セル画からデジタルへ、進化し続けた“エヴァ”の軌跡(レポート)
1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』放送から、ちょうど30年を迎えた『エヴァンゲリオン』シリーズ。その独創的な世界観と革新的な映像表現は、アニメーション史に新たな地平を切り開いてきました。
テレビシリーズから新劇場版、そして完結作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』までの歩みを、貴重な制作資料やセル画、原画を通して振り返ります。作品の誕生から進化の過程を多角的に体感できるファン必見の展覧会が、東京シティビューで開催中です。
東京シティビュー 30周年記念展「ALL OF EVANGELION」会場入口
会場に入ると冒頭からインパクト大。東京タワーや東京湾を望む会場エントランスに、エヴァンゲリオン初号機フィギュアが登場しています。
日没後には東京会場限定の照明演出が行われ、30周年を祝う華やかな光景が広がります。
エヴァンゲリオン初号機フィギュア
エントランスを抜けると、序章「胎動」へ。世界中で愛される『エヴァンゲリオン』シリーズの原点を探ります。
放送前の数年間にわたり設定や構成が練り上げられたテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』。その基盤となった設定資料やキャラクターデザイン画などから、シリーズ誕生前夜の創造の胎動を感じることができます。
序章「胎動」
第1章は「始動」。1995年10月4日にテレビ東京系列で放送が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』。全26話と劇場版2作によって社会現象を巻き起こしました。アニメファンのみならず、アーティストや学者など幅広い層に影響を与えた作品です。
当時は透明なシート「セル」に手描きで絵を描き、絵の具で彩色して撮影するアナログ手法が主流。展示されているセル画はほとんどが初公開で、繊細な職人技を間近に見ることができます。
第1章「始動」
第1章「始動」
第2章は「鳴動」。シリーズの魅力の一つである「音」に焦点を当てています。主題歌や劇中音楽、セリフや効果音など、すべてが緻密に設計され、映像とともに作品世界を支えていきました。
映像と音、ナレーションが融合した各話予告も上映され、当時の視聴者を惹きつけた「サービス精神」を追体験できます。
そして第3章は「躍動」。2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を皮切りに、デジタル技術を駆使した新たな映像表現が始まりました。
続く『:破』『:Q』では新キャラクターや3DCGを導入し、壮大なスケールへと進化していきます。
第3章「躍動」
最後の第4章は「結実、そして新たな鼓動」。2021年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で、シリーズはついに完結を迎えました。手描きからデジタル、さらには実写表現へと進化を続けた制作の軌跡を、原画や設定資料を通じてたどります。
第4章「結実、そして新たな鼓動」
第4章「結実、そして新たな鼓動」
30年にわたり多くの人々を魅了してきた『エヴァンゲリオン』。作品の裏側に息づく情熱と革新の精神を改めて感じることができます。
ファンはもちろん、アニメーション文化の進化を知る上でも貴重な展覧会です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2025年11月13日 ]
©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA 製作委員会 ©カラー