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ちゃんぽん王国・九州のおすすめ8選。長崎、天草、武雄、戸畑など各地の個性を味わう至極の一杯を

さんたつ

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寒い冬にこそ食べたい、温かくて栄養たっぷりなちゃんぽん。長崎県が有名ですが、実は北は北海道、南は沖縄まで、全国にご当地ちゃんぽんがあるって知っていましたか?特にその数が多いのが九州。発祥の地・長崎をはじめ、各県にご当地ちゃんぽんが根づく“ちゃんぽん王国”なのです。海に囲まれた天草や炭鉱で栄えた北方(きたがた)など、地域の特性を色濃く反映した自慢の一杯をどうぞ。

喜楽食堂(きらくしょくどう)

つき詰められたこだわりが放つ輝き『中国菜館 江山楼 中華街新館』【長崎県長崎市】

特上ちゃんぽん2750円はフカヒレやウズラの揚げ玉子、イカのすり身団子、大ぶりのイカやエビなどが入った豪華版。ほかにオーソドックスなちゃんぽん1760円もある。

ちゃんぽんの本場、長崎県長崎市の長崎新地中華街にある老舗。2代目が60年かけて作り上げ、受け継がれるちゃんぽんは、濃厚で奥深い味わいの鶏ガラ100%の鶏白湯スープが自慢。あつあつの状態での提供にこだわり、一つの鍋で2杯までしか作らない徹底ぶりだ。店おすすめの、フカヒレをはじめたっぷりの魚介が入った豪華版、特上ちゃんぽんもぜひ。

長崎新地中華街の東門横に立つ。中国の宮殿を思わせる堂々たる店構え。

『中国菜館 江山楼 中華街新館』店舗詳細

中国菜館 江山楼 中華街新館(ちゅうごくさいかん こうざんろう ちゅうかがいしんかん)
住所:長崎県長崎市新地町13-13/営業時間:11:30~15:00(土・日・祝は11:00~)・17:00~20:30/定休日:月・火(祝の場合は変更あり)/アクセス:西九州新幹線長崎駅から長崎電気軌道7分の新地中華街駅下車、徒歩5分

鶏ガラスープと太麺で進化した王道ちゃんぽん『めしどころ一楽』【長崎県平戸市】

平戸ちゃんぽん880円。 ほかにあごだしなど、ちゃんぽんは10種。

昭和4年(1929)に開店した、長崎三大ちゃんぽんの一つ、平戸ちゃんぽんの元祖。創業時から作り方も材料も変わらないちゃんぽんは、中太麺にキャベツやキクラゲ、豚肉やかまぼこなどの具材がどっさり。豚骨に鶏ガラと野菜を合わせた秘伝のスープはおよそ60年前から注ぎ足しており、懐かしい味が心と体に染みる。

平戸の観光名所である幸橋(オランダ橋)の近くに佇む。

『めしどころ一楽』店舗詳細

めしどころ一楽(めしどころいちらく)
住所:長崎県平戸市木引田町477/営業時間:11:00~14:30LO・18:00~20:30LO/定休日:月(祝の場合は営業)/アクセス:松浦鉄道たびら平戸口駅から車7分

あっさりスープに卵トッピングがアクセント『お食事処 心』【長崎県雲仙市】

小浜ちゃんぽん卵入り900円。丁寧な仕事が伝わる一杯。少し火を通した卵を途中で崩して味の変化を楽しもう。

約50年前に創業した、長崎三大ちゃんぽんの一つ、小浜(おばま)ちゃんぽんの人気店。古くから湯治場として栄えた小浜温泉の名物で、全国からの温泉客の口に合うよう、長崎市内のちゃんぽんよりスープはあっさりめ。具材に卵が入ることが特徴で、豚骨と鶏ガラのWスープは上品でまろやかな味わいだ。

『お食事処 心』店舗詳細

お食事処 心(おしょくじどころ こころ)
住所:長崎県雲仙市小浜町北野399/営業時間:11:00~19:00/定休日:水(不定休あり)/アクセス:西九州新幹線諫早駅からバス55分の小浜高校前下車、徒歩1分

生産量日本一を誇る雑節の旨味が凝縮『EAT730とアトリエkinji。』【熊本県天草市】

看板メニューのねぎちゃんぽん(中並)800円。甘みの強い白ネギと香りのよい小ネギ、2種類のネギをトッピング。

世界文化遺産・﨑津教会の近く、波穏やかな羊角(ようかく)湾に面した国道沿いにポツンと佇む、天草ちゃんぽんの名前を最初に掲げた店。スープは天草市が生産量日本一を誇る雑節(ざつぶし)と、昆布で出汁を取った醬油味。雑節とはカツオ以外の節のことで、『EAT730とアトリエkinji。』ではイワシやメジカを使用。雑節が醸す豊かな出汁の香りが食欲を誘う。

「スープの旨味をよく吸う乾麺を使っています」と、オイルパステル画家としても活動する、店主の小林欣治(きんじ)さん。夢はニューヨークで個展を開くことだそう。
入り組んだリアス海岸で知られる羊角湾に面して立つ。

『EAT730とアトリエkinji。』店舗詳細

EAT730とアトリエkinji。(イートなざれとアトリエキンジ。)
住所:熊本県天草市河浦町今富小島1630-4/営業時間:11:00~16:00(金~月は予約があれば~21:30)/定休日:不定(訪問前に要確認)/アクセス:JR三角線三角駅から車1時間30分

どっさりの海鮮に心躍る『ちゃんぽん入船』【熊本県上天草市】

天草海鮮ちゃんぽん1200円。直径約25㎝のすり鉢を利用した器はインパクト大。麺は本場・長崎から取り寄せている。

創業以来、地元客と観光客に愛される人気店。名物の天草海鮮ちゃんぽんは有頭エビをはじめ、アサリやイカ、タコの唐揚げ、イワシのつみれなど、海の幸がてんこ盛り。豚骨をベースに昆布やカツオ節から出汁を取ったスープは、まろやかで飽きのこない味。麺をすするたびに、凝縮した魚介の旨味が口の中に広がる。

「創業当時の味を守りつつ、まだまだ進化します」と、店主の孫・金森美玲さん。隣接の海鮮レストラン『ニュー入船』を両親が経営する。

『ちゃんぽん入船』店舗詳細

ちゃんぽん入船(ちゃんぽんいりふね)
住所:熊本県上天草市大矢野町登立4060-2/営業時間:11:00~15:00・17:00~21:00(土・日・祝は11:00~21:00)/定休日:第1・3水(8月は無休)/アクセス:JR三角線三角駅からバス6分の岩谷入口下車、徒歩2分

おともはカツ丼! 炭鉱町育ちのパワー系『佐賀ラーメン 喰道楽 北方本店』【佐賀県武雄市】

ちゃんぽん860円。麺を覆いつくすほど野菜が山高く盛られている。

杵島(きしま)北方炭鉱を有する“炭鉱の町”として栄えた武雄市北方町にある店。戦後、炭鉱マンたちが安くお腹いっぱい食べられるようにと、鉱山近くの店で提供され始めたのが北方ちゃんぽんの始まり。約380gの新鮮野菜が圧巻のボリュームで、頭骨とげんこつを髄まで強火で煮て注ぎ足し続ける濃厚な豚骨スープに、野菜の甘みが溶け出す。+300円でミニカツ丼も付けよう。

カツ丼840円(味噌汁付き)。やわらかいカツととろとろの半熟玉子が相性抜群。
シャキシャキ感を残して素早く炒めた野菜を、山高く盛りつける。
座席はテーブル席ほか、半個室タイプの座敷席もある。

『佐賀ラーメン 喰道楽 北方本店』店舗詳細

佐賀ラーメン 喰道楽 北方本店(くいどうらく きたがたほんてん)
住所:佐賀県武雄市北方町大崎2492-3/営業時間:10:30~21:00/定休日:無/アクセス:JR佐世保線高橋駅からバス9分の高野入口下車すぐ

忙しい製鉄マンに愛された細め麺の時短メシ『ラーメン清龍』【福岡県北九州市】

野菜がたっぷり入ったボリューム満点の戸畑チャンポン900円。

1968年に開業した老舗。地区が遠洋漁業の基地だった約80年前に長期保存できるよう開発された戸畑チャンポンは、細くコシのある蒸し麺が特徴。熱い豚骨スープと絡んでもサラリと淡泊で、ツルツルと喉ごしがいい。『清龍』で提供される一杯は、さっぱりとしたスープの素朴なチャンポンで、戸畑を代表する味わい。

戸畑駅近くの中本商店街にあり、昼には行列ができる人気店。

『ラーメン清龍』店舗詳細

ラーメン清龍(ラーメンせいりゅう)
住所:福岡県北九州市戸畑区中本町5-3/営業時間:11:00~17:40LO/定休日:月/アクセス:JR鹿児島本線戸畑駅から徒歩5分

工業都市を支えた栄養満点のヘルシーフード『喜楽食堂』【熊本県水俣市】

地元の人々から故郷の味と呼ばれる、水俣チャンポン650円(2025年4月頃に価格改定の可能性あり)。

1950年創業。初代店主が、長崎や天草と往来のあった船員や漁師などのお客から噂を聞いて作り始めた、水俣チャンポン発祥の店。もっちりとした丸中太麺に豚骨スープを合わせたシンプルでやさしい味つけは、当時のまま守り続けられている。

創業当時の写真。水俣チャンポンの歴史を物語る貴重な一枚だ。
懐かしい昭和の食堂の趣。チャンポンとともに雰囲気も楽しみたい。
満腹になること間違いなしの人気メニュー、ミックス定食800円(2025年4月頃に価格改定の可能性あり)。

『喜楽食堂』店舗詳細

喜楽食堂(きらくしょくどう)
住所:熊本県水俣市浜町1-2-9/営業時間:11:00~14:00LO・17:00~20:00LO/定休日:土/アクセス:九州新幹線新水俣駅から車5分

取材・文=佐藤 史、成瀬晶子 撮影=玉村恵理子
『旅の手帖』2024年1月号より

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