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お茶の間の人気者、アフロでおなじみの副島淳が旅の締めに行ってしまうところは?

さんたつ

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父はアフリカ系アメリカ人で母は日本人の、ミックスルーツ。「英語はまったく話せません」という、あるがままキャラで情報番組から時代劇まで、絶賛活躍中。私生活では、2024年にご結婚された奥さまとの二人旅で必ず探訪するのは、地元のスナック?

副島 淳

そえじまじゅん/1984年、東京都生まれ。大学生までバスケットボールに没頭し、卒業後に俳優、タレントとして活動を始める。2017年から『あさイチ』(NHK)の火曜リポーターを務め、そのキャラクターが世代を超えて人気に。『ひるおび』(TBS)の木曜(隔週)レギュラーをはじめ、映画、ラジオ、講演など多方面で活躍している。
Instagram:@soejimajun

——日本生まれ、日本育ちだそうですが、地元はどちらですか?

副島 生まれたのは東京の蒲田です。小学4年から高校1年までは千葉の浦安で暮らしていたので、すべてが詰まっている地元といえば、浦安かな。

京葉線の新浦安駅そばの団地に住んでいたんですが、当時、一帯は高層階のマンションが建ち始めた時期。漁船は停泊しているけど、漁港や海町ともまた違う、埋立地特有の景色と町に漂う海のにおいを強烈に覚えています。

友だちと近所でよく、割り箸に糸とイカを結んだ釣り竿で、ザリガニ釣りをやりました。結構釣れたんですよ。

開発中の新浦安。東京、遠いなと思った夏

副島 一番の思い出は、中学生の時。バスケ部の同級生たちと「ディズニーランドの先って何があるんだろう?」と、7段変速のマウンテンバイクで行ってみたんです。言うたら10代の大冒険。オレら、どこまでも行けんじゃない?っていうテンションで、葛西臨海公園をただひたすら進んで。

新木場の手前、あと少しで荒川を越えるってときに、誰かが「東京行って何すんの?」と。そのひと言で全員の糸が切れちゃった(笑)。そのとき引き返そうと、自転車を止めた橋から見た川の景色は、いまも忘れられません。

大人になれたような、でもまだまだ子どもで。東京、遠いな……と思った13歳の夏の日でした。

中学時代、仲間とマウンテンバイクで浦安から都心を目指すも、志半ばで断念した荒川河口橋(写真=PIXTA)。

アフロを入れて身長2m超。深い楽しみを知ったバスケ部

——そんな仲間と出会ったバスケットボールには救われたとか?

副島 浦安に引っ越したばかりの頃は周りになじめなくて、それこそ人生を自分でおしまいにしようと思ったことがあったくらい。

中学校でも隅っこで目立たないように生活しようと。でも消去法で、やさしそうな先輩ばかりのバスケ部に入ったら、練習も楽ちんだし、毎日がすごく楽しくなり、どんどんむかしの明るい自分に戻っていったんです。

ただ中2のとき、めっちゃ熱くて厳しい先生が赴任して、楽な部活が急に大変に。バスケってつらいじゃん! 嫌いっ、もうやめたい!って、毎日みんなで愚痴(ぐち)大会。

でも負けるのが当たり前だった部が、初めて地区大会の決勝戦まで行ったんです。勝つ喜びとか充実感とか、深い意味での楽しさを知って。その先生と会ったおかげで、結局、中学・高校・大学と10年間もバスケを続けることになりました。

大学在学中に、顧問の先生の紹介で映画のバスケの試合のシーンに出たことが、芸能に入るきっかけにもなって。僕の人生は、バスケなしでは語れませんよね。

——そこから順調な芸能活動が始まった?

副島 いいえ。オーディションに行ったら、当たり前のように「ヒップホップできる?」「英語できる?」と。両方まったくできないからねえ(笑)。アメリカに行ったこともなければ、アメリカ人の父の顔も知らないですから。

オーディションも受けに行かなくなって、ほぼほぼ埼玉・大宮の居酒屋でバイトをする日々でした。

でもあるとき、舞台で戦国時代の殿様役に抜擢されたんです。それも、セリフが全部日本語。「そのほうがおもしろいから」と演出家の人に言われ、自分はこのままでいいんだと、初めて思えたんです。

『あさイチ』(NHK)では、僕がいつも日本語でプレゼンする姿に〈腰の曲がったおばあちゃんが直立しました〉ってFAXがきたり。さまざまな反響がありました。

——そんなお茶の間の人気者ですが、2024年にご結婚されたそうですね。奥さまはどんな方?

副島 二人とも、居酒屋やサウナ、銭湯が好き。出会ったのも、飲み屋さんがたくさんある東京の武蔵小山、西小山です。

僕はサウナがもともと苦手だったんですけど、ロケで青森県の十和田湖のバレルサウナから湖にダイブするというのを体験してから、ハマりました。

都内では大井町の『品川サウナ』がイチオシです。妻と一緒に行く銭湯は『久が原湯』(大田区)が多いかな。

2種のサウナに3種の水風呂を備えた『品川サウナ』。副島さんのお気に入りは深水風呂(写真右)。

博多の屋台は、天神へ。ナチュラルにつかむキャラ

——奥さまとご旅行も?

副島 行きます! 最近では、博多と北海道に行きました。博多には大学時代のバスケ部の同級生がいて、博多に来るならもつ鍋だと『前田屋』というお店を教えてくれたんです。

んもう~、めちゃくちゃおいしい! 2カ月前でも予約が取れないことがあるので、宿や交通チケットを取る前に、お店の席の確保がおすすめ。

あとは、中洲よりも空いていると聞き、天神の屋台にも。川沿いに7~8軒の屋台があるんですけど、僕らが入った屋台には海外からのお客さんが多く、ワールドワイドだなあと思っていたら、店員さんが僕を見るなり「お兄さん、対応(通訳)できます?」って。「すみません。英語、しゃべれないんです」「え、そうなの~!?」と、ナチュラルに笑いをつかんじゃいましたね。旅の最後は妻と僕の定番、スナックで締めました。

——スナック! お好きなんですね。カラオケも?

副島 はい、globe(グローブ)を。妻がKEIKOさん、僕はマーク・パンサーさん役です。よく歌うのは『FACES PLACES』や『Feel Like dance』。

二人ともビビりなんで、スナックの扉を開けるときはドキドキしながら、「すみません、旅行で来たんですけど入れます……?」と。隅っこに座り、常連さんが「歌いますか?」と聞いてくれたら、「じゃ、ちょっとだけ」。

——で、globeを歌う。

副島 そう。「ちょっとって、すごく歌うじゃん! しかも、歌い込んでるじゃん!」っていう雰囲気になります(笑)。

『博多もつ鍋 前田屋』の和牛もつ鍋。福岡市内に4店舗あり、みそ味としょうゆ味、辛もつ鍋が選べる。

——北海道ではどんな旅を?

副島 北竜町のヒマワリ畑に、結婚記念の写真を撮りに行ったんです。そのあと札幌で、おいしいご飯とお酒が飲める店を妻と調べ、初日はすすきのの寿司バー、2日目はジンギスカンの食べ放題に行きました。

最終日の3日目は、疲れたし、定山渓(じょうざんけい)の温泉でゆっくりしようと。でも、温泉にサウナやあかすりをしたら、夜には元気になっちゃって、結局スナックに。

——行かずにはいられない……!

副島 そうしたら、お店に金髪ウィッグにボディコンの「はるちゃん」という方が現れたんです。はるちゃんは歌手を目指していて、自作のCDをくれたり、「定山渓のディーバで~す」とか言って、めっちゃ盛り上げてくれるんです。

僕らがglobeをひととおり歌い、いよいよはるちゃんの番だと思って、チップを用意して待ってたんですけど、「今日はコンディションが悪いから、歌は無理」って。じゃ、なんで来た~!って。

はるちゃんのCDは家に大事に保管しています。ただ聴く術(プレーヤー)がないので、定山渓をバックに写るはるちゃんのジャケットを妻と見てるだけ。どんな歌声なのか(本当に歌っているのか?)、いまだに謎です。

例年7月中旬~8月中旬に200万本ものヒマワリが一面に咲く「北竜町ひまわりの里」。迷路も人気。

“弥助”の次なる旅は、兄を訪ねてロサンゼルス

——俳優業では2023年、本能寺の変を描いた北野武監督映画『首』で、非常に重要な役を。

副島 台本を読んで、一回閉じましたからね。オレでいいの?って。弥助という日本初の「黒人武士」が実在したことは、教科書で知っていたんです。これまでも、舞台とアニメで弥助役をやらせていただいたことがありますが、北野組での弥助は身が引き締まりした。

きれいな面だけじゃない。たけしさんは“男色”にも蓋(ふた)をしないし、たけしさんが描いたように、弥助は織田信長に寵愛された一方、理不尽な扱いを受けていたかもしれない。そう思いながら、自分の中でも新しい弥助を演じることができました。

誰も真実を知らない歴史だから、後世にも語り継がれるミステリーなんだなって。

——ミステリーハンター(『日立世界ふしぎ発見!』)もされていますが、テレビの企画で、ご自身の家族の“真実”を知ったとか?

副島 いや~、本当に事実は小説より奇なりだと思いました。父親(他界)が、日本で俳優をやっていたこと。元バスケットボール選手の高橋マイケルさんが、異母兄だったこと。

僕、高校時代にマイケルさんの試合の前座に出たこともあるんですよ。もちろん、何も知らずに。番組で兄と知った瞬間、よくわからない感情が込み上げてきて、泣いちゃいました。

偶然にも、父や兄と自分も同じ道を辿っている。運命とか信じないタイプなんですけど、オレ、導かれまくっとるやん、怖っ!って(笑)。

いつか、ロサンゼルスにいるマイケルさんに会いに行き、父親がどういう人だったのか聞いてみたい。そのあと、大谷翔平選手を見る旅です。妻も一緒に。

——アメリカでも、カラオケをぜひ。

聞き手=くればやしよしえ 撮影=逢坂 聡
『旅の手帖』2025年2月号より

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