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〝色弱を個性に〟ハンデ乗り越え 日本人男性の20人に1人「きれいさは十人十色」

SODANE

〝色弱を個性に〟ハンデ乗り越え 日本人男性の20人に1人「きれいさは十人十色」

札幌市厚別区在住の栗田正樹さん。赤い色が見えづらい生まれつきの色弱です。

色弱に親が気づいたのは3歳のころだったといいます。

栗田正樹さん「うちはこう・・・お箸をガシャガシャって入れてる家だったんで、茶色っぽいやつとか赤っぽいやつとか、いろんな箸が重なって入っていてそれを僕が選んだ」

「それで、深緑か何かの箸と茶色の箸がほとんど同じに見えちゃうんです、僕ら。でそれを選んで「おなじなの?」っておふくろが言って、「同じに見えるよ」って言ったすごくがっかりして」

「そのがっかりが私に伝わるわけですよ。何か悪いことしたのかなとか非常になんか嫌な感じっていうか、がっかりしたのを覚えてますね」

色弱の原因はほとんどが遺伝です。栗田さんも母方の祖父が色弱だったことから遺伝しました。

生活する上で欠かせない色の識別。日本人では男性の20人に1人、女性の500人に1人が色弱といわれています。

色弱では、主に赤色と緑色の識別が困難になります。色弱の人はどのような世界が見えているのかでしょうか?

実際にその見え方を体験できる「バリアントール」と呼ばれる特殊なメガネをスタッフがかけてみました。

和田愛理リポート「あ、全然ちがいますね、このお花は同じような色に見えますね」

「この辺の花も同じような色に見えますね、でも外してみたら白とオレンジに見えます」

ほかにも押しボタン信号機の上にある「おまちください」の文字も…

見えなくなりました。

栗田さんに色の見え方を聞いてみました。

栗田正樹さん「この・・・ここですね、これ。この黒地に赤い字。あと、これも、ぜんぜん読めないですね。このくらいの赤がとても暗く見えちゃう色のセンサーを持ってるんです僕はね」

過去には色弱を理由につらい経験をしました。

栗田正樹さん「僕が高校3年生の時まで、絵が大好きだったんで、車も好きだったんでカーデザイナーになりたいって受験勉強してて、(周りから)「お前受かるぞ」みたいな感じで、すごく楽しくやってたわけですけどそれで募集要項を取り寄せてみて。担任の先生が取り寄せてくれたんですけど」

「職員室に来いって言われて行ったらね、色盲だったか色覚異常だったよなって言われて「そうですよ」って言ったらこれ受験資格不可って書いてるぞって。それが一番しんどかったですね。まあ入口に入れないわけですから。あれはちょっとね差別的な感じでしたね」

一般の人に「色弱の人への理解を深めて欲しい」と栗田さんは北海道カラーユニバーサルデザイン機構という団体の立ち上げに関わり色弱に関する正しい知識や色弱の人に配慮した色使いを呼びかける活動を行っています。

その1つが札幌の地下鉄車内のモニターです。南北線と東西線ではこれまで、駅名などを表示する車内のモニターは赤と緑とオレンジの3色のみで表示されていましたが、

フルカラーLEDを採用することで、色弱の人でも見やすい表示に変わりました。

2018年から順次更新が行われ、南北線と東西線ではほとんどの車両が新しいモニターに変わりました。

また、今月25日から業務を開始する札幌の中央区役所の新庁舎でも、窓口の案内表示などに、色弱に配慮した従来とは違う色使いがされています。

この日、栗田さんが訪れたのは、手稲区にある小笠原眼科。

こちらでは色弱に関する最新の検査が行われています。

その検査機器で栗田さんも実際に検査してみました。

検査は5分ほどで終了。その結果がこちら。

赤の棒グラフが他の緑と青に比べて低くなっています。

小笠原眼科 小笠原一男院長「まあ赤の要素がやっぱり見づらいっていうことになりますけど、まあ典型例ですよね」

栗田正樹さん「まさにこう実感ですね」

小笠原眼科 小笠原一男院長「もともとのこの石原色覚検査表ってのは結局、正常かそれ以外を見つけ出すというスクリーニングのもので、3色のうちどれが見にくいかっていうことで、どっか異常あるかどうかっていうのを見つける検査なんですよね」

「正常かそうじゃないかの差を調べる検査だったのがこれによって、どの色がどれだけ見えるのかというのがわかるようになったというのが違いですよね」

この検査機器では様々な色弱の人のそれぞれの見え方を計測することができます。

中には青い色がより見える人もいるといいます。

小笠原眼科 小笠原一男院長「Q青がすごい突き抜けてますけど、青が鮮明に見える?青色の光が見分けがすごく強い。正常よりもさらに見えてるというそれがこういうふうにして数字であらわれてる」

一級建築士でデザインの仕事もしていた栗田さん。栗田さんが描いた絵を見せてもらいました。

栗田正樹さん「これは描き方としては、線は筆ペンで書いて、それをコンピューターに取り込んで、コンピューターの中で色を付けた」

栗田さんがコンピューターで付けた色は色弱ではない人には意外なほど鮮やかに見えたということです。

栗田正樹さん「ぼくはぼくの好きなように色を塗って、きれいだなと思って出して、きれいだなって言ってくれる。その色の世界がずれているにも関わらず、きれいさが十人十色あるというのが、面白いなとおもいますけどね」

「どちらが素晴らしいとかじゃなくて、それぞれが多様性に応じた使い方、生き方があるんじゃないかな、それのわかりやすいのが色覚じゃないかな、それが広まってほしいな」

北海道にはおよそ13万人色弱の人がいると言われています。色弱の人はハンデを抱えているのも事実ですが、栗田さんはそれを個性とポジティブにとらえ、より色弱の人への理解が進むことを願っています。

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