のど越しが最高の艶めく麺がたまらない…!創業76年の老舗の「ざるそば」のこだわり
HBC テレビで、毎週月~金曜ごご4:50~7:00に放送中の情報ワイド番組「今日ドキッ!」。
北海道のさまざまな話題をご紹介している「今日ドキッ!」から、選りすぐりの情報をお届けします。
新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、創業から76年を迎えた老舗そば店に密着しました。
今年で創業76年 4世代に受け継がれてきた老舗そば店
地下鉄豊水すすきの駅のすぐ目の前。
繁華街にひっそりと佇むこちらのお店。
1949年に開業し、創業76年目を迎える「東家・本店」です。
暑い時期に食べたくなる!皆さんのお目当ては…
お店のロングセラー「ざるそば」。
夏になるとほとんどのお客さんが注文するという、東家本店の看板商品です。
そばつゆは、道民の舌に合うように濃いめ・甘めの味付け。
お店で練って仕込んだ麺は、のど越しと香りのよさが抜群の逸品です。
常連客:「会社が近いので週1回くらいは来ています。やっぱりそばのコシとかがあっておいしい」
番組スタッフ:「お店に何年くらい来ている?」常連客:「10年…20年くらいかな。ざるそばの冷たさとのど越しは最高です」
製麺機は50年間使用!そばのおいしさの秘密
常連さんから根強い人気を誇る「ざるそば」。
東家本店ならではの特徴は…?
3代目 佐藤 公二男さん:「うちの特徴は更科粉っていうのを使っている。作るときにお湯で練る」
教えてくれたのは、東家本店3代目の佐藤 公二男(さとう・くにお)さん。
現在はお店を離れ、いとこの大崎 方博(おおさき・まさひろ)さんに厨房を任せています。
大崎さん:「お湯練りだから冷まさないように。冷めちゃうと切れやすくなるから。温かさが残っているうちにのして切って」
生地は、そば粉7割に小麦粉が3割。
季節や気温によってお湯の量を調整しながら、生地を練り上げます。
棒状にまとめた生地は、50年間使用されている製麺機で伸ばして製麺。
麺に水分を浸透させるため、一時間ほど寝かせることで生地がまとまり、おいしい状態に仕上がるんだそう。
無一文の菓子職人がそば屋を開業 東家本店の意外な歴史
常連客も唸るのど越しが特徴のそば。その歴史は…?
3代目 佐藤 公二男さん:「(開業は)札幌では昭和24年、終戦後」
東家本店の蕎麦の歴史は109年前にさかのぼります。
公二男さんの祖父の孫次郎(まごじろう)さんは東京で菓子店を営んでいました。
ですが、31歳の時保証人トラブルで全財産を失うことに…。
3代目 佐藤 公二男さん:「路頭に迷っていたとき、お姉さんに『釧路でそば屋をやっているからこっちへおいで』って言ってもらって」
姉の夫であり、そばの師匠でもある竹老園東家総本店の創業者と出会います。
竹老園東家総本店とは、1874年に創業した老舗そば店。
数多くの弟子を輩出し、積極的にのれん分けをすることで東家の繁栄に大きく貢献しました。
そんな伝統あるそば店で、孫次郎さんの新しい人生がスタートしました。
3代目 佐藤 公二男さん:「大正8年にのれん分け、独立をさせてもらった」
3年の修業を経て、釧路の春採湖の近くで「山の上分店」を開業。
24年間ほど営業を続けましたが…
3代目 佐藤 公二男さん:「戦争中なので、食料の物資が行き渡らなくなってきた。夫が戦争に行って亡くなったりして人が少なくなった。西野の福井というところで農業を始めた」
戦争で男手が無くなり、担い手がいなくなった親戚の田んぼを整備するため、孫次郎さんは釧路の店を閉めて、息子の正義さん一家と札幌へ向かうことに。
家族で農家として働くようになりました。
3代目 佐藤 公二男さん:「寒いのに冷たい田んぼの中入って稲を植えたりしていて、それで体壊して、医者から『これ以上やったら命無くなるよ』と言われて」
7年間慣れない農作業を続けましたが、過労をきっかけに農業を引退。
孫次郎さんと正義さんは、再び札幌で蕎麦店を開業することを決意します。
修行をした釧路の「竹老園東家総本店」からの のれん分けで「東家本店」を屋号につけました。
更科そばの粉がない!こだわり続けた結果…
ここで問題が…
3代目 佐藤 公二男さん:「昭和24年のときに、更科粉を作ってるお店が無くて。あっちこっち製粉屋さんを訪ねて歩いたが、やってくれなかった」
更科そばとは、そばの実の殻を取り除き、実の中心部分のみを製粉したもの。
戦後の食料が不足していた札幌ではそばの実をすべて使える田舎そばが主流。
『更科のように手間のかかるそば粉を作っている暇はない』と多くの業者に断られました。
それでも釧路で愛されたそばを楽しんでもらいたい一心で材料をかき集め、札幌では珍しかった更科そばを提供。
3代目 佐藤 公二男さん:「更科を食べたくて、店は小さかったけど並んだらしいよ」
そばへの真摯な姿勢がお客さんに伝わり、店は大繁盛となりました。
メニューは30種以上!看板商品のひとつは「そば寿司」
そばつゆは上白糖、みりん、しょうゆと4種類の鰹節を使用することで味に奥行きを出します。
アツアツの天ぷらと冷たいざるそばがセットの天ざるは50年前からの不動の人気メニュー。
厚めの衣が特徴の天ぷらは、注文を受けてから揚げ始めることで、そばつゆにも負けないザクザクの衣に仕上がります。
竹老園東家総本店の看板の一つである「そば寿司」も受け継ぎ、札幌でも人気を集めました。
公二男さんは35歳の時に父から店を任され、半世紀以上もの間、愛される味のバトンを繋ぎました。
常連客:「小さいころから東家で育っているので、東家さんにしか行かないです」
番組スタッフ:「何年くらい前から来ている?」常連客:「多分お腹にいる頃からで、50何年です」
常連客:「東家さんが一番おいしいですよ。おそば、好きですよ」
公二男さんの息子であり、4代目の洋輔さんにもお話を聞いてみると…
4代目 洋輔さん:「変わらず皆さんに愛されるおそば屋さんを続けていけたらなと思っています」
愛されるワケは…
地域に支えられ今年で76年を迎えた東家本店。
愛されるワケは?
3代目 佐藤 公二男さん:「ここまで来て、お金払って、時間作って、そばを食べてもらって。自分たちは手を抜けないでしょう。お客さんへの恩返しでもあるわけだから、できたらやり続けて、お客さんに楽しんでいただきたい」
【東家本店】
住所:札幌市中央区南4条西1丁目
電話:011-231-4572
営業時間:午前11時30分~午後9時30分
定休日:水曜日
※掲載の内容は番組放送時(2025年6月20日)の情報に基づきます。