【散歩プレイリスト】石山蓮華~郊外の電線を目でたどる
音楽好きは散歩好き。……ということで、各ジャンルで活躍中の音楽の“達人”たちに、「散歩」のイメージにぴったりの楽曲をセレクトしてもらいました。いつもと違う音楽さんぽを楽しみましょう♪今回は電線愛好家の石山蓮華さんの散歩プレイリスト「郊外の電線を目でたどる」をご紹介します。
石山蓮華
電線愛好家・文筆家・俳優
1992年生まれ、埼玉県出身。TBSラジオ『こねくと』メインパーソナリティ。日本電線工業会公認・電線アンバサダーとしても活動。著書に『電線の恋人』(平凡社)、『犬もどき読書日記』(晶文社)。出演にドラマ『日常の絶景』、舞台『偏愛』など。
「ステキ星のさんぽはステキ」Yuri Misumi
2004年発売のテレビゲーム『塊魂』の名曲揃いのサントラから。軽い気持ちで散歩に出られます。
「io」oono yuuki band
実際にこの曲を聴きながら歩いたとき、イントロからしばらくの音数のすくない辺りでは、街の音と音楽が耳の中で交差するのも楽しめました。
「Q/P」相対性理論
2011年リリース。学生の頃にあった「まっすぐ帰宅するくらいなら、迷子になってでも石をかじってでも街をほっつき歩きたい」という野心がよみがえってきます。
「甲州街道はもう夏なのさ」Lantern Parade
大人のバンド感があるシングル版も、大貫妙子「くすりをたくさん」からそのままリミックスしたベストアルバム『a selection of songs 2004-2009』版もそれぞれ好きです。後者はどこか涼しげ。
「天使ちゃんだよ」Trooper Salute
音楽ライターの矢島由佳子さんが「蓮華さん好きそう」と教えてくれました。たしかに大好きです。電柱のざらついた表面をなでながらセンチメンタルに浸りたくなります。
「My Favorite Things」The Supremes
季節外れに聴くクリスマスアレンジは、土手で踊りたくなります。散歩で見つけたもの縛りのMy Favorite Thingsも考えてみたいです。
「焚き火と雨」ジャパニーズネイチャーサウンド
自然のノイズが心地よく、落ち着けて、電線鑑賞に集中できます。ふだんから作業BGMとしてもよく聴いています。2025年で一番聴いているかもしれません。
「Side Step(My Favorite Things Ver.)」柴田聡子
電線を見ているときは棒のように立ったり、ゆっくりと動いたりする時間が長いので、軽快なステップも踏みたいです。
「Headlines(instrumental)」DJ Premire
日が落ちてから歩くときには、ちょっと気が大きくなりそうな曲を聴いています。優雅なストリングスの音と電線がつながっていくような気がして気持ちいいです。
「dlp1.1」William Basinski
アルバム『Disintegration loops』は9.11当日に完成した作品だそうです。管楽器のループが1時間かけて少しずつ崩れていく抒情的な一曲で、途方もない感覚になります。
石山蓮華の「散歩と音楽」とは?
Q.1 散歩をするのはどんなときですか?
ふと時間があいたときや、普段と違う道や知らない街に入ったとき。短い距離に長い時間をかけ、電線を見ながら歩きます。
Q.2 好きな街や道はありますか?
いい電線のありそうな住宅街の細い道や、昼の繁華街が好きです。郊外で見かける、トタン屋根の古い平屋が並ぶ道も好きです。
Q.3 プレイリストのコンセプトを教えてください!
電線を愛でるときには、目と脳が直結して言葉が遠くなる感じがあります。プレイリストの半分を歌詞のない曲にしました。午後から機嫌よく歩き、(6)「My Favorite Things」で草むらで蚊を気にしつつちょっと踊り、(8)「Side Step(My Favorite Things Ver.)」でコンビニに寄り道がてらまた踊り、(9)「Headlines(instrumental)」と一緒に夕暮れに浮かぶ電線のシルエットに圧倒され、家に帰って(10)「dlp1.1」でその日の余韻に浸りたいです。
構成=さんたつ編集部
『散歩の達人』2025年10月号より