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声優・谷始央理が朗読で紡ぐ、物語への新たな扉/講談社とアニメイトグループが開催する「声を聴く、本を読む」フェア 収録後インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

講談社とアニメイトグループが開催する「声を聴く、本を読む」フェア。この特別な企画で、物語に新たな息吹を吹き込む声優・谷始央理さんに、独占インタビューを行いました。

朗読を通して作品の世界に深く没入する際の心構えから、朗読劇での経験が作品にもたらす変化まで、谷さんの朗読に対する真摯な姿勢に迫ります。

さらに、ご自身が「声」をきっかけに本と出会ったエピソードや、今回朗読を担当された8作品の中で、特に心を動かされたセリフやシーンについても、深く語っていただきました。谷さんの声が、店頭で本とお客様をつなぐ架け橋になってほしいという熱い想いが詰まったインタビューを、どうぞお楽しみください。

 

【写真】「声を聴く、本を読む」フェア|声優・谷始央理インタビュー

朗読に込めた「生」の感情

──長丁場の朗読、ありがとうございました。

谷:とんでもないです。ありがとうございました。

──今回、多くの作品を一気に朗読していただきましたが、朗読されるにあたって、どのような点を大切にされましたか?

谷:今回8作品を読ませていただいたので、それぞれの作品の世界観を大切にしました。どの作品もヒューマンドラマで、生々しい人間の対話や人間関係に焦点を当てたものだと感じたので、より「生っぽい」感情の機微を表現できたらいいなと思いながら読みました。

 

 
小説では、登場人物の心情が地の文で説明されていますよね。それを私なりの読み方でより増幅させて、聞き手に分かりやすく伝わるよう意識しました。

具体的には、セリフだけでなく地の文でも呼吸やテンポを使い分けることで、まるで聞き手の方がその場にいるような情景が浮かび、登場人物と同じ体験を追体験していただけるように読ませていただきました。

──朗読ということでキャラクターを演じる形ではなかったと思いますが、登場人物によって声のトーンや明るさ、暗さを変えていただいて、すごく聞きごたえがありました。これまで朗読のお仕事をされたことはありますか?

谷:はい、オーディオブックで1作品、音声で担当させていただいたことがあります。その作品には10人くらいのキャラクターが出てきて、それが初めての朗読の仕事だったので、すごく苦戦したのを覚えています。今回はそのときの経験が活きたなと思いました。

音声とは別に朗読劇に出演することもあるのですが、そのときは目の前のお客様に向かってお芝居をします。今回はブースの中に一人で入って行ったので、より没入感を持って取り組めました。

──例えばですが、先ほど朗読劇をやられたというお話がありましたが、演じる前と後で作品の印象が変わることはありますか?

谷:ありますね。やはり朗読劇は相手がいるので、一人で台本を読むよりも共演者とのキャッチボールが生まれます。ですから、最初に読んだ印象とは大きく変わります。

稽古中に変化があるのはもちろんですが、本番が始まってからも、お客様の目線や会場の空気感で、より見えてくる景色や浮かぶ情景、匂いがリアルになっていきます。

 

朗読が紡ぐ、珠玉のワンシーン

──今回朗読された8作品の中で、特に心を動かされたり、グッときたりした部分はありますか?朗読した箇所でも、作品全体を読んでみて感じたことでも構いません。

谷:そうですね。3作品あります。

1つは、砥上裕將さんの『7.5グラムの奇跡』と、その続編『11ミリのふたつ星〜視能訓練士 野宮恭一〜』です。特に『7.5グラムの奇跡』の朗読箇所にあった「でもね、人の瞳は、生きているものの瞳は、未来を探し、次の瞬間を生きるための器官なんだ。君が今真っ暗だと感じているのは、光への瞬目だよ」というセリフが、すごくグッときました。

辛いことや厳しい現実など、見たくないものに敢えて目を凝らすことで、本当に大切なものが見えてくる、というメッセージだと捉えています。目がただの器官ではなく、心と繋がって機能しているのだ、という言葉にはっとさせられました。

 

 
もう1つの『11ミリのふたつ星』では、第一章が一番好きで、朗読箇所は主人公が思い悩んだ末に大きな挑戦を決めた後のシーンでした。いつも明るい同僚の岡本さんが、直接「元気出せよ」とか「頑張れよ」と言うのではなく、なんとなく外に連れ出して、無理のない形で元気をくれるのがすごく素敵だなと思いました。私もそんな風に人を励ますことができたらいいな、と。

 

 
最後は、碧野圭さんの『凛として弓を引く』です。他の作品は大人向けが多い中で、この作品は15歳の純粋な主人公が、偶然弓道と出会い、だんだん高揚していくところが、当時私が初めて声優を志し始めたときの感覚に似ているなと思いました。若い頃の「もっと知りたい」「これなんだろう」という夢や好奇心を持つ感覚を思い出したので、私もまだまだその感覚を持っていたいな、と影響を受けました。

 

 

──阿部暁子さんの『カフネ』はいかがでしたか?

谷:朗読していて、難しかったです。大人の女性二人の会話というのが、最初に読んだときにディレクターから「少し違いが分かりづらいかもしれない」と指摘をいただいたんです。そこでより意識したのは、声のトーンだけでなく、呼吸の深さや話すスピードで差をつけることでした。あとは、声の距離感ですね。ぶっきらぼうな方は、あえて距離感を一定に保つというか、相手に気を使っていないという部分を意識して演じさせていただきました。

 

 

「声を聴く、本を読む」フェアで、本たちのとの出会いのきっかけになってほしい

──今回は、朗読する側でしたが、谷さんご自身、朗読やボイスドラマをきっかけに本を読んだり、良い本と出会って元気をもらったりしたエピソードはありますか?

谷:パッと思い浮かぶエピソードはないのですが、これまで私は本を先に読むことの方が多かったです。

本を読んだ後で、「次は人の声で聞いてみたいな」と思うことがありました。本の捉え方や解釈は読者によって変わってくると思うので、「自分はこう読んでいたけど、この人ならどんな風に読むんだろう」と聞いてみて、「こんな解釈もあるんだ」とより理解が深まるのが楽しいなと思います。

今まではそういった楽しみ方をしてきましたが、これからは声から入って本を見つけるというのも挑戦してみたいです。

 

 

──朗読を聞いてくださるお客様へのメッセージと、今回のフェア全体について一言いただけますでしょうか?

谷:朗読自体はまだ経験が浅く不慣れな部分もありますが、今回のような貴重な機会をいただけたことで、私にとって非常に良い挑戦となりました。今の私が持っている感覚や、伝えられるものをすべて乗せた朗読ですので、これを聞いて、少しでも明日への活力や勇気をもらっていただけたら嬉しいです。どの作品も勇気をもらえるものばかりなので、登場人物と同じように、前向きな気持ちになっていただけたら光栄です。

今回のフェアで朗読させていただいた作品は、どれも本当に素晴らしいものばかりで、この機会をいただけたこと自体が光栄です。私の朗読を、すでに作品をご存知の方にももちろん聞いていただきたいのですが、知らない方がお店でふと耳にしたときに、「この作品、言葉がきれいだな」とか「いま、大事なことを言っていた気がする」と、少しでも心に刺さることを願っています。そして、それをきっかけに作品に興味を持って、実際に本を手に取っていただけたら、私に与えられた任務は果たせるのかなと思っています。

 

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