全国高校選抜大会 ソフトテニス男子 成功体験を積み、勝てるチームとなった大分 【大分県】
九州高校新人大会で5位となり、全国選抜出場を決めた大分。現在のチームは2年生7人、1年生6人。中学生の頃から県内で活躍してきた選手が多いが、九州・全国での実績はない。全員が「高校では九州・全国で勝ちたい」と明確な目標を持っていたからこそ、喜びは大きかった。
今年の選手たちは真面目で優しいがゆえに、勝負弱いところがある。ハングリー精神が足りず、あと一歩のところで涙を飲んだ場面も少なくない。精神的な弱さを克服するためにコート外(学校や家)でも自分を律し、全国トップクラスとの練習試合で強い相手に挑むなどさまざまな経験を通じて「心の経験値」を上げてきた。その成果が現れたのが九州新人だ。平原滉太郎監督も「勝つことが一番の薬。(九州新人で)苦しい試合、接戦を勝ち切ったことは大きな意味を持つ。大会中、試合ごとにそれぞれが大きく成長した」と確かな手応えを感じている。
「心の経験値」を上げてきた部員たち
九州新人で特に大きな成長を示したのが河野暖斗(1年)。全国選抜の出場権を懸けた最終決定戦の逆転劇に貢献し、会場を沸かせた。また、精神的弱さを課題としていた山田卓弥(2年)も接戦を勝ち切ったことで自信を手にし、才能を開花させつつある。平原監督がチームのキーマンと位置付ける山田の覚醒は全国選抜での大きな強みとなりそうだ。他にもチームをけん引するキャプテンの青野良真と坂口竣亮の2年生ペア、個人戦でチーム最高の5位入賞した穴見舜(1年)と石本瑠偉(2年)ペアなど全員が一歩先へ進むための収穫を得た。
全国選抜ではチャレンジャーとして、目の前の一戦一戦に全力を尽くすつもりだ。「全国で勝つための準備はしてきた。自分たちの目標をより明確にし、さらに上を目指すきっかけにしてほしい」(平原監督)。選手たちも気合十分。青野は「初めての全国選抜。みんなとしっかりコミュニケーションを取り、目の前の一勝をつかみたい」、山田は「全国では自分から攻めて行く気持ちを忘れずにプレーしたい」と、ひたむきに練習に励んでいる。
覚醒しつつある2年生、伸び盛りの1年生が多いチームはまだ進化途中。勝負弱いチームから勝てるチームへ。勝利体験を糧に、向上心や闘争心を養い、さらなる高みを目指す。
全国選抜ではチャレンジャーとして挑む
(甲斐理恵)