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歌姫 本田美奈子のデビューから40年!80年代はミュージカルじゃなくてアイドルで大活躍

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1987年02月04日 本田美奈子のシングル「Oneway Generation」発売日

「殺意のバカンス」でデビューした本田美奈子


1985年4月20日、本田美奈子は「殺意のバカンス」でデビュー。そう、あの『夕やけニャンニャン』の放送開始から20日後のデビューである。「殺意のバカンス」はユーロビート調のアレンジに抑揚のあるメロディ。3オクターブの域まで達したといわれるロングトーンが売りの歌唱力で、圧倒的なクオリティを感じさせた。そう、アイドルと呼ぶのを憚ってしまうほどの完成度だった。

1985年といえば、中山美穂、斉藤由貴、南野陽子、浅香唯といったビックアイドルが軒並みデビューした年でもあるが、当時の芸能界は、夕ニャン人気による “素人の時代” になろうとしているのでは? という印象が強かったかもしれない。

そして本田は、同年9月リリースの「Temptation(誘惑)」でブレイク。オリコントップテンにランクインする。この曲では、数々の新人賞を受賞。同時期におニャン子クラブは「セーラー服を脱がさないで」でレコードデビューし、お茶の間を席巻していく。この状況を当時の本田はどのように見ていたのか気になるところだ。

手を震わせて「好きと言いなさい」を熱唱


本田美奈子は元々演歌歌手を志望していた。『スター誕生!』のオーディションでは決勝大会に進んだものの芸能プロダクションからの誘いは1社もなかった。しかし臥薪嘗胆の努力を重ね、高校2年生の時に出場した『長崎音楽祭』でグランプリを受賞しデビューのきっかけを掴む。そして本人の強い希望により、アダルトな雰囲気の強い「殺意のバカンス」でデビューを果たしたという経緯がある。本田が失意に苛まれ、それでも諦めずに掴んだデビューだった。

こう書いてしまうと、本田美奈子は、デビュー当時も極めてプロフェッショナルで近寄りがたいシンガーだと思われてしまうが、そうではなかった。こういったプロ意識から生じる愚直ともいえる真っ直ぐさキャラクターとしての大きな魅力だった。デビュー年である1985年に受賞した第11回『日本テレビ音楽祭』新人奨励賞を受賞した時も、マイクを持つ手元を震わせながらセカンドシングルの「好きと言いなさい」を熱唱。質の高いエンタテインメントを見せながら “守ってあげたい” と思わせるキャラで、多くのファンを夢中にさせた。

「1986年のマリリン」アダルトな世界観


本田美奈子がトップアイドルに昇り詰めたのは、5枚目のシングル「1986年のマリリン」だろう。「ライク・ア・ヴァージン」の頃のマドンナを彷彿とさせる衣装で、か細いウエストをあらわにして熱唱。奇しくも作詞は、おニャン子旋風の中心にいた秋元康だった。

秋元は、「♪誰も知らない 恋の約束 午前2時に眠るオフィス街」というおニャン子とは真逆のアダルトな世界観を本田に提供。時代はバブルへと向かう中で、本田美奈子が放った都会的なラグジュアリーな印象は時代にマッチし、自身最大のヒット曲となる。「1986年のマリリン」以降の本田は、同曲の流れを汲んだ「Sosotte」でよりセクシーさが強調され、続く「HELP」「the Cross -愛の十字架-」ではハードロックに傾倒。よりプロフェッショナルな指向が加味され、歌手としての可能性を広げていくことになる。

綾小路翔が継承した「Oneway Generation」


しかし、“アイドル・本田美奈子” として、個人的に一番印象深いのは、1987年2月にリリースされた9枚目のシングル「Oneway Generation」だ。作曲は筒美京平で、編曲が大谷和夫。前年にリリースされた英ロックバンド、ザ・プリテンダーズの「ドント・ゲット・ミー・ロング」をフォーマットにしたと思われる軽快なモータウンビートに乗せて、スティックを持ち、ミュージカル調のダンスを見せる本田は、可憐さと強さが共存していた。

「♪夢だけを信じたい」という歌詞も相まって、勇気をもらい背中を押された人も少なくないだろう。可憐な美少女が圧倒的な歌唱力で多くのファンの背中を押す。そんな名曲が「Oneway Generation」だった。同曲は2021年に氣志團もカバー。本田美奈子がファンに与えた勇気を綾小路翔が継承している。

その後、MINAKO with WILD CATSというロックバンドを結成したり、ミュージカルのディーバとしても名を馳せ、ロック、クラシック、オペラ、ゴスペル、ジャズと変幻自在に多くのジャンルを自分のものにしていくことになる。その基盤となるアイドル期の魅力は、やはり「Oneway Generation」に凝縮されていのではないか。プロフェッショナルでありながら、真っ直ぐな気持ちで自分と向き合い、素顔のままでファンと向き合ってきた彼女だからこそ、可憐なままに、多くの人に勇気を与えたのだ。

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