報告書」をまとめた。

報告書ではまず、14年に中高一貫校として開校した市立川崎高校・附属属中学校について、計画で目指す「6年間を通した体系的な学び」が未達成と評価。今後は教育課程の見直しや柔軟な教員配置などを検討する。また「福祉科」や「総合電機科」など専門学科の定員割れが常態化しており、動画による情報発信など広く魅力を伝える取り組みを強化する。

定時制の需要が変化

最も状況が厳しいのが定時制だ。従来の「勤労学生の夜間学校」としての需要がほぼなくなり、通信制人気にも押され、定員の1割や2割という学校もある。個別の支援が必要な生徒も多く、23年度には全生徒の約3割(延べ人数)に、学習面や福祉面での支援が必要なことが分かった。市教委の担当者は「一人一人の状況に応じた、きめ細やかなフォローが必要とされている」と語る。今後は時代の変化にあわせた学級編成や、個々のニーズに応じた学びの充実に取り組む方針を報告書に明記した。

検討すべき「3つの方向性」として、【1】選ばれる高校づくり【2】生徒が学びを選べる高校づくり【3】適正配置や(学校や学級の)規模の検討、を掲げた。今後は報告書をもとに「新たな市立高等学校等改革構想」(仮称)を策定する。

政府は高校生のいる世帯への就学支援金を巡り、今年4月から現行の支給額について所得制限を撤廃し、2026年度からは私立高校向けの加算支援金についても所得制限を撤廃する方針を固めた。公私とも授業料が無償化される見通しで、全国的な「公立離れ」が危惧される。

市教委の担当者は「高校無償化の影響は現時点では分からないが、現状の課題解決に取り組み、市立高校の魅力化を進めていく」としている。

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